多事争論 国の気概と同盟関係-今日の日経新聞と読売新聞を読んで

今日の両紙は、アメリカでオバマ新大統領が誕生したこともあり、日本とアメリカの関係についての記事をそれぞれ一面に掲載していました。
まずは読売新聞では

「揺れる同盟 オバマと日本」 パッシングは回避へ
・昨年12月に、米ワシントンの日本大使公邸でのレセプションに、次期米国家安全保障会議の次期アジア上級部長のベーダー氏が来た。当時外国政府関係者との接触が禁じられていたのに。
・それだけに、ベーダー氏の行動は「対日重視のサイン」と受け止められた。
・1998年のクリントン訪中の際の日本素通りが「ジャパン・パッシング」という言葉を生み、それ以来ベーダー氏は日本の反応に人一倍、敏感になったといい、外務省も関係維持に努めた。
・日米の当局者は「この布陣でパッシングは起きない」と口をそろえる。
・一方で「~日本の対応が鈍ければ、厳しく注文してくる」との指摘もある。
・重視すれども手加減せず-それが、新政権の対日姿勢となりそうだ。

これに対して日本経済新聞は

「始動 オバマの米国」 自信のない日本 待ちの姿勢やめ連携急げ
・新しいリーダーのもとで一から出直しをはかる米国。日本はどう向かい合えばいいのか。
・米国の著名なジャーナリストのストークス氏は「オバマ政権は日本を大事にする気はあるのか、中国ばかり向くのではという懸念が多いのに驚いた」と言う。
・だが米国の知日派の間ではむしろ、「取り残される不安や不平」を口にする日本側の反応に失望しているというのが実情だ。それは日本の自信のなさの裏返しに映る。
・同盟国の日本から参考になる提案をききたいというのがオバマ政権の基本姿勢。
・提案するには政治の機能低下に歯止めをかけること。
・環境問題にしても経済対策にしても、中身は役所任せで「各省の案をホチキスで止めて出すだけのかつての形に戻ってしまった」と言った声が聞こえてくる。
・また日本自身が幅広い視野と先見性を持つことが米国に前向きな提案をしていく上でのもう一つの前提だ。
・米国発の金融危機が日本経済をむしばむ中で、「グローバル経済依存はだめ」「米国主導のグローバル化は誤りだった」といった見方が政治家などの間で出ている。
・内需を高めることが求められているのは確かだが、日本経済にとっては世界市場が開かれ、その成長力を取り込んでいくことが引き続き重要だ。
・米国は当面、自国の再生にエネルギーを傾斜せざるを得ず、世界的な課題に力を入れて取り組むゆとりは少ない。今ほど日本の知恵が切望されている時はない。

といった具合です。
みなさんはどうお感じになりましたか?自分はやはり日経の方の論説にシンパシーを感じます。米国に通り過ぎられるとか大事にされるかに一喜一憂するような他力本願な考えではなく、米国をはじめ世界の国々に対して積極的な、建設的な意見を発信できるような国であってもらいたいと思うし、その地力が日本には十分あると思います。これを個人間の関係に置き換えればわかりやすいですが、捨てないで捨てないでと懇願したりされたりするより、積極的なアプローチのもとお互いを高めあえるような関係の方が、長続きしますよね。
でも今回の読売新聞的な論説の方が多く目にするところです。これは非正規雇用問題を始めとする、最近の経済危機に対するアプローチの仕方、すなわち弱者が虐げられ、国は無策であるといった、ステレオタイプな報道の一連の流れにも繋がっているように思えます。だいぶ前にも書きましたが、人間は自分が強者であると思うよりは弱者で虐げられているので、周りが何とかしてくれないといけないと考える方が楽ですから。
でもどんな立場であれ、今の状態をより良くしていくためには自分たちは何をすべきか、全体としてはどう動くべきかを考える方が、今の状況を打破できるのだと思っています。
大げさに言えば、今の自由で民主的な社会を守るためにも、国民ひとりひとりが自分が何が出来るかを考え、時には国のあり方に思いを馳せ、日々頑張っていくことが今まさに必要だと思うのです。まあ、それこそオバマ大統領の言う「新しい責任の時代」ってやつかもしれません。
そのためにもマスコミの方々も今まで以上によく考え、社会の木鐸としてこの日本をよりよき道に導いていけるような有意義かつ建設的な論説をどんどん発表していってほしいものですね。
 

