「友愛の海」での出来事と民主党代表選の行方

以前、日本の首相をお務めになられた、明治以来の政治の名門家出身の方は、就任当初こんなことをおっしゃっていました。

東シナ海を「友愛の海」に 日中首脳会談で鳩山首相(From iza
 【北京=矢板明夫】鳩山由紀夫首相は10日、訪問先の北京で中国の温家宝首相、胡錦濤国家主席と相次いで会談、日中間の戦略的互恵関係をさらに推進することでは一致したが、日中間の懸案である東シナ海のガス田共同開発問題などで具体的進展はなかった。
 鳩山首相は温首相との会談で、中国が独自にガス田開発を継続していることに懸念を表明するとともに、「共同開発し東シナ海を友愛の海にしていこう」と呼びかけた。温首相は「国民感情の問題があるが、基本的には賛成だ」と応じた。
(後略)

そういった「友愛の海」構想をお話しされた後の東シナ海で起こった事と言えば

沖縄通過の中国艦艇、その後に沖ノ鳥島近海へ(From MSN産経ニュース)
 今月10日に沖縄近海を通過した中国海軍の艦艇がその後、日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)近海に入り、同島を基点とする日本の排他的経済水域(EEZ)内で島を1周するように航行していたことが19日、わかった。複数の日米軍事関係筋が明らかにした。沖ノ鳥島は島ではなく、EEZの基点とならない「岩」だと主張している中国側による日本への示威行動とみられ、日本政府は中国艦艇の航行記録を慎重に調べている。
(後略)

中国艦艇の近海通過問題 中国艦載ヘリが護衛艦にまた接近(From MSN産経ニュース)
 防衛省は21日夜、同日午後3時37分から40分ごろまでの間、沖縄本島の南方約500キロの海上で、中国艦艇を警戒中だった海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」に対して、中国軍のヘリコプターが約90メートルの距離に接近し、2周ほど周回したと発表した。政府は外交ルートを通じて、中国側に抗議した。
 中国軍の艦載ヘリの護衛艦への近接飛行は8日午前にも発生しており、度重なる近接飛行は日本側の監視を牽(けん)制(せい)するねらいがあるとみられる。
(後略)

中国船、日本のEEZ内で海保船に接近 外務省が厳重抗議(From MSN産経ニュース)
 海上保安庁は4日、中国の国家海洋局の海洋調査船「海監51」が3日午後、奄美大島北西沖約320キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で、海上保安庁の測量船「昭洋」に接近、約3時間45分にわたり追跡してきたと発表した。海監51が調査の中止を要求したため、日本の外務省は4日、中国政府に厳重抗議した。
 海上保安庁によると、現場は日本のEEZ内で、地理的中間線から日本側に約40キロの東シナ海。同庁の測量船が活動中に外国船に接近され、調査中止を求められたのは初めてという。
(後略)

「日本の測量船追跡は正当行為」と中国 日本の抗議に反発(From MSN産経ニュース)
 中国外務省の姜瑜副報道局長は5日、中国の海洋調査船が3日に奄美大島沖の東シナ海で海上保安庁の測量船を追跡したことについて「活動は完全に正当で合法だ」と語った。中国の通信社、中国新聞社が伝えた。
 現場海域は日本が日中間の排他的経済水域(EEZ)の境界線と位置付ける「日中中間線」付近の日本側。日本政府は4日、中国政府に抗議したが、中国側は逆に強く反発した。
 副局長は「東シナ海と釣魚島(日本名・尖閣諸島)の(領有権をめぐる)問題での中国の立場は一貫しており、明確だ」と強調し、海保の測量船の活動について日本側に申し入れを行ったことを明らかにした。(共同)

東シナ海でミサイル演習(From MSN産経ニュース)
 7日付の中国各紙によると、中国海軍東海艦隊は7月初め、浙江省沖の東シナ海で実弾射撃訓練を実施、新型のミサイル艇から、敵のミサイルを迎撃することを想定した演習も行った。
 訓練には数十隻の艦艇と十数機の戦闘機が参加。各紙は、ミサイルが飛んでいる現場写真も掲載した。
 今回の訓練は、妨害電波などによる複雑な電磁波環境での作戦能力の向上や、空海一体の総合作戦能力の点検などに重点を置いているという。
 東海艦隊の訓練については、米韓両軍が韓国西部の黄海で実施予定の合同軍事演習をけん制する狙いとの見方も出ているが、中国紙は「定例の訓練」と伝えている。(共同)


