「甲子園への遺言」を読んで


この前たまたま本屋さんで手に取った本でしたが、その中身にグイグイ引き寄せられ購入してみました。
そうしたら、その中身がまたとても面白く、また共感できる内容だったのでご紹介させていただきます。
この本はアマチュア時代は強打者として鳴らし、プロ入り後は怪我に悩み、そして28歳で引退後は伝説の天才打撃コーチとして名を馳せ、そして60歳前後で高校の教壇に立ち甲子園を夢見て、でも病魔に倒れその志半ばとなった「高畠導宏」さんのドキュメンタリーです。
印象深かったところをちょっとだけ。

彼は、一人一人のバッターにとっての「軍師」となりました。
それぞれの打撃フォームや個性に応じて、彼の教え方は、縦横無尽に変化しました。
しかし、結果として、選手たちはスランプを脱し、見違えるような打法を披露するようになりました。
自分を誇らず、選手の陰に控え、そして自分の打撃理論をけっして選手たちに押しつけることがありませんでした。生前、高畠さんは
「コーチの仕事は、”教えないこと”だよ」と、笑いながら語っていました。
藤原は、若かりし頃のコーチ・高畠をこう評価する。
「やっぱり人柄ですよ。高さんは面倒見がいいし、努力する人が好きだった。いいのは放っといてもいいんや、とよくいっていました。あの若さでコーチになったんですから、それは苦労もしたと思う。でも、コーチとして成功したのはあの人柄が一番大きかったと思いますね。人柄が伴わないと、選手はいうことをきかんですから」
記事を執筆した会田がいう。
「(前略)高畠はそのピッチャーを徹底的に分析してくるんです。クセや配球、得意球、性格、ピンチに強いか否かなど、あらゆることを彼独自の眼で分析してくる。
 そして、そのピッチャーを丸裸にして帰ってくるんです。彼は単なる打撃コーチでもなければ、スコアラーでもない。お庭番のごとく動いて偵察し、そしてそのピッチャーを攻略するためのあらゆる材料を集め、その攻略法を作り上げる。それが高畠ですよ」
若くして現役を退き、野球界の裏方に徹しようと決意した頃のことを、高畠はこう語り始めた。
「プロの世界に入ってこられる人間は、必ずどこかにいいところがある。人より優れたところがなければプロには入ってこられません。だから私は、人より優れているその部分を徹底してほめようと思いました。以後三十年、私は一度も選手を怒らずに通してきました。その方が、選手ははるかに成長するからです。だから、私のコーチ時代というのは、本当に選手をほめまくった三十年だったと思います。」

ご覧になったことのある方もいらっしゃると思いますが、深く頷ける内容ばかりでした。人を育てるということは、そんなヒントを得られる本だと思います。もしご興味あれば、是非一度ご覧になってみて下さいね。

「「甲子園への遺言」を読んで」に10件のコメントがあります

  1. 確か、某非民間放送局で『フルスイング』としても放映されたものですね。ちなみに、DVDもでてます。昨年アンコールとして再放送されました。それだけ反響があった事なんでしょう(某掲示板でも、いい番組なんで紹介をさせていただきました) 最近は、野球に関する本も沢山でて、読むのに追い付きません(まぁ関東大会やら、東都やら、軟式やら見に行っていては[E:coldsweats01])六月の前半で一区切りしそうだから、一気に読まなくては[E:book][E:eye]

  2. 「人より優れているその部分を徹底してほめようと思いました。以後三十年、私は一度も選手を怒らずに通してきました。その方が、選手ははるかに成長するからです。だから、私のコーチ時代というのは、本当に選手をほめまくった三十年だったと思います。」
    会社にいたとき、その逆を行く上司がいかに多かった
    ことか・・・
    これだけの人材をそろえた会社は、ザラにはない
    と思いつつ、「たまには褒めろ」と・・・
    独立さんは、きっと、部下を褒めて、長所を伸ばす
    指導をされてるんだと思います。

