1塁ベースを回るとき


秋の地区大会も始まり、間もなく六大学野球の秋のリーグ戦も始まるという、胸騒ぐ季節が近付いてきましたね。ついこの間、早すぎる敗戦に胸を痛めていたのがウソのようです[E:happy01]
さて、そんな中、甲子園への道さんから一塁のベースランニングについてご指摘を頂戴しました。それについてのお話です。
この件についてはいつだか忘れたのですが、イチロー選手自身が何かで語っていたのですが、それを見つける事が出来ませんでした(確かNumberで最初のWBCの後に川崎選手や西岡選手と走塁について言葉にして会話できるのが嬉しいといった記事の中だったような気がしますが)。
が、webで調べてみるとその時にイチローが語っていたのと同じ内容を京都大学の先生が記載していたのです。なのでご紹介してみます。

イチロー
京都大学総合人間学部認知情報学系 小田 伸午
アメリカ大リーグで3年目のシーズンを迎えるイチロー選手。彼のランニング技術を称える記事がシアトルの地元新聞、SEATTLE POST-INTELLIGENCERに載っていた。タイトルは、「シアトルのX-man」。
イチローのランニング技術について語るのは、マリナーズの1塁ベースコーチJohnny Moses氏である。「イチローほど1塁ベースを正確に踏む選手はいません。それはまさに芸術品です。ウソだと思うなら賭けをしてもいいのですが、もし1塁ベースの角に“X”印を付けておくとすれば、彼は必ず毎回“X”の上を踏むのです。シングルヒットならば、イチローは1塁ベースの右手前の角(図の1の位置)を左足で踏みます。必ずそうです。2塁打、3塁打の場合は、左肩を2塁ベースの方に傾けて、1塁ベースの左手前の角(図の2の位置)を踏みます。毎回そうです。」
ここで質問です。皆さんは、イチロー選手が2塁、3塁を狙って1塁ベースを回る場合、どちらの足で踏むと思いますか?右足でしょうか。左足でしょうか。記事にはどちらの足で踏むかについては書いてなかったが、ビデオを見ると、1塁ベースの左手前の角を踏むのは、「左足」です。日本の野球界では、1塁ベースを回るときは、右足で踏むのがいいのか、左足で踏むのがいいのか、たびたび議論になるそうであるが、結論は出ていない。おそらく、右足と答える人が多いのではないだろうか。
Base
ここから先は私の考えであるが、右足と答えた人は右足で「蹴って」回るという感覚ではなかろうか。左足と答えた人は、左に身体を傾けて左足で「踏んで」回るという感覚であろうと思われる。
皆さんは、まっすぐ走ってきて走る方向を左に変える場合、右足で蹴って左に行きますか。それとも、左に倒れるようにして左足で踏んで方向を変えるでしょうか。
陸上競技でコーナーを走る場合の技術について10年前に世界のトップスプリンターだったカール・ルイスはコーチングビデオの中で、以下のように語っている。「コーナー走でやってはいけないのは、右足で蹴って、体幹をねじって右肩を内側にクロスさせるような動きです。コーナー走といっても直線走と同じです。違うのは身体を左に傾けながら内側の左足で踏むようにすることです。」イチローの1塁を回るコーナー走とまったく同じである。
イチローは盗塁の名手でもある。1塁ベースから離れて構えたときに、1塁に近いのが左足、2塁に遠いのが右足である。身体を向けた方向に対して右横にスタートを切るのが盗塁である。陸上競技の短距離のスタートのように最初から走る方向にまっすぐ身体を向けておくことはできない。投手から牽制球がきたら1塁ベースに戻らなければならないからだ。日本人野球選手の多くは、盗塁の場合、左足で「蹴って」右足から踏み出してゆく。地面を蹴ってゆくので、力んでガガガっというイメージである。ところがイチロー選手は、右足および右股関節に体重をさっと乗せ、右足で「踏んで」2塁側に倒れ込むようにしてで出てゆく。力まずにするするっと出てゆく。牽制球がきたら、左足で踏んで左に倒れこみながら戻る。この場合も、右足で蹴って戻ると遅くなる。バレーボールの横方向へのレシーブ、サッカー、ラグビー選手などのサイドステップ、サッカーのゴールキーパーやテニス、バドミントンなどの横への動きなど、みなそうである。我が国のスポーツは、力んで蹴って移動する感覚を無意識の内に認めて誰も疑わない。
マリナーズのコーチは、イチローのベースランニングは本能であると語っている。イチローは、高校時代に気が付いて以来、無駄を削ぎ落とす努力を積んできたと語った。本能にみえて、実は研ぎ澄まされた感覚と訓練の賜物なのである。
以上、私のスポーツ科学の教育・研究の切り口を紹介したが、詳しく知りたい方は、スポーツ科学とスポーツ現場を繋ぐ「運動科学」の講義を受講するか、その講義テキストの「運動科学」をご覧下さい。
(From 京都大学総合人間学部広報 No.34)

