そして運命は彼らに委ねられた

こう言ってしまうのは本来大変きついことなのかもしれません。しかし影響の甚大さを考えると、映画のような話しとは言え、この数百人の方々に首都圏、いや日本全体の命運がかかってしまっています。
文字通り命がけで取り組んでいただいているこの方々に心からの感謝と敬意を表明すると共に、菅首相がよくおっしゃっている「国力を結集して」彼らをバックアップし、そしてこの難局を乗り切ってほしいと思います。
この事態の解決に対して微力、いや無力な自分としては、そうやって祈るしかありません。あとは情報を咀嚼し、冷静に判断し、行動するしかないですね。

被曝の恐怖、余震…真っ暗な建屋で決死の作業(From YOMIURI ONLINE)
高濃度の放射性物質の放出が続く福島第一原発。放射能汚染の恐怖と闘いながら、決死の作業が続く。
 15日朝に大きな爆発が起きた2号機。
 東電や協力企業の作業員ら800人が水の注入作業を行っていたが、爆発に伴い、「必要最小限」という50人を残し、750人が一時、現場から離れた。被曝(ひばく)を避けるため、放射線量が高くなると作業を中断しなければならない。15日午前、隣接する3号機付近で観測された400ミリ・シーベルトの環境下で作業できる時間は15分が限度。津波による被害で、停電も続く。
 照明がつかないため真っ暗な建屋内で、作業の効率はあがらない。余震が続く中、津波警報で作業の中断を余儀なくされることもある。400ミリ・シーベルトを記録したのは、作業員が携帯する放射線監視装置だった。
 12日午後、高圧になった1号機の格納容器内の蒸気を逃がすための弁が開放された。格納容器に亀裂が入る最悪の事態はまぬがれた。その弁を開ける作業にあたった男性は、100ミリ・シーベルト以上の放射線を浴び、吐き気やだるさを訴えて病院へ搬送された。
 もともと、この作業では、大量の放射線を浴びる危険があった。このため、1号機の構造に詳しいベテラン社員である当直長が作業を担当。「タイベック」と呼ばれる特殊な全身つなぎ服とマスクを身につけ、手早く弁を開けたが、10分超で一般人が1年に浴びてもいい放射線量の100倍にあたる放射線を浴びた。
 経済産業省原子力安全・保安院によると、同原発で注水作業に当たる東電職員らは約70人。ポンプなどを制御しつつ、交代しながら格納容器付近の現場で活動している。
 本来、中央制御室で監視できる計器も、被災後、故障し計測不能なものがある。遠隔制御も不能で、原子炉冷却のために弁を開く作業も現場で手作業するしかない。福島第一原発は1971年に1号機が稼働した古い原発で、通路などが狭く作業しにくいことも足を引っ張っている。
 注水が進めば原子炉内の圧力が上昇し、炉の崩壊の危険性が高まるため、弁を開いてガスを外部に放出しながら進めなければならない。ガスは放射性物質を含むため、放出自体は最小限に抑えなければならない。東電の担当者は「バランスをみながらぎりぎりの選択の連続だ」とため息をつく。
(2011年3月15日20時01分 読売新聞)

同記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110315-00000701-yom-soci

安全のはずが命がけ…怒る自衛隊・防衛省

 放射能汚染の懸念が一層高まる事態に、自衛隊側からは怒りや懸念の声が噴出した。関係機関の連携不足もあらわになった。
 3号機の爆発で自衛官4人の負傷者を出した防衛省。「安全だと言われ、それを信じて作業をしたら事故が起きた。これからどうするかは、もはや自衛隊と東電側だけで判断できるレベルを超えている」。同省幹部は重苦しい表情で話す。
 自衛隊はこれまで、中央特殊武器防護隊など約200人が、原発周辺で炉の冷却や住民の除染などの活動を続けてきた。東電や保安院側が「安全だ」として作業を要請したためだ。
 炉への給水活動は、これまで訓練もしたことがない。爆発の恐れがある中で、作業は「まさに命がけ」(同省幹部)。「我々は放射能の防護はできるが、原子炉の構造に特段の知識があるわけではない。安全だと言われれば、危険だと思っていても信じてやるしかなかった」。別の幹部は唇をかんだ。
(2011年3月15日14時47分 読売新聞)

「そして運命は彼らに委ねられた」に3件のコメントがあります

  1. 読売新聞の記事は、非常に「まとも」な記事で政府、東電のシナリオも、明解に示して
    くれました。
    計画高さ(=堤防の設計高さ:余裕を持たせると検査院に査察され処罰されます。)を越える高さの津波に襲われ、原子炉本体と其の建物は残ったが、緊急炉心給水装置、真水タンク、自家発電装置等の付属建造物は破壊された。
    緊急反応停止装置は見事に作動し、稼働中の原子炉は全て停止した。
    本来ならば、後は「水」の温度が上がるのを防げば万全だった。水は、燃料棒から常時出される中性子を吸着し同時に熱対流で熱を取り出すのに使われている。
    ところが、水を循環させ冷却する装置は破壊され使えない。東電はすぐそれを知り、政府に報告し、同時に助ける炉と捨てる炉を決めた。もう使用計画年数を充分越えた1号炉は捨てることにし、海水も辞さずとした。
    新しい炉ほど助ける価値がある。多分3~6号は助ける予定だったと思われる。
    水が熱くなれば燃料棒を被覆する金属(ジルコジュウム)と反応し水素ガスが発生し炉内の圧力は増し、水を圧入出きず且つガスの体積増加で燃料棒は水から露出する。
    一部近隣地区の住民を避難させ放射線物質を含むガスを少しづつ放出して圧力を下げ水を注入する」此れが政府と打ち合わせ、了解を得た事項でであったであろう。
    シナリオが崩れたのは、作業の困難さと機械や物資の調達運搬に時間がかかり、且つ炉を構成する部材が地震で破損し、水素ガス爆発で1号炉の建物が破壊した事から始まった。使用済み燃料用プール水の高温化に因る水素の爆発の可能性もあった。1~3号炉は見捨て、兎に角原子炉の暴走を止める事に決めた。3号炉が爆発した。
    予定外は4号炉で、使用済み燃料水槽の温度は上がり、水は不足し、被服金属が壊れ水素が出て、火を2度も出した事であった。多分ホウ素水の注入で、止まると思っているらしいが、どの程度上手く行くかは不明である。

  2. 上田さんのブログ、再開第1報
    同感です。
    節電のためにNHKの放送だけでいい。

  3. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    原発関連の記事で、最初は日経が抑制が効いたしっかりとした説明の記事を書いているように思えましたが、読売の記事もどんどん本質をついたいい記事が出てくるようになりましたね。
    文武両道さんにご紹介いただいた記事、まさにそのように東電も考えていたのでしょうね。いろいろな観点から廃炉は避けたかったでしょうし、特にプルサーマルが始まったばかりで、これを無にすることはこの後の未来の時計の針を止めてしまうことにもつながるでしょうから。
    それにしても堤防の高さにも規定があり、高くすると無駄使いと認定されてしまうとは驚きました。こういった規制はやはり糾弾されるべきなんでしょうね。
    何となく報道も落ち着いてきていますが、原発はまだまだ予断を許さない状況だと思います。何度も書いていますが、日本の幸運を祈るしかないですね。
    報道のヘリコプターの話し、枝野さんもはっきり言っていましたね。東電の福島支店の一室は報道陣の食べ散らかしたコンビニのゴミやら何やらが山積しているとか。彼らの特権意識にも似たあの感覚もどうにかした方がいいですよね・・・。

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