【中国人船長逮捕】中国漁船の“暴挙”にも海保は沈着、「国際的に適切」
(From MSN産経ニュース)
 沖縄・尖閣諸島付近の日本領海で違法操業の疑いのある中国漁船の船長、●(=擔のつくり)其雄(たん・きゆう)容疑者(41)が逮捕された事件。漁船は再三の警告を無視した上、船体を海上保安庁の巡視船に接触させる“暴挙”に及んだ。一方、海保側は国内法に基づいて冷静に対応。中国側は逮捕に反発するが、専門家は「国際的に見ても適切な対応」と太鼓判を押す。
 「わが国の領土である尖閣の領海で起きた事件。国内法にのっとり厳正に対応すべき事案だ」。8日の定例記者会見で、海保の鈴木久泰長官は強調した。
(後略)

巡視船と漁船の接触事故 中国紙が1面で報道 日本に抗議が力点(From MSN産経ニュース)
 8日付の中国各紙は海上保安庁の巡視船と操業中の中国トロール漁船が沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺で接触した問題について、1面などで大きく報道し、強い関心を示した。
 新京報は1面トップに「日本の巡視船が釣魚島付近でわが国漁船に衝突」の見出しを付け、接触した経緯をイラストも使って説明。北京青年報や、北京晨報なども1面で伝えた。
 内容は各紙とも国営通信、新華社配信の記事とほぼ同様で、中国外務省が日本側に抗議したことに力点が置かれている。また日本側の発表と異なり、海保の巡視船が漁船にぶつかってきたとしている。(共同)

中国漁船の領海侵犯が急増 昨年0から今年は14件(From MSN産経ニュース)
 沖縄・尖閣諸島付近の日本領海で、中国トロール船が海上保安庁の巡視船に接触し逃走した事件に関連して、今年に入り中国籍の漁船の領海侵犯が急増していることが10日、分かった。海上保安庁の鈴木久泰長官が同日、衆院国土交通委員会で明らかにした。日中両政府は今回の事件を「偶発事件」として処理しようとしているが、急増の原因究明が求められそうだ。
 鈴木氏は、尖閣諸島周辺の領海内で海保が外国籍の船舶に立ち入り検査した事例が平成20年は2件、21年は6件だったが、今年はすでに21件に上ると指摘。中国船に限ると20年に1件、昨年は0件だったが、今年は14件に上っているという。
 事件が発生した7日には尖閣諸島周辺に約160隻の漁船が集まり、うち約30隻が領海を侵犯をしていたことが確認されている。
 通常は、海保が立ち入り検査などで退去を命令すれば従うため、立件には至っていなかったが、船長が公務執行妨害で逮捕された中国漁船は、立ち入り検査を拒否して逃走。巡視船に2度、衝突したため、海保は初めての逮捕に踏み切った。

といった一連の流れ。どこに「友愛」を感じるのでしょうか?せっかく当時の日本の最高責任者が「友愛の海にしたい」と言ったのに。わかってくれない中国が悪いのでしょうか?
そうしたらこんな記事も。

米のアジア同盟国格付け…日本は韓国より下(From YOMIURI ONLINE)
 【ワシントン=小川聡】クリントン米国務長官は8日、ワシントンでの演説でアジアの同盟国に言及した際、「米国は韓国、日本、オーストラリアといった緊密な同盟国との結束を再確認した」と述べ、これまで定型的に使っていた「日本、韓国、オーストラリア」という順番を変更した。
 米軍普天間飛行場の移設などを巡り信頼関係が揺らぐ日本を降格させた形で、米国の知日派の間には、日本の優先順位を見直した事実を民主党政権に気づかせるためのオバマ政権からのサインではないか、との指摘も出ている。
 今回の演説は、ワシントンを代表する政策研究機関の外交問題評議会で行われ、オバマ政権の今後の外交指針を示すものとして注目されていた。
(2010年9月9日14時32分 読売新聞)

