北朝鮮の核実験

ご存知のように、昨日北朝鮮が核実験を行ったそうです。
ここ3回の核実験後はこういった論調が多いように思います。

米中、強行防げず 北朝鮮核実験

 【ワシントン=中山真】北朝鮮は国際社会の制止を振り切って核実験を強行した。米中に対しては11日に実験を事前通告したが、両国は有効な手段を打ち出せなかった。北朝鮮核問題のカギを握る米中両国は追加制裁の検討に入るが、実効性の薄い非難と制裁を繰り返すだけでは、核兵器の実戦配備や拡散を阻止するのは難しい。
 米ホワイトハウスは12日、北朝鮮を批判する声明を発表。中国の楊潔●(ち)外相も同日、異例の形で北朝鮮の池在竜駐中国大使を呼び「強い不満と断固たる反対」を伝え、北朝鮮が速やかに対話の場に戻るよう求めた。(日本経済新聞)

この流れで北朝鮮は国際社会で孤立化・・・といった感じです。
実際そうなのでしょうか?
自分が思うには、この件について見方を変える必要があると思います。
つまり、中国は北朝鮮の核開発を実際に止めたいかどうかという点です。
中国にとって北朝鮮が核武装すると困ることは、自分の国に向けて打ち込まれるかどうか、もしくは周辺諸国が北朝鮮の好戦的な姿勢に反応して有事が起こり中国の既得権益が侵される、くらいでしょうか。
それに対して北朝鮮が核武装するメリットは、数少ない軍事同盟国である北朝鮮の防衛力戦闘力向上、アメリカに対して直接的にプレッシャーを与えなくても、北朝鮮に露払いをさせられる、中国が唯一の北朝鮮との窓口たり得るということになり、日米韓露が中国を頼らざるを得なくなる、といったところでしょう。
デメリットで一番大きいのは自分の国に打ち込んでくるかですが、拉致問題の制裁による対日貿易の停止、韓国の援助取りやめ、軽水炉の取りやめなどで北朝鮮に対する孤立化政策の結果、北朝鮮における中国のプレゼンスはとてつもなく大きいものとなっており、間違っても刃向かってくるはずが無いと言えましょう。後は地域の不安定化ですが、韓国が中国に牙をむくことは考えにくく、後は日本が核武装すると言わない限り全く以て問題無いと言えるでしょう。
そうなると、自分が思うに、中国は北朝鮮の核開発を止めたいのでは無く、寧ろ援助しているのでは無いかとすら思うのです。ここ数年の飛躍的な核技術の進歩は中国の何らかの関与を感じずにいられないのです。メリット・デメリットから考えるとそう考える方が自然と思います。
つまり表面上国際社会と歩調を合わせる意味で北朝鮮を非難してみますが、本気で止めさせるつもりは無い。適当な声明でお茶を濁して、中朝の軍事力をより高める。それを志向しているように思えるのです。
なので、きっと安保理決議は出すのでしょうが、実効性のあるものは中国の反対により葬り去られるでしょう。そしてアメリカ、日本、韓国などが経済制裁をすればするほどより対中従属の度合いは増し、核開発も進み、主としてアメリカに対する中国の牽制力をより一層強くするようにしていく流れになるのではないかと思います。
では、日本はただこれを受け入れるしかないのでしょうか?
自分は2つの方法があると思います。
1つは日本が北朝鮮が核武装を進めて止めることをしないので、自衛と国防の観点から核武装をすると宣言する構えを見せること。しかしながら反原発などと相まってこの実現性は殆ど無いでしょう。ただ相手に無言のプレッシャーを与える意味でも原発廃止とかを言うのはそろそろ止めた方がいいと思います。
もう1つは、中国・北朝鮮にとってイヤな位置にあり、相応の実力を持っているロシアとの関係です。実は中国はウラジオストックも我々の奪われた土地として教科書に載せ始めました。(http://www.fsight.jp/11951)
ロシアの動向次第によっては、中国も看過出来ない事態となり、北朝鮮に対する影響力を行使し始めるかもしれません。日露の共通の利害を元に連係を深めることも必要だと思います。アメリカへの根回しにもかかってきますが、北方領土の解決と平和条約の締結を今こそ推し進める時期に思えます。
ただしこんな意見もあるのでアドレスのみご紹介します。(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2275)
いずれにせよ、中国が北朝鮮の核開発を止めたいのだが止められず、手に負えなくて困っているという見方は、変えた方がいいように思います。皆様はいかがお考えですか?

「北朝鮮の核実験」に1件のコメントがあります

  1. いつもながらの鋭いご指摘には驚くばかりです。元外務官僚の佐藤優氏も「今が北方領土問題進展の好機」と指摘されていますね。今頃になってポツダム宣言を持ち出す中国です。ウラジオストックを自国領土と主張するのも不思議じゃないですね。岸田外相活躍の舞台が目白押しですね。

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