というわけです。この文中にカール・ルイスの言葉に触れられていたのが味わい深かったです。チチローさん曰くイチロー選手の走りはカール・ルイスをイメージしているそうですから。
それはさておき、前の記事の二つの写真を見れば、体幹がまっすぐになっているかねじれているか一目でわかると思います。これが効率的な体の使い方につながるのです。WBCでは日本の他の選手もみなさん左足でベースを踏んでいたので、随分浸透したんだなあと思いながら再チェックしていました。
もしこれが何かの参考になれば幸いです。


「1塁ベースを回るとき」に18件のコメントがあります

  1. ようやく投稿できます。
    メールアドレスもこれまで通りです。
    イチローは
    高校野球での頭からの滑り込みを否定しています。
    花巻東の前の試合で脳震盪を起こし
    担架で運ばれた選手が、決勝、最後の場面でも
    頭から滑り込みました。
    アナウンサーは、昨日に続いて
    花巻東のファイト衰えず、
    と称賛していましたが、
    イチローなら、どう言うでしょうか?

  2. 文武両道さん
    お帰りなさいませ!ようやく新しいパソコンになったようで、良かったですね。
    自分を含め文武両道さんのコメントを楽しみにしている方は多いと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
    さて、イチロー選手は最近4試合は試合に出ていないものの、驚異的とも言える故障の少なさで今まで来ています。それもあれだけアグレッシブなプレイをしていて。それというのも無用なリスクは冒さないということではないでしょうか。ヘッドスライディングは他のスライディングや駆け抜けと比べて、どうしても怪我をする危険性のあるプレーです。その上、フォースアウトで大丈夫な場面では駆け抜けるスピードを遅くするだけと言えなくもありません。なので1塁へのヘッドスライディングは周りを鼓舞するとか、相手を威嚇すると言った主に精神的な意味が多いように感じるからでしょうね。
    なので、やはり今回のプレーに対しても・・・。

  3. 新しいPC、いかがでしょうか文武両道さん。
    復帰おめでとうございます。
    イチローの走塁の話、元記事見たときから感心していました。いやーーー常々思うんですが、ヤツは本当に野球ばかですね~!(勿論イイ意味で!)
    全てを捧げている様で、でもおくびにも出さず。ストイックなようで、涼しい顔している。
    シニカルだったり笑顔だったり。
    どうせなら前人未踏の9年連続、達成して欲しい。
    願わくばキリ良くV10を!
    日本人がBaseballの本場で快挙、全く痛快痛快♪
    それでもマウアーやプホルスなどの逸材がいて、上には上が居るものですね!

  4. 皆様、ありがとうございます。
    いよいよ明日は総選挙ですが、
    「政権交代」という言葉で最高の投票率。
    真紀子も帰って、
    小沢、鳩山、岡田など田中派の復活!
    同盟関係の両亀井も族議員の代表ですから
    小泉がつぶした自民党が
    民主党の看板で復活!
    4年前、「郵政民営化」をもちあげた
    マスコミが「政権交代」をもちあげた成果!
    社民は与党になった小沢から、
    また斬られることになるのかも?
    小沢は豊臣をつぶした本多正信、
    徳川をつぶした岩倉具視を彷彿させる。
    かつて小沢をつぶした朝日が、
    自ら道を開いた小沢復活劇に警戒し始める
    喜劇!

