中国

リンク: 仏スーパー不買運動に反対した中国著名人がネットでバッシングの嵐に―中国 – 速報 ニュース:@nifty.
今、チベット対応を巡り中国は国際的な非難を招き、北京五輪の聖火リレーが激しい反対運動の波に揉まれています。また、環境破壊問題でも主犯の一人として扱われ、工業製品・農業製品を問わず品質意識・管理の低さが問題視されています。
これに対して報道で見る限り中国国民は、ここ10年の愛国教育の成果か、愛国的な心情で他国に対して反発しています。我が偉大な国をなぜ侮辱するのかと。これほどのことをされて怒らない国がいるのかと。
これらの光景は、昭和初期の日本の動きにそっくりだと、私は思ってしまいます。今中国という国の存在感は高まり、どの国も無視することは出来ない。二十世紀初頭は黄禍論が広まり、その代表格として日本が挙げられていました。つまり当時のアジアの先頭ランナーとなった日本に対して、宗教も違う・肌の色も違う・文化も違う欧米諸国は興味と期待と不安と疑いの目を持って見て、また扱いました。その結果満州事変に対するリットン調査団だの移民排斥運動だの資源の禁輸だの資産差押えなどが起こりました。戦後も経済が復興すると今度はジャパンバッシングが広まりました。
これに対して日本は戦前は強烈な国家意識で対抗しようとしました。欧米に対しては反発、中国に対しては「暴支膺懲」と言ってつまりは懲らしめようとしていました。今でこそ国民は被害者で、軍部に踊らされていたとする向きが多いですが、当時は国民が「強い日本」を熱烈に支持していたと思います。新聞も昭和の初期までは軍部の政治介入に対して批判的な論陣もはったりしますが、国民(在郷軍人会等)の強い不買運動にも見舞われ、やがて先頭を切って強硬論を唱えます。その結果中国戦線にのめり込み、その果実(実際にはそうはいえないものと思いますが)を守ろうとして対米英戦争にまで突入してしまうわけです。
今の中国は、以前日本が立った位置、すなわちアジアの先頭ランナーになろうとして、その際に受けるいろいろな軋轢に面しているように思えます。その苦しみに本当の意味で気づいたときに、日本の明治維新以降の苦しみがわかるのかもしれません。
中国はよく「歴史を鑑として」と言ってきます。しかしその歴史とは誰が加害者で誰が被害者であるかを明確にすることではないはずです。そんなことをしていれば憎しみを再生産するだけです。そうではなく、今も昔も大して精神構造は変わらない人間が、どんな状況の時、どんなことを行ってしまうのか、どんなことを感じていくのか、どんなことをすればよいのかといった、大いなる人間学の場とすべきだと思います。
福沢諭吉は【文明論】の中で、政体というものが手段に過ぎず、文明を進捗せしめること、すなわち人民の民度を高めることこそが重要であることを述べています。今の中国は久しぶりに国際社会で地位を高めたばかりで、その場所に対する思い入れの強さが排外的な姿勢を生んでいます。自らを貴きとし、他を蔑む。こういった考えがやがてその人々たちそのものに大いなる禍をもたらすのは、数多の歴史の教訓が指し示しています。
我々は中国に対して過度の疑念を抱かぬように、中国は徒に愛国心を煽り排外的な思想に走るのではなく、中心にどっしりとした信念を抱え合理的な判断を一人一人の国民ができるようにするべく、研鑽を重ねる。こういった形になってもらいたいのです。偉大な文明を生み出した中国、本当の意味で国民の文明化がなされることを祈ってやみません。そのためには、より多くの人と人が出会いわかり合いふれあうことこそが遠回りであっても、結局は一番の近道となるのではないでしょうか。そうなるように、中国も世界も立ち回ることが出来るでしょうか?

「中国」に2件のコメントがあります

  1. 本の歴史 04182008

     日本の近代史において、関係国の一次史料が公開されはじめたと何度も紹介している。日本の歴史研究者、歴史学者は米国の史料をあたることはあっても従来は、国内の歴史資料ばかりを対象とすることがほとんどであった。冷戦終結で旧・ソ連の史料が英国の情報機関へ流出というか、旧指導者の金銭を伴う提供だと想像できるが、「ミトローヒン文書」や「ヴェノナ文書」等がある。
     これを基にした書籍、日本では未訳のアレキサンドル・コルバキディ他共著『GRU帝国』や、これは読んでいるが、ユン・チアン他著『マオ 誰も知ら……

  2. 1930年代世界恐慌と現在の状況
    バブル崩壊による不況により不公平社会、失業増加、
    社会との連帯感の喪失「疎外」
    (ナチズム礼賛、ヒトラーユーゲントなど若者大衆)
    (ロスト・ジェネレーションの孤立化、疎外感)
    保護主義、帝国主義による各国のエゴイズム
    (米英植民地を囲い込み、日独反発)
    (新たな帝国主義・先進諸国の自国優先)
    外交より国内
    (ヒトラー台頭への無関心)
    (北朝鮮、イスラエル、国際テロリズムへの関心が薄れる)

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