今も昔も

昨日なんとか無事ピアノの発表会も終え、親戚の叔母さんのお通夜に向かっている車中で、なんともたまげるニュースを聞きました。

北朝鮮が韓国を砲撃、交戦…韓国兵2人死亡(From yomiuri online




 【ソウル=仲川高志】韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮軍は23日午後2時34分、黄海上の南北軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)の南約3キロ・メートルにある韓国北西部・延坪島(ヨンピョンド)に向けて数十発の砲撃を行い、一部が着弾した。
 韓国軍も応戦した。同島の韓国海兵隊員2人が死亡、15人が負傷したほか、島民3人も負傷した。1953年の朝鮮戦争休戦後、北朝鮮が韓国の陸上の目標を攻撃したのは初めて。核の威嚇を強める北朝鮮による新たな敵対行為に国際社会の非難が高まっている。
 韓国軍も対抗射撃を行い、砲弾80発余を発射した。計約50分間、交戦状態に陥った。同日午後3時40分以後、砲撃は止まっている。
 同島では住宅火災や山火事が数か所で発生し、住民約1700人は島内の防空壕(ごう)や、東方約120キロ・メートルの仁川(インチョン)に避難した。
 延坪島周辺では2002年6月、南北艦艇が交戦するなどの衝突があったが、北朝鮮が韓国陸上部の攻撃に及ぶことはなかった。
 韓国軍は22~30日の日程で、米空軍の参加も得て陸海空軍の合同訓練を黄海で行っている。朝鮮中央通信によると、北朝鮮の朝鮮人民軍最高司令部は23日夜、「南朝鮮(韓国)が無謀な軍事挑発を行った。即時、断固たる軍事的措置を講じた」と主張。砲撃を韓国軍が23日に行った射撃訓練への対抗措置と位置づけるとともに、砲撃が北朝鮮指導部の意思に基づいていることを示唆した。ウラン濃縮活動を公表したばかりの北朝鮮による砲撃の狙いについては、米国を直接交渉に引っ張り出す意図との見方がある。また、金正日(キムジョンイル)総書記から三男、正恩(ジョンウン)氏への権力継承に絡み、正恩氏の軍内部での求心力を高める思惑も指摘される。
 韓国の李明博(イミョンバク)大統領は安全保障関係の閣僚による緊急会議を招集、対応を協議した。青瓦台(韓国大統領府)は会議後、声明を発表し、「民間人への無差別砲撃は到底許せない。追加的な挑発行為には断固たる対応を取る」と警告。警戒態勢を最上級に引き上げた。

これに対して北朝鮮は、

「韓国側から攻撃」と北朝鮮(From asahi.com




 北朝鮮の国営朝鮮通信は23日夜、朝鮮人民軍最高司令部の報道発表として、韓国軍が「23日午後1時から延坪島一帯の我々の領海に砲射撃を加える無謀な軍事的挑発を敢行した」と伝えた。北朝鮮側が「即時に強力な物理的打撃で対応する断固たる軍事的措置をとった」としている。

