サッカーのアジアカップでの猿騒動から思ったこと

この前のサッカーのアジアカップ優勝は、余り明るくないニュースが続く日本において、一服の清涼剤のようなニュースでした。
その中での激戦の一つ、対韓国戦で先制点となるPKを決めた奇誠庸選手がカメラに向かってサルのまねをしたことに対して、ちょっとした騒ぎがネット上で起こりました。
その際に彼はツイッター上で
「旭日旗を見て「私の胸中で涙が流れた」と説明。その後「私は選手である前に大韓民国の国民」」
と釈明したそうです。
戦後65年以上経った今でも、旭日旗はこんな風に言われてしまっています。
対米英戦争に突入する際、指導者層の中で勝算のある人はいなかったそうです。ただ、このまま座して圧迫を受け(当時、ABCDラインと呼ばれ、経済封鎖が行われていた)戦わずして負けるという精神的に堕落した形に陥るより、死中に活を求め、遮二無二頑張れば、例え負けても精神的なもの(大和魂、国体)は後世に残ると考えていたようにも思えます。また、軍にしてみればあれだけ強硬論を唱えていたので、今更勝てないとは言いにくいといった事情もあったように思えます。
つまりこの時の目的は
「日本の不屈の精神を残す」
「軍を維持する」
といったところにあったように思えます。
サイパン島が陥落した段階で絶対国防圏は崩れ、敗色は濃厚になってきました。なんといっても日本全土が空襲圏内に入ってしまったのは、途方もないことだと思います。でもやはり、上記の目的もあり、それから1年近く、とことん戦い、そして負けました。
その結果、日本は通常の軍事力を持てない国となり、日本国の国旗を辱められても何ら抗議も出来ず、栄光の象徴でもあった旭日旗は、反感を買う旗になってしまったのです。それが遠い中東のサッカー場でも出てしまうようになってしまいました。
また、当時の人が思っていた日本人の良さ・誇りというのは、その後のWar Guilty Programによって結構壊されてしまいました。
つまり、目的が全く達成されていないどころか、それを目的とするなら一番最悪なのでは?と思えるような結果となってしまっているのです。
これは、なぜ?
それこそ我々がよくやってしまう、部分最適を見て、全体最適を見ないところが原因なのでは?と思うのです。
何をするにしても、当然そこには理由があるわけですが、その一つ一つの理由に気を配りすぎると、全体の方向性がおかしくなることが多々あります。そうならないようにするために巨視的な見方が重要なのです。出来なかった理由はいくらでもあったと思いますが、「日本の不屈の精神を残す」「軍を維持する」が目的であったのなら、サイパン陥落時に和平交渉に向かうべきだったのでしょう。何のかんの言ってイタリアはさっさと降伏し、更に連合国に加わってしまっています。そういった柔軟性(?)も必要かと。
翻って今の日本においても、数多くの難問が山積しています。我々が目指すべき全体最適とはどこでしょうか?高福祉社会を作るにも、便利な世の中を作るにも、自分らしい生活が出来るようにするにも、雇用をしっかり確保するためにも、結局は着実な経済発展をするしかないのだと思います。その経済発展についての国会での議論が、少なくともマスコミの報道上低調なことに、危機感を感じます。TPPはいったいどんなことになっていくのでしょうか・・・?

「サッカーのアジアカップでの猿騒動から思ったこと」に2件のコメントがあります

  1. お久しぶりです。
    ワタミさんが出馬するそうですが、伝えられた主張は高齢者福祉と雇用、財政。
    どこかで聞いたことがあるようなフレーズですが、それだけ永遠の課題であるということか。
    それよりキャッチフレーズが、笑顔の…(略)だそうで、無党派層を意識したような何とも抽象的な意気込み、と感じて少し残念に思っています。杞憂でありますように…

  2. げんきさん
    コメントありがとうございます。
    さて、わたみさんが出馬表明されましたね。今のところ政策がよくわかっていないのでなんとも言えませんが、たたき上げで企業を作ってきた経験は期待できると思います。お金の使い方、人の使い方、決断のタイミングなど、企業経営は政治に通じるところも多々あるのではと思うからです。今の政治家たちを見ていると、どうしても学校の部活みたいな感覚だなあと思ってしまうんですよね。特に当選回数に拘っているところなんか・・・。
    いずれにせよ、いろいろな背景の人が政治を目指すのはいいことだと思います。大いに政策論争で盛り上がって貰いたいものですね。

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