民意は正しい?

テレビでも新聞でも、判で押したように言われる「民意は正しい」という言葉。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
今までの歴史を考えて、特に紛争に絡む問題について、時の政府より世論の方が強硬論ということが殆どでは無いでしょうか?
今日目にしたニュースだけでも、

韓国国会議員が日本人を「倭人」と発言、ネットでは「痛快」が多数(From searchina)
韓国の国会で議員が日本人のことを、日本人を侮辱する意味で使われる「倭人(わじん)」と発言したことが話題となっている。韓国メディアは「政治家の悪い口」と批判的に伝えたが、韓国ヤフーの投票では62.4%が「痛快な発言」と回答した。
 「倭人」発言をしたのは民主党のチョ・ギョンテ議員。17日に国会知識経済委員会が開いた「大企業の社会的責任強化に対する公庁会」で、チョ議員から「私は日本が好きではないので『倭人』と呼ぶ」との発言が出たため、キム・ヨンファン委員長が慌てて引き留める場面があったという。
 キム委員長は「独島問題を含め、感情は理解できるが、ここは大韓民国の国会の場」とし、チョ議員の発言が不適切だったと指摘。「速記録には『日本人の慶尚道表現』と訂正してもかまわないか」と提案した。
 チョ議員の「倭人」発言のほかにも17日国会では激しい発言が複数出た。韓国メディアは「政治家の悪い口が物議に」「議員にあるまじき卑劣な言葉」などと、批判的に報道した。
 同話題について韓国ヤフーで開催中のインターネット投票には、20日午後3時現在、15400を超える投票が集まった。計5つの選択肢の中で「痛快な発言」と回答したのは全体の62.4%を占め、圧倒的に多かった。
 一方、「国会議員にあるまじき発言」との回答は24.1%に過ぎず、12.5%を占める「注目されようと意図した発言」を合わせても批判的な見解は36.6%にとどまった。「興味がない」と「その他」の答えもそれぞれ1.9%と1%と、同話題に対する関心の高さがうかがえる。

エジプト:大使召還…治安要員死亡でイスラエルに抗議 (From 毎日jp)
【カイロ和田浩明】イスラエル南部で18日起きた連続テロで、容疑者追跡中のイスラエル軍の発砲に巻き込まれ、エジプト治安要員5人が死亡したとして、エジプト政府は19日、イスラエルに抗議し、駐イスラエル大使の召還を決めた。エジプト国営中東通信などが報じた。エジプトで2月にムバラク前政権が崩壊して以来、緊張が高まっていた両国関係の一層の悪化が懸念される事態となった。
 カイロのイスラエル大使館前では、イスラエル大使の追放を求めるデモが発生、20日未明まで続いた。国民に根強い反イスラエル感情が噴出した形だ。

日本でも古くは日露戦争後の日比谷焼き討ちや昭和初期、暴支庸懲、鬼畜米英といった具合に、政府よりも先に民衆の強い意志がずるずると事態を長引かせていき、破滅的結果を招きました。近年では日米安保改定で大騒ぎをしてみたり(今振り返って全面講和や安保は改定しなかった方が良かったと思っている人はどれくらいいるんでしょうか?)、北朝鮮への強硬な態度など、やはり本質的には対外的に強い国でありたいと思っているようにみえます。
アメリカだってドイツだって中国だってどこだって、民衆はより強硬な論議を求めるような気がします。そうでしょう、どの時代のどの人達も生活は決して楽では無く、ここから抜け出すためにはより景気の良い話し、すなわち自らが属する国家がより栄光の時代を迎えるかのような思いをしたいのでしょう。誰だって、ここは国際協調のために自分たちがガマンするんだという気持ちにはなかなかならないでしょう。
これを見て「民意が正しい」と言うのでしょうか?
勿論民意が正しいことも多々ありますが、特に外交関係に於いてそうでないことも多いと思います。
だからこそ、政治家・外交官の強い信念が必要だと思うのです。
だからこそ、マスコミは社会の木鐸として、大衆に迎合すること無く、自らの信念を吐露して欲しいのです。
新聞・マスコミには「報道」する面と、「論説」する面があると思います。これだけインターネット等の発達により「報道」の速報性が薄れている今、しっかりとした「論説」が出来るようになってほしいと思うのです。そして、その論説を民衆に開陳することによって、より良き方向に国を導いてもらいたい。そういった力が新聞・マスコミにはあると思うのです。

「民意は正しい?」に1件のコメントがあります

  1. 「社会の木鐸として・・・」の一文、昨今のマスコミのありようを端的に表しているように感じ思わず膝を打ちました。マスコミとは本来無責任なものという冷めた見方もありますが、沖縄地方紙に見られるようにその影響力の強さは政治家の発言を遥かに凌ぐものもあります。戦後教育を受けた我々の多くがどちらかといえば苦手とする「自戒」ですが、とりわけテレビ業界人に求めたいものですね。

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