ケーキ屋さんの誇り

多分誰も予想していなかったお題だと思いますが(そもそも予想する人などいるのでしょうか・・・[E:coldsweats01])、こんなお題で。
私は下丸子という目の前には世界的大企業のキャノンさんの本社があるにも関わらず、何ともローカルな雰囲気を醸し出している町に住んでいます。
人口も大量に増えたであろうにも関わらず、レンタルCD屋さんが無いとか、本屋がない(本好きにはかなり痛い)とか、なかなかの町ですが、2年前にひとつのケーキ屋さんがオープンしました。
それがコリウールというお店です。

http://www.cake-cake.net/new_cake/shop_top.html?shop=0337500212

ここのオーナーであり、パティシエの森下令治さんは国内洋菓子コンクールでの入賞経験やフランスへの留学経験を持ち、日本洋菓子協会の技術指導員として、また東京製菓学校の講師として、若きパティシエたちの技術指導にあたってきた方です。
この方は大変お菓子づくりに熱情のある方で、ここによく買いに行くのは勿論ケーキやシュークリーム(これは絶品です!)が美味しいからでもあるのですが、それと共に森下さんの熱い語りを聞くためでもあります。
もともとお店を開くに当たっても森下さんくらいのネームバリューがあればもっと青山とか自由が丘のような一般的にオシャレな街と言われているようなところにしても良かったのでしょうが、彼は「自分の作ったお菓子は日常的にその町の人に愛され、そして食べてもらいたい。何より自分が美味しいと思えるものを作り、そしてそれを地域の皆さんに食べてもらいたいんだ!」ということで、こちらの場所にお店を開いたそうです。
そんなコリウールも2周年を迎えたと言うことで、昨日と今日の2日間、全品20%引きというセールを開催していました。
そのときの写真です。ここはとにかくいろいろな種類のケーキが、それも新しい挑戦もいろいろしていて、並んでいるのです。
Ca3c0166
今日は午前中にお客様のところに伺う用があったので、ではお土産にでも持って行こうと思い、立ち寄って買わせてもらいました。すると、入り口のドアに森下さんが。「ご盛況ですね!」と声を掛けたところから、お話しに花が咲きました。そのお話しをちょっとご紹介させていただきますと、
コリウールもしばらくやってきて、ここでちょっと勝負に打って出ようと思い、某有名百貨店の玉川店と横浜店に期間限定で出店してみました(自分も見ました)。これがなかなか得難い経験だったそうです。自分から仕掛けていったので、百貨店側もいろいろと上から目線でお話しされたようで、1日に最低何個用意しろ(でも余ったら全部こちら負担)とかショバ代のお話しとかいろいろあったそうです。彼にも意地があり、毎日違うケーキを用意しようと、それこそ営業時間が終わってから店舗に戻り、ケーキを作るとかやっていたみたいで、それこそ皆さんヘトヘトになるほど。
でも一番こたえたのは「あんたのところより有名なパティシエだって、売れずに余るんだ。でも、よっぽど安くて冷凍もののお店のケーキの方がよっぽど売れる場合もあるんだ」と百貨店担当者から言われたことだったそうです。
この時ばかりは「この野郎!今に見ていろ。」と思ったとのこと。
森下さんのこんなところが好きなんですよね。勿論、「いいものを作ることばかりに考えを寄せないで、もっと売れるためにはどうすればいいか考えろ」と言われていることはわかっているわけです。その上で「そんなことを言われないくらい美味しいケーキを作って、みんなに認めてもらって、そんなことを言わせないくらいになってやる」って思えるところが素晴らしいと思うのです。反発心、吸収力、向上心。これらが彼の持っている誇りと共にわき上がってくるところは、本当に見習わなければなあと思うのです。
彼はその後、こう続けます。
「あちらでは結局トントンくらいの商売になりました。儲けにはならなかったかもしれませんが、良い経験だったし、いろいろな人に知ってもらえるきっかけにもなりました。その上で、やっぱり一番大事なことは、こうやって歩いていらっしゃる方、自転車や自動車でわざわざ来られる方、こういった方こそが一番大事な方々だとつくづく思いました。ここでしっかりお客様と向き合っているからこそ、その先もあるんです。今日こうやってお客様がたくさん早くから来ていただけて、本当に嬉しいですね。」
前に彼はとっても有名なパティシエさんを評して「あれじゃあ、厨房に立てないんじゃないですかね。商売が忙しすぎて。でもボクが自分で作っていないケーキがいくら売れても嬉しくないです。やっぱりケーキ屋はケーキを作らないと!」とも言っていました。
彼は本当に地に足が付いた、ケーキ屋さんとしての誇りを持ったパティシエだと思います。
自分の仕事に対して精魂入れて取り組んでいる人のお話は、どんなに分野が違っていても、参考になるし刺激にもなりますね。
ちなみにここのシュークリーム、「多摩川シュー」はとっても美味しいですよ!さくさくのシュー、濃厚な味わいのカスタードクリーム、上にまぶしたアーモンド、これらの織りなすハーモニーが絶品です。もし近くに寄る機会があったら、是非ともご賞味ください。

「ケーキ屋さんの誇り」に7件のコメントがあります

  1. 一言、
    いい仕事、自分の仕事に誇りをもっている管理人さんだからこそ、
    わかる、いいお話でした。
    ぼったくり、ダンピング、
    どちらも仕事に誇りをもっていないと常日頃
    感じています。
    自分の仕事、自分の製品に自信をもって
    値段のつけられる人は信用できます。

  2. 管理人様は意外に甘党なのかな?(確かにクリスマスの時もケーキの話題)[E:cake]今度、等々力に行く機会がありましたから、寄ってみよう[E:note]さて、送信ボタンを押しますよ[E:coldsweats02]緊張するなぁ[E:coldsweats01]

  3. 最近はココログを観て、結構予想しています。今、一押しのが丁度あっているかもしれませんね。あの方やあの方や…。

  4. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    「仕事に誇りを持つ」(ような取り組み方をする)というのが、どんな仕事であれ一番大事だと思います。
    まあこんな時代なので値段はそれほど自信を持って言い切れるかどうかはわかりませんが[E:coldsweats01]、少しでもみなさんに喜んでもらえるような仕事をしていきたいですね。そんなヒントがこの方のお話にもあるような気がしました。
    そのようにヒントはいつでもいかなる時にでも転がっているんだと思います。一生懸命そのことを考えていれば、きっとそんないろいろなヒントに気づけるのだと思います。やはり「もっと没頭しなさい」という感じなんでしょうね。

  5. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。
    是非、お立ち寄り下さい。万人受けする美味しい味だと思います。ある人には「今まで生きてきた中で一番美味しいシュークリーム」と大層大袈裟なことも言われたことがあるので。
    さて、そろそろコネタマも投稿します。果たして予想通りとなるのでしょうか?

  6. このかき氷も美味しそうですね[E:happy02]でも、いつのまに…確かお魚が泳いでいたような気がしましたが[E:fish][E:fish]

  7. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。
    夏と言えばやっぱりかき氷ですよね(黄色と黒は勇気のしるし♪さんはかち割りかな)。
    さすがよく見ていらっしゃいますね!最初は魚のデザインに変えようかと思ったのですが、顔文字がうまく出ないので、かき氷に替えたのです[E:coldsweats01]

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