自衛隊のある方が「日米の同盟関係は、信頼してくれなどということばだけで維持されるものではない」と発言したら政権側から相当批判されていましたが、まさにそれを裏付ける記事ではないでしょうか。
まあ普通に考えれば
1)日本の現政権が動きづらい時期(政権交代直後、普天間問題付近、代表選付近)に、しかもそもそも強く抗議する姿勢を見せないので大きな動きは無いと読んだ
2)日米同盟の揺らぎを見て、米軍もこの問題に対して積極的には動かないだろうと読んだ
上でPower of Balanceの変化を確かめるための威力偵察的な行動と判断するのが妥当でしょう。そこには友愛とか友好とかではなく、冷徹な国際政治力学の関係で全てが行われるわけです。まさに日本がちょうど100年ちょっと前に中国や韓国(大韓帝国)に行った事と同じように。そして国際社会がどう動くかもまた、数多くの歴史が示唆してくれています。

山本五十六が真珠湾奇襲攻撃の作戦会議で、「開戦予定日前日までに日米交渉が妥結した場合は作戦を中止し帰投せよ」と命令した。すると部下が「最初から中止を考えながらでは士気に影響する」と反対したが、山本は
「百年兵を養うは、何のためだと思っているのか。国家の平和を護らんがためである。もしこの命令を受けて帰って来られないと思う指揮官があるなら、今より出動を禁止する。即刻辞表を出せ」
と凛として告げたというのである。(半藤一利『真珠湾の日』)

健全な形での軍の存在意義と言うのはまさしくこの言葉に象徴されるように、相手に侵略されないため、国益を侵されないためにあるものであり、決して殺人狂だったり戦争きちがいなわけではないのです。なので、少なくとも為政者・政治家達は最低限の軍事的知識は必要だと前も書いたのです。
今、日本は自前で完全な軍隊を持っていませんし、持とうともしていません。それならそれで、日米同盟の強化を図り国の安寧を図ろうとするしか現実的な案はないように思えますが、唐突に日米中等距離外交とか言い出したり、アメリカ軍との共同作業をうち止めてみたり(インド洋の補給活動、普天間基地移設問題)しています。そんなことをされた元総理は今日はロシアで何かしらやっているみたいです。普天間工法決着と決めた8月やその後の9月に中国とロシアばっかり行っているんですから、そりゃあ同盟順位も下げますね。
「菅首相との信頼関係が重要」 鳩山氏、領土問題でロシア大統領に(From MSN産経ニュース)
もし万が一小沢さんが代表選挙に勝つと、鳩山さん管さんを重要閣僚にすると言っています。そうなるともしかしたら鳩山さんは外務大臣??いやあ、それだけは・・・。
そして小沢さん自身も

【民主党代表選】沖縄の米海兵隊「いらない」と小沢氏(From MSN産経ニュース)
 民主党の小沢一郎前幹事長は3日午前、テレビ朝日の番組に出演し、沖縄県に駐留する米海兵隊について「実戦部隊はいらない」と述べ、全面撤退すべきだとの考えを示した。理由として「米国の戦略も軍事技術の発達などで前線に大兵力を置く必要がないという判断だ。だから欧州からもみんな引き上げている」と語った。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題では、鳩山由紀夫前首相が鹿児島県・徳之島などへの県外移設を模索したことに関し、「鳩山氏にその経過や話し合いの内容を十分聞いた上でやろうと思う」と述べ、県外移設を検討する考えを示唆した。
 一方で、名護市辺野古(へのこ)への移設を明記した5月の日米共同声明についても「尊重しなければならない」と強調した。「小沢首相」の場合、こうした矛盾した発言で再び事態が迷走することも予想される。

代表選の行方がどうしても気になってしまう所以です。

「「友愛の海」での出来事と民主党代表選の行方」に1件のコメントがあります

  1. 日本向けレアアースを全面禁輸=中国、尖閣沖衝突問題で―米紙 【ニューヨーク時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は22日、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に絡んで、中国政府がこのほど、日本向けのレアアース(希土類)の輸出を全面禁止したと報じた。訪米中の温家宝首相は21日、「日本が船長を釈放しない場合、さらなる行動を取る」と表明しており、日本に強い圧力を掛けることが狙いとみられる

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