度々の中国ネタですみません

この前の記事で書いたことの流れで書いてみますが、改めて今回の中国の対応を見ていると、周恩来・鄧小平の時の中国とは違い、実はイメージほど対外交渉が上手いわけではないのではと最近では思っています。
大正末期から昭和初期の日本を想起してみると、なんのかんの言って対華21箇条の要求を袁世凱に呑ませたり、満州事変を起こしてもそれなりに日本の権益を認めさせていたりします。つまりその瞬間だけを見れば、外交交渉に成功しているのです。江戸末期には想像もつかないような途方も無い軍事力を持つに至っていたわけで、それまで我慢して交渉していたのが、一気に自分たちの力に自信を持ち、強硬な外交姿勢に終始しました。
今の中国もそれこそアヘン戦争以来ついぞ持つことのなかった強大な軍事力と経済力を持つに至り、今までの世代の人たちは蒋介石等も含み我慢に我慢を重ねながら、いろいろな布石を打ちながら外交交渉をして来たのとは明らかに違う、力を信奉したような外交姿勢に転じています。南沙諸島もその流れに見えます。
これこそ苦労を知らない3代目世代の、怖さではないでしょうか?
自分は中国の方に敢えて忠告したい。

「歴史を鑑とせよ」
と。
自分の面子を立てることばかりを要求し、相手の面子を立てることに気を使わず、外交での戦術上の勝利ばかりを追い求めてばかりいると、大局的に見た時に失敗することは、戦前の日本が証明しています。
孫子 謀攻篇の中に

「是の故に百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。」

とあります。中国人のご先祖様がまさにこのことを言っていますよね。
今回の結果、決定的に日本人の中国に対する印象が悪化しました。21世紀に入ってから中国が時折見せる行き過ぎた反日姿勢は、日中友好とは明らかに反対方向に向かっています。そのうち日貨排斥ならぬ中貨排斥の動きが出てくるかも知れませんよ。せっかく周恩来が煮えくりかえる思いを胸に、パンダを送り、中国ブームを日本に巻き起こしたのに・・・。それよりよっぽど国として力もあり豊かにもなっている現代中国の方が狭量では・・・。
自分はもちろん我が日本国にもっと毅然としたしっかりとした国になって欲しいと願っていますが、それと共に三國志・史記などに少年時代から親しんできて、本来は親近感を持っていた中国に、ここらで目を覚まして欲しいと願うのです。ちなみに某有名評論家が最近三國志を見たとか言って、

 今年10月末にレンタルが始まる中国の大作ドラマ「三国志」を観る機会があった。全95話に及ぶ長大なドラマである。その一部を何度か観たのだが、そこには義理人情などまったく通用しない世界が描かれていた。裏切りあり、密告あり、何でもあり、なのである。要は、勝つか負けるかの世界である。日本の歴史ドラマに見られる正義とか信義といったものはない。

とあって驚きました。三國志の最大の見せ場の一つ「出師の表」は見なかったのでしょうか?「泣いて馬謖を斬る」は?関羽が殺された後の劉備の気が狂ったかのような呉への侵攻は?
大体「正義」と言う言葉は、宋の時代に発達したことも知らない?
でもこの方はとても影響力があるし、W大出身の有名なテレビキャスターだったんですよ。そういった人に「中国は義理人情などまったく通用しない世界」なんて言われてしまうわけです。ちゃんと読むことも見ることもされずに。
中国が国益を追求するのはその立場から考えればもっともだとは思いますが、今一度自分たちのご先祖様が残した多くの古典でも読み、君子たるものはどうあるべきかを見直してみる必要が今こそあるのでは?と思うのです。それこそが大局的に見て、中国の国益にかなうと思うのです。

「度々の中国ネタですみません」に6件のコメントがあります

  1. とても勉強になります。
    昨日、応援指導部OBの長島議員の国会での発言。
    毅然とした対応を政府に求めていました。
    こういう姿勢を見せることで中国に甘く見られないことが
    肝要。
    それにしても中国のためのODA案件で調査しているゼネコン
    社員を人質にとるなど
    北朝鮮と同じならず者であることがわかりました。
    沖縄の知事もアメリカは出ていけと言いながら、
    沖縄の海を守れという自己矛盾に少しは気づいてほしい。

  2. 民主党代表選挙直後に剥き出しになった中国の強硬姿勢が変化の兆しを見せ始め、正直ほっとしています。タイミングや手法については異論がありますが、結果論として船長釈放は正解だったんでしょう。あとは残るフジタ社員の解放を待つばかりですね。
    「他山の石」一連の推移で改めて教育の怖さを感じました。

  3. 本日8回表終了で球場を後にしたのですが
    青年館の前を通った際目に入った看板
    「日中親善交流会」(←正確でないかもしれませんがこんな感じでした)
    この時期によく開催できたものだなと思いつつ家路に。

  4. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    結局強い姿勢と柔軟な姿勢を併せて見せた方が効果的なことが多いとか、結局規制緩和を断行し、民間活力を有効活用した方が経済成長するとか、いろいろ実績も含め出ているにも関わらず、殆どの場合はそれと逆の方向に行くのは覚悟の問題か、政体の問題か、報道の問題か、有権者の問題か、いったいどれなんでしょうね。
    沖縄県知事も自分のおっしゃっている矛盾を知りながら、選挙を考えああ発言してしまう。沖縄県議会もしかり。返す返すも恐ろしいパンドラの箱を開いてくれたものです。前首相は。

  5. kktfさん
    後の推移を見た時、私も船長釈放はありだったのかとも思っています。但し、対外宣伝上という意味で。なぜ逮捕したのかをビデオ等で明示して、その上で日本国政府としては中国政府との過度な緊張関係は欲しておらず、周辺諸国への影響も考えて釈放したとしっかり説明すればです。
    例えば表に出さないことで何人かの中国政府の要人は感謝するかも知れない。しかしそれが中国政府の多数派になることはなく、また世界から見ても日本の方が悪く見られてしまう。
    折角中国異質論がこの件における異常な強硬姿勢と、ノーベル平和賞問題で高まってきている時に、相手が恩を感じるわけでもない、国際的に説得力ある言論をぶつけるでもない今の政府の姿勢はどうかとやはり思ってしまっています。

  6. 神宮通いさん
    コメントありがとうございます。
    こういう時こそ、民間交流を日本主催の中では行っていくべきだと思います。なかなかその会を主催された方も剛毅な方なんですね。

管理人 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください