今回の反日暴動に関する中国大使の見解と日本の政治家の見解

今は民主党も自民党も代表選挙・総裁選挙の真っ只中ですが、不思議なのは今回の反日暴動に対して誰もが通り一遍に触れはするものの、自分としての意見を明確にして、中国に伝えようとしていないところ。
あなたがたは評論家では無く、これから日本のリーダーとして振る舞おうとしている人たちなんだから、それこそこの難しい問題に対して、何らかのメッセージを出すべきだと強く思います。
そして中国大使は現在不在という笑うに笑えない状況。
そうやって誰も明確な意見を出さない中、中国大使はこのようなメッセージを出しています。

駐日中国大使:程永華氏の書面インタビュー全文(毎日.jp)
 中国の程永華駐日大使が16日、毎日新聞の書面インタビューに答えた全文は次の通り。
 −−今年は日中国交正常化40周年ですが、現在、両国関係は厳しい状況に直面し、日本の多くの人が憂慮を表明しています。中国側は両国関係の現状をどのように認識していますか。
 大使 日本政府が「釣魚島購入」を発表した後、中日関係は非常に厳しい情勢に直面している。これは中日両国民の利益に合致せず、中国が目にしたくないもので、事態悪化の責任は中国側にはない。
 今年は中日国交正常化40周年だ。両国にとってのこの40年間の中日友好協力発展の重要な意義を深く感じている。40年前の中日が国交正常化を実現した時、2国間の貿易額は10億ドルにすぎず、人の行き来もわずか1万人だった。40年間の両国政府と各界の関係者の不断の努力で、両国関係は各分野で大きく発展し、これまでにないレベルに達した。
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これだけを読んだ時、普通の人はどう感じるかということです。特に当事国以外の人が読んだら、飽くまで中国は平和を求めていて、日本がちょっかいを出しているとしかみえないのではないでしょうか?相手ながら天晴れな外交官だと思います。
ただ、この全文を読んでも、【反日暴動】については何の論評も加えていません。抽象的に
「中日関係は非常に厳しい情勢に直面している。これは中日両国民の利益に合致せず、中国が目にしたくないもので、事態悪化の責任は中国側にはない。」
としているだけ。何度も言いますが、日本がここですべきことは「尖閣諸島の領有の正当性の主張」よりは、「在中の日本人・日本企業が被害を受けていることに対する、強い憤りと抗議と非難」だと思うのです。民衆がどう思うかは別にして、中国政府として反論のしようがないからです。そこから妥協点の探り合う、これしかないのではないでしょうか?
あと、マスコミの解説で「愛国無罪」を取り上げるところは多いですが、その背景まで説明しているところを殆ど見ないのも残念です。この「愛国無罪」という言葉は、「造反有理」-「文化大革命」を知らないと背景を見誤ります。後に毛沢東の肖像画を掲げているところからして、まさにその流れと思います。
これに薄氏失脚と習近平の動向不明を合わせてみると、それはそれで中国の政争の流れ、今回の反日暴動激化の流れが見えてくるように感じます。太子党が勝つか?共青団が勝つか?これも中国の対日政策を考える上で重要なファクターとなると思うのです。
ここいらのバランスを見ながら、相手にどのようなメッセージを出すか。そのメッセージの秀逸さで、自分は次の総理に誰がふさわしいのか見極めようと思っています。

「今回の反日暴動に関する中国大使の見解と日本の政治家の見解」に11件のコメントがあります

  1. 中国はどんどん攻めてきていますよ。
    http://sankei.jp.msn.com/world/news/120917/chn12091719000007-n1.htm
    沖縄県・尖閣諸島国有化に抗議する中国の反日デモで、日系企業などが襲撃され多大な被害が出たことについて、中国外務省の洪磊副報道局長は17日の定例記者会見で「その責任は日本が負うべきだ」と述べた。今後の反日デモについて「事態が深刻化するかどうかは日本側の対応にかかっている」とした。

  2. 今から40年近く前パリで学生をしていた頃の話です。ハーグにあるフランス大使館を日本赤軍の連中が襲撃しました。当時パリではこの話でもちきりだったのですが、留学生仲間のクラスメートはもちろんご近所のフランス人たちも「あれはテロリスト。お前もテロリストか?」と気にも留めない様子だったことを思い出しました。何しろ当時は島国根性丸出しで、同じ日本人ということで白い目で見られるものと思い込んでいた私はホッと胸を撫で下ろしたものです。管理人さんご指摘のように、建国以来領土紛争に明け暮れてきた共産主義国家の外務官僚と60年以上も平和を謳歌してきた島国官僚の違いは歴然ですが、今の我々は野田総理の決断と実行に期待するしかありませんね。

  3. 勉強会で中国に教え子のいる名誉教授
    「私が怪我をしたとき最初にかけつけてくれて心配してくれたのが中国の教え子。
    彼らは中国の礼を身につけている。彼らからの連絡では普通の中国人は冷静で日本に対する態度には変化はない。」

  4. 米中の動きは鮮明ですが日本は?
    ①中国当局デモ規制に転換
    ②米中が尖閣のエスカレーション自制で合意
    ③米オスプレイ配置で日米に圧力

  5. kktfさん
    コメントありがとうございます。
    中国の中の人の幅はそれこそ日本より何倍も広く、恐ろしいくらいに教養深い人もいれば、教育水準が低い人もいると言った具合です。その人たちを「中国人」という、ひとくくりで見るのはちょっと難しいかも知れません。
    日本では戦後余りに権威を打破し、平等主義が広まりすぎた感があります。その結果多種多様な考え方を持つ相手に対して、どのように友好を保ちながら自らの主張を通していくかを考える力が弱まっているかのように感じます。
    もちろん中国の人だって、今回の暴動を快く思っていない人も多いでしょう。ただし、誰も「こういった愛国心は間違っている」と言っている人はいません。中国人・韓国人の通奏低音に反日が刷り込まれているのは認識せざるを得ません。これが第2次世界大戦までヨーロッパに根付いていた反ユダヤ主義にも似た感じで。そしてそれは全く故無きことでは無いことが、事態をややこしくしているのです。(以前そんな記事も書かせていただきました)
    そういった中でその通奏低音を人口の数、市場の大きさ、経済力の強さ、軍事力の強さを背景に、一気にフォルテッシモまで上げたのが、今回の反日暴動に感じます。
    何度となく言っていますが、領土問題は行き着くところに行けば戦争です。国際司法裁判所ではありません。領土を守る強い決意を固めるのであれば、究極的には軍事力を高めるしかありませんが、当然に戦争は外交の一部であるわけで、そうなると外交力が問われるわけです。
    外交とは、それはすなわち共通の利益を見つけ出す能力、諸外国に対して共感を勝ち取る能力、敵対する国の賛同国を減らし多数派を形成する能力なんだとお思います。
    その点で今回の一連の動きは、日本という国の外交力がここまで落ちているのかと愕然としているところです。野田総理の発言する内容は首肯する内容が多いのですが、それを支え実行する仲間が余りにも少なく感じます。それも含めての政治力ということになると言われれば、今度の総選挙ではどこに投票すればいいのか、本当にわからなくなってしまっています。

  6. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    中国政府は日本政府に対して色々と戦略を仕掛けてきています。アメリカ政府もまた、この事態に対して色々と戦略を仕掛けています。日本政府はアメリカの厚情と中国の理解を期待して動いているようにしか見えません。
    例えば慶早戦の時、相手を欺こうとバントと見せかけてヒッティングに転じたり、あるいは隠し球でランナーを殺したりすることもあるかもしれません。でもそのように仕掛けるのは当たり前のこと。勝ちたいわけで、それにひっかかる相手が悪いだけだとは、大体誰もが思うことだと思います。でも、試合が終わった後憎み合っているかと言えばそうでもないわけです。
    今回の日本政府の行動の何が歯がゆいかというと、中国政府(中国国民では無い)に対する戦略的仕掛けがまるでなされていないように見えて仕方ないところです。中国政府にとって反日デモも、尖閣での徴発も日本政府に対して行っている揺さぶりだけに、何の心配もしていません。しかし、そのデモが暴動に変わって方方で危害を加えてしまった。これは中国政府の失態で有り、中国政府もこの点で叩かれることを心配しています。だからこそ、日本の責任だと早々に宣言してみたり、アメリカ公使に対しては早々に謝罪していたりしています。なぜ相手がエラーでランナーをくれたのに、みすみす見逃すのか。間違って火が大きくなってしまい右往左往していた中国政府が、結果的に自作自演のような形で暴動を抑え込んだ英雄という地位を占めようとし、日本もそれを評価する。端から戦うつもりが無かったとしか見えません。尖閣に於いても1000隻漁船の対策が殆ど採られていない状況で、かつ中国大使はいないという冗談のような事態。だったら変な挑発をして、結果的により日本の国際的地位を貶めるようなことをするのは本当にやめてもらいたいと思います。
    まさに戦前に戦争に突入していった日本にそっくりです。軍国主義とかではなく、誰も大きな戦略の流れを考えていないといったところがです。猪瀬さんはこの頃のことを本にまとめていらっしゃったのに。
    この事件が起こってからの石原都知事・猪瀬副知事の責任感を感じさせない放言も、国民に反発されないよう・中国にも反発されないように慎重な発言に終始する民主党・自民党の党首の候補者達も、本当にがっかりしています。前の返信にも書きましたが、どこに投票すればいいのか本当にわからなくなっています。

  7. 野田さん、「石原さんの挑発に国有化宣言してこの事態に想定外」
    想定に入っていなければ対策なしは当然ですが、
    「レアアース禁輸、観光ビザ発給せず、税関検査で締め上げる」
    中国の対日経済制裁は確実に日本経済の足をひっぱります。
    自民、民主とも総裁選で弱腰を見せられず、
    中国も共産党大会の前で弱腰を見せられず、
    政治が経済の足をひっぱる構図です。

  8. ワシントン・ポストに日本の右傾化を危惧と記事。
    自民総裁選は強硬論のみ、ロシア、中国、韓国、台湾と一戦交えるつもりのようで・・・
    精神論のみで具体策なし・・・
    鳩山さんの環境国連演説からずっと続く具体策なき強い訴え!
    それで実現出来なくても責任はとらない・・・
    火に油を注ぐだけ。

  9. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    最近は、政治家がどのような理念を持っているかというよりは、責任感がどれほどあるのか?チームのリーダーとしての能力はあるのか?戦いに強いタイプか?の観点で見るようになってきてしまいました。
    結局のところ政治は結果責任ですから、いかに高邁なことをおっしゃってくれても、その通りに進んでいかないとどうにもなりません。
    昔の派閥政治も色々な弊害はありましたが、派閥の領袖はそのメンバーを束ね、ある政治目的に向かって突き進める力があった、ないしは養っていたように思います。今は自分がどう考えたかはいいのですが、それを実際に形にする方法論が無い政治家が多いように思います。なので言いっ放しの政治家ばっかりのように見えてしまうのです。
    「実現できなくても責任はとらない・・・ 火に油を注ぐだけ。」
    まさにそう思います。対中で言えば、前回は前原国交相、今回は石原都知事。威勢の良いことを言うのは簡単ですが、その裏付けをどのように考えて居るか、わざわざ表にしなくていいですからちゃんと考えておいて欲しいですね。今回の一件での、国際社会における日本のサンドバッグ振りにはもう呆れるばかりで・・・。

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