  3. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。
    そうですよね、確かテレビ番組をご紹介されていたのを記憶しています。
    こういったので本の良いところは、少なくともプレーがプロのプレーの印象を受けることが出来ることですね。どうしても野球の技術が伴っていないシーンが多いこともありますから。
    もし本がまだなら、是非是非ご覧になってみて下さいね[E:happy01]

  4. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    まあ時代が時代だけに「畳と新人(新兵)は、叩けば叩くほど良い」と信じられていたんでしょうね。言っている方も、愛情を持って言われている方も多かったのかもしれません。
    でもどう考えても、おっしゃるように、「これだけの人材を揃えた会社はざらにはない(あったら大変です[E:coldsweats01])」と思いますので、持てる力を存分に発揮させてあげられれば、もっともっとすごいことになっていたのかもしれませんね。
    自分が会社でそう出来ているかどうかはわかりません。これはバランスでしょうから、褒めるところは褒める。注意するところは注意するといった姿勢をぶれずに保つ。でありたいなあと思ってはいます。でも、おっしゃるように、基本はいいところを見つけ、本気で素晴らしいと思い、そして褒める。そう出来た時が一番やる気も持ち、また素晴らしい仕事をしてくれますよね。そうしてもらえるだけで、とてもありがたいことだなあと感じています。

  5. 林監督、喜多コーチの朝日大学に注目しています。
    こうした地方の大学で経験を積んだOBが、
    塾の監督やコーチに戻ってきてくれることを
    期待しています。
    古葉君の監督、コーチの記事も前に見ましたが、
    野球をあきらめきれず、ソニーを退職した
    早川君のその後、気になっています。
    青島君のように、プロのあと、単身留学、
    NHKのコメンテーターを経て、スポーツライター
    も「野球一筋」ですね。
    「早稲田力」での観察眼、さすがです。

  6. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    選手に限らず、今指導者の道を着実に歩んでおられる塾野球部OBにも是非、頑張って欲しいですよね。
    実際、社会人野球界では塾野球部出身監督の活躍が目立ちますからね。
    林監督、喜多コーチ、古葉監督、早川君、青島さん、みなさん頑張って欲しいですね。そしていつかは塾野球部にその力を貸して頂ければ、嬉しいですね!

  7. 中林君が、前田監督と同じ言葉を言っていたのを
    思い出します。
    「1点差で勝つのが強いチーム、エースの役割」
    前田監督は日本一になったとき、
    志村投手をそう表現した。
    13安打されて早稲田を完封したときも
    「1イニングで2安打打たれても、志村は
    得点を与えない」

  8. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    2年生の時、塾高の時、中林君はいくらランナーを出しても平然とし、淡々と投げて抑えていました。
    今季はランナーを出すと、気合い十分に「抑えなければ」という顔で、投げている気がします。
    心の持ち方ですが、難しいことは考えず、ただその場その場でやるべきことに集中して、自分の力を最大限に発揮して欲しいですね!

  9. 小室君の「反省しない闘争心」こそ
    謙虚な慶應ボーイに必要かも?
    「自分のピッチングができた。
    2塁に牽制したことは間違っていない。」
    9回完投はむつかしい、
    と割り切って、中林→小室、小室→中林で
    連勝を狙うのみ!
    大石、三嶋のストッパーをもつ
    秋の早法に対抗するには第3の投手
    ストッパーが期待される。
    林が後ろにいたとき
    優勝したことを思い出します。

  10. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    小室君の反省しないというか、しょげることなく前を向いて歩いていく姿勢。今の塾野球部に必要なものですね。
    ストッパーはある日ポッと出てくるのではなく、作り上げていくものだと思います。塾野球部も加藤君、相澤君、中林君と3人揃っていたという好条件も重なり、相澤君を抑えとして育てることが出来ました。球が速い、落ちるボールを持っている、肝が据わっている、出来れば3つ、少なくとも1つあれば、その投手を抑えとして試合で育てていく試みも必要かもしれませんね。

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