と報道。正に朝鮮戦争を想起させる流れです。(朝鮮戦争の説明はこちら
しかし今までも北朝鮮は韓国に対して数多くの無法行為をしてきたとされています。思いつくだけでも
青瓦台(韓国大統領府)への特殊部隊の侵攻
朴大統領暗殺未遂-夫人殺害
ラングーン爆破テロ事件
大韓航空機爆破事件
いやあ、秘密結社も真っ青なくらいにいろいろやっていますね。
でもこれだけやられて、なぜ、北朝鮮は明確な征伐や報復を受けないのか。
これが正に朝鮮半島の地政学的条件によるものだと思うのです。
すなわちあそこの半島を挟んで、直接的には日本、中国、ロシアが、そして現在の基地の配置からすればアメリカが隣接しています。すなわち世界のスーパーパワーがことごとく絡んでいると言えるのです。
そして堪忍袋の緒が切れて北朝鮮を本格攻撃した場合、その関係上中国が出てこざるを得ません。そうなれば米国も出ざるを得なくなり、そうなればロシアも出ざるを得ない。そして日本も無関係であるわけもない。つまり誰も望んでいないにせよ、ドミノ倒しのように世界大戦になってしまう危険性があるのです。
第一次世界大戦のバルカン半島にそっくりです。あのときも別にドイツもフランスもイギリスもオーストリアもロシアも積極的な戦争は望んでいなかったのですから・・・。
これで北朝鮮が韓国に本格侵攻しようとするなら話は別です。その時はもう戦うしか選択肢が残っていませんから。ずっと中途半端に相手国を刺激しても、特段国を滅ぼされることには繋がらない。だからこそ自分たちの主張を通すために、無法な挑発を繰り返しているのでしょう。これくらいならやっても、きっと反撃されるわけではないと。
では、中国はなぜそんな無法な北朝鮮を庇護するのか。これは一にも二にもアメリカの影響地が自分の隣国にあってほしくない。朝鮮半島を緩衝地域にしたいからに他ありません。別に友情や正義ではなく、国益のためにそうしているだけです。であればいくら北朝鮮が無法だ!と言ったところで、じゃあなるほど。北朝鮮けしからんとなるはずも無いでしょう。
じゃあ、北朝鮮は大変うまく立ち回っているのかと言ったら、決してそんなことはない。あれだけ民間の経済的活力を痛めつけ、国民を飢えさせてしまう体勢は、現代か?と言いたくなるほどであり、国富の蓄積という観点から見れば、経済制裁と相まって大変苦しい状況に追い込まれているわけです。そうなれば国の指導層と国民の意識・距離はどんどん乖離してしまっているように感じます。
と考えていくと、純粋に軍事的対応を取ることが地政学的に難しいわけであり、これを打破するには北朝鮮国民の先軍政治を執る北朝鮮政府に対する不満を大きくし、自己変革を促すしかないと思うのです。つまり改革開放、民主化を内部から進めるようにすると。であれば、やはり情報を北朝鮮住民になんらかの方法で届けることも必要でしょうし、ヘビの道はヘビではありませんが共産諸国のお家芸的なことも必要になるのではないでしょうか。
そんな地域に国土がある日本は、もっと国民が本気になって国の安全保障をもっと考えていかないといけないのです。少なくとも勉強して海兵隊が抑止力であることを初めてわかるようではまずいのです。
なんで明治の日本が朝鮮半島で清国やロシアと戦わなければならなかったのか?ただの侵略狂だったからか?ということを、少なくとも日本人は自分なりに考えておくべきだと思います。結局のところ、明治の時代から日本と朝鮮半島の地政学的意味は変わっておらず、悩むことも殆ど一緒に見えます。だからこそ、歴史を鑑としなければいけないと思うのです。
なので、BS-Hiでは今度の日曜日から始まる「坂の上の雲 第二部」を見て、自分も思いを馳せてみようかと思います。でもこのTVドラマにも近隣諸国配慮条項があるみたいだからなあ・・・。
-追伸-
そんな緊迫している情勢下、言いたいことや意味はわからないでもありませんが・・・、
「北朝鮮の砲撃は神風だ」 「民主幹部が発言」報道
はあ、ここまで来るともう・・・[E:shock]

「今も昔も」に3件のコメントがあります

  1. 「今こそ存在するものの理解に重きを置くべきである。
    存在に当為を対抗させて、いたずらに悲憤慷慨すべきでも
    意気消沈すべきでみなく、
    むしろ事実をありのままに受け容れ、その由ってきたる所以の
    必然性を洞察し、
    またそれが如何なる動向をはらむかを認識することこそ、
    大切であって、
    そうすることによって初めて苦境から脱することができる。
    国家権力の中心点すなわち政府というものは、対外的、
    体内的安全のために必要欠くべからず権力を組織維持することを
    もっておのれの使命とすべきである。
    マキアヴェリに先立って経過した幾世紀にもわたる歴史とまた
    彼の時代のイタリアの歴史を念頭に置きつつ、
    今すぐ「君主論」を読むべきである。
    非道徳的な悪書と非難されるこの書の真に政治的な偉大な着想
    から学ぶべきである。」
    ヘーゲルの言葉です。

  2. 中国の知人(国際問題専門家)によれば、
    「中国の北朝鮮への影響力は日米韓が期待するほど
    もはや持っていない。
    むしろ裏切られたと感じたら、
    ミサイルは日米韓ではなく中国に飛んで来る」

  3. 丁度40年前に三島由紀夫割腹自殺の報が授業中にクラスメートによってもたらされた時のことを思い出しました。教室はもちろん騒然となりましたが、そのとき先生はきっぱりとこうおっしゃいました。「上野の山に鳴り響く砲声を聞きながら福澤先生は・・・」たぶんご存知ですよね、この話。すると潮が引くように教室は静寂を取り戻しました。時代のうねりのようなものを感じる今日この頃です。我々は話でしか知りませんが、感覚的には当時の福澤門下生の心意気を見習いたいですよね。「坂の上の雲」私も大いに楽しみにしています。

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