  5. 明日の選挙、目標は投票所1番乗り(確か儀式を見ることができたはず)そのあとドームに行き。。。いや、その前の黄色いビルに(汗)
    ちなみに今日も客:『すいません、払い込みのやり方教えてくれませんか?』私:『会社が異なりますので操作できません』客:『どうしてもですか?』私『会社がちがいますので…。もしも私人の立場であるならば別ですが…』4年前でしたらちゃんと教えてあげていたのですが。。税収があがるっていっても負担しているのは客ばかり…民主党がまた変えるって言ってますが、迷惑な話。
    帰り道勝ってきた『大学野球』表紙を捲っての最初の写真。思わず『親子?』

  6. げんきさん
    コメントありがとうございます。
    彼の素晴らしいところの一つは、野球の高みの世界を言葉にしようとしていることだと思うのです。前にも書きましたが98年頃、まだ日本に「体幹」という言葉が一般的でない時期にしきりと使い、トレーニングウェアもそれを意識するようなデザインになっていました。Numberですら理解出来ず「体感が大事と常日頃からイチローは」と文を書いていましたから。
    多分我々は伝説を見ることが出来ている幸せな世代なんでしょう。ONを見た方々のように。一日も長く、そのプレーを続けて欲しいですね。

  7. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    さて、このお題は今刻々と報道されているお話なので、後で記事を立ち上げてみようかと思います。それにしてもすごい結果になるものですね[E:coldsweats02]

  8. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。
    一番乗りは果たせましたか?儀式ってどんなことをするのか興味がありますね。
    今回、郵便局長と医師会の民主党支持が鮮明に出ていましたね。今後、現場にはどんな風が吹くのでしょうか?
    来月の放送も面白そうですよね。特にスローイングと言えば、塾関係の野球部が苦手としているところ。是非参考になればいいですね。DVD購入も検討中です。

  9. いろんな意見を探していただきありがとうございます.意見を出し合うことで発展すると思います.ただ,野球の走塁を陸上のコーナーを比べるのは,回転半径があまりに違うので,違和感を感じます.一般論では,身体を傾斜してコーナリングするので左が良いと言えますが,プロや甲子園の上位を目指す野球では,いろんな場合を想定して,右で蹴るとバランスは難しいですが,効率的に走れることも覚えておいてほしいです.
    例として,有名な西武x巨人の日本シリーズでは,清原,辻は三塁を右足で踏んでいます.



    一塁は特に数種類の走塁が考えられます.レフト,センター,ライト前に飛んだ打球を見ながらオーバーランをする場合は,3通りの距離と方向があります.また,ゴロで内野を抜けたときと,最初から内野の頭を越えた打球で2通りの走り方があります.左右の踏む足を合わせるために,速度を落とすことが最悪ですから,踏み足がどちらでも最速で通り抜けられるように練習を積んでおいてほしいです.

  10. 甲子園への道さん
    コメントありがとうございます。
    再度お越し頂き、恐縮でございます。こうやってお話し頂けるのは大変ありがたいことですね!
    さて、最初の「野球の走塁を陸上のコーナーを比べるのは,回転半径があまりに違うので,違和感を感じます」とのことですが、走るメカニズムの話しとして出されたことであり、本質は体幹をねじって走るということは力の伝達のロスを招くというお話をしたかったのです。
    その上で、「身体を傾斜してコーナリングするので左が良い」のではなく、コーナリングをするためには急激な姿勢展開をするのではなく、体重をかけてそれから姿勢展開を行った方が次の動作に移りやすいというお話で、紹介させて頂いた文では二塁への盗塁のお話でも同じような趣旨で話しています。
    次に「有名な西武x巨人の日本シリーズでは,清原,辻は三塁を右足で踏んで」とのことですが、「この走塁がロス無く次の塁を目指す上で右足で踏んだ」ということにつながらなければ、その走塁を論じることは違和感を感じます。
    「一塁は特に数種類の走塁が考えられます.レフト,センター,ライト前に飛んだ打球を見ながらオーバーランをする場合は,3通りの距離と方向があります.また,ゴロで内野を抜けたときと,最初から内野の頭を越えた打球で2通りの走り方があります」とはその通りだと思いますが、打球の行方と2塁に向かうべきかを判断するのは1塁ベースコーチ。ランナーはいかに最短時間で次の塁に到達するかが第一義だと思います。そしてそれは、1塁線寄りの短いゴロで無い限り、走るラインとは関係がないように思えます。頭の中の判断基準として、どこで止まるか、どこでボールと野手の位置を確認するかの問題はあると思うのですが、踏み足は関係無いように思えるのです。
    「左右の踏む足を合わせるために,速度を落とすことが最悪」とは、その通りだと思います。だからこそ、普段の練習・試合から左足で踏む練習をして自然に出来るようになってほしいなあと思ったのが最初の趣旨です。
    ちなみにその原文がないので申し訳ないのですが、最初に見たイチローの記事の中に確か「オーバーランを大きく取るのは、距離のロスが大きくなるから余り意味が無い。だからこそ自然に最小距離で2塁に到達する走り方をしないと。そのためには~」といった趣旨のものがあったと思います。
    あとこれは個人的意見ですが、内野ゴロの走り抜けの際も左足がいいと思います。というのは右足で踏む場合はベースの左側になると思いますが、これでは守備妨害の危険性や交錯の危険性があります。また右側を踏むのであれば、走るラインが微妙に変わるので捻挫の危険性もあります。いずれにせよ日頃の練習等で左足で1塁ベースに到達するようなクセを付けるのが良いと思うのです。
    ちなみに余りYouTubeに二塁打のシーンが無かったのですが、一応探してみました。どうぞご覧下さい。
    青木選手の二塁打



    福本選手の二塁打



    とは言え、議論とは難しいですね。こうやって反論すると、きっと受ける側もいい気分がしないのだと思います。建設的な議論がお互いに出来るような関係になるのが一番ですよね。そうなれたら素晴らしいですね。
    いずれにせよ、このようにいろいろ考える題材を与えて下さって本当にありがとうございます。また懲りずに起こし頂ければ幸いです。

  11. 春のリーグ戦の観戦記の際に、管理人様がストップウォッチを持って観戦されていたのを記憶しています。今回の選手権、花巻東のあの走塁はダメなものも可能にしてくれそうな走塁でした 。例えピッチャーゴロでさえどこまで行くんだろうという走り。例えアウトになっても決して無駄ではありません。外野フライだったら、普通に1周まっていましたし。あの佐々木監督のコメント通りだと思いました。守備におけるカバーにせよ。。。あとピンチの時こそ笑顔!!最高でしたよ♪

  12. 今日発売の週刊ベースボールマガジンの特集は!?4年後改めてじっくり見て見たいと思います。ちなみに過去大学から直接指名されたのは18人。ここから『活躍』した選手の名前を思い浮かばないのは私だけ?強行1位指名のみでのちのクセモノの人生を妨害したり、今シーズン代打1打席で結局手術とか。。。某居酒屋のお客からいただいた意見もあります。同じ怪我でも、あのモンスターとは事情がとがうんだから、AAAを辞退するか、でるのであれば、イタイカユイなんて言って欲しくないです。特にあのユニフォームは特別ですから。

  13. ボソッ…。4回戦で隼人か日大、準々で相模かぁ。それにしても、いきなり横浜と桐蔭とか…。

  14. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。
    花巻東はエースピッチャーが率先して全力疾走していましたからね~。打者走者の時、13塁で1塁ランナーが盗塁したら、そのまま本塁に突っ込む、守備の時のカバーリング、どれもすごい勢いで走っていましたね。浦添商もそうでしたし、やはり強いチームは本当に一生懸命に走りますよね、どんなときも。「凡事徹底」が大事なのでしょう。
    直接プロ入りの18人の件、さすが辛口ですね~[E:coldsweats01]
    でもおっしゃるような状況でもあると思います。自分のイメージで
    とても活躍した-別当薫さん、藤田元司さん、(監督として)水原茂さん
    それなりに活躍した(している)-山下大輔さん、高木大成君、佐藤友亮君、高橋由伸君、
    なんですが、よくよく考えてみたら社会人経由も入ってしまっていました。評価される素材はみんな持っているのでしょうから、後はメンタルな部分の問題かもしれませんね。韓国に行った彼もいきなりのぎっくり腰のようですが、それも含めて体調管理も重要な要素ですからね。イチロー選手のコメントを聞いてもそれを強く感じます。
    それにしても、今回の神奈川はまたもや・・・。となると、横浜か桐蔭のどちらかは春の大会でシード落ちとなるわけで・・・。

  15. そういえば、今年の選手権。第1試合が始まる前にこの曲がガンガンかかってました。。。暗示だったのでしょうか



    また、週刊ベースボールP113に古関さんの記事でていましたよ。確か福島駅の発車ベルがあの曲だったと。ちなみに記事にでている写真が、あの高校の監督の選手時代のでして…

  16. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。
    「暗示」の意味をずっと考え込んでしまい、なかなかご返信出来ませんでした・・・。って時間が単に無かったせいでもあるんですが・・・。
    と言うわけで塾野球部でも伊藤君、竹内君に期待していきたいですね。
    古閑さんの作曲した校歌は、それこそすごい数だそうですね。独特の高揚感は、みんなで歌うとまた格別ですね。もっとも「叫べよ高く覇者の名を」と歌っていると、どうしても「早稲田」と叫べと言われているようで・・・。

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