「多事争論 国の気概と同盟関係-今日の日経新聞と読売新聞を読んで」に7件のコメントがあります

  1. 毎度こんばんは!
    独立さんの各紙概要を見る限りは、日経の方が中身ありそうですねぇ~
    日米安保を維持して行くには米国の手先となって、そしてアメリカン・グローバルに取り込まれて行くしかないですからね。さもなくば中国に守ってもらうしか!?
    ただ闇雲に米国の他国干渉や武力行使に同調・随伴するのが良いわけではありません。反感を買って日本がテロの対象になっても泥沼ですからね。他国に比べればかなり都合が良い言い方ですが、自衛隊には自衛隊のままでいて欲しいものです。
    日本は軍備にさほどお金をかけなくて済んだお陰で経済復興を遂げたと言えるでしょうし、中国だって軍事費に回さなければもっと豊かな社会が実現できていたかもしれません。(まぁ今の中国でも、少なくとも日本からの対中アンタイドODAはもう必要ないよなぁと思いますが。)
    トップが代わった今、疲弊が始まった米国を環境対策議論に巻き込んでゆくチャンスですよね。CO2規制だけでなく、米国のバイオ燃料政策に端を発した安直な穀物危機を解消すべきです。その面で、日本が米国に技術協力を行い、パートナーシップを発揮するのもいいのではないでしょうか。「製品の売りつけ先」だけが、彼らの使い道だけではないはずです。

  2. げんきさん
    コメントありがとうございます。
    「製品の売りつけ先だけが、彼らの使い道ではないはず」、本当にその通りですよね。随分昔から「日米はイコールパートナー」と言ってきていますが、実際にその気持ちにまず日本がなっていないですね。
    本当にイコールパートナーなら、日本の戦略に米国も組み込んでいくくらいの気構えが必要だと思います。昔キッシンジャーと周恩来が極秘で会談した際、「日本は島国根性で、大局観が無い」ということで一致したらしいですから、ずっと続いていることなのでしょう。
    そろそろ目覚めてほしいものですね。
    では、今後ともよろしくお願いします。

  3. 「全体としてはどう動くべきかを考える大局観が無い」(管理人さん)
    「政治家にとっては、熱情、責任感、目測が重要な3つの要素である」(ウエーヴァー)
    「目測」とは、マックス・ウェーバーが最も重要な特性として挙げたものであり、
    「周囲に次から次へと起こり続ける様々な現象と、
    自分が現に進めようとしている仕事との距離を常に正しく計測して、
    物事を客観的に眺められるようにしておく」
    「徳之島」は鳩山のこの「目測」能力の欠如を示している。

  4. 目測」という言葉、日常では使わないなあ・・・
    と思っていたら・・・
    野球でフライを補給するときに、
    「目測を誤る」
    ボールとの距離感を見誤る・・・

  5. 大手ゼネコンの現役課長から・・・
    「目測」という言葉は、野球などスポーツのほかにも、
    建設業界の現場でもよく使われます。
    高さ、距離、広さなどの凡その目分量で使います。
    その際、ベテランの職人の目測の確かなことにはいつも驚かされます。
    そう考えると、鳩山首相も国のトップになってまだ数ヶ月。
    経験の浅さを露呈したということと、
    ダメなときに対する危機意識の欠如やリスク管理の甘さによるものではないでしょうか。
    「これを糧に…」といっている間に企業ならつぶれてしまいますが…。

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