利他の心

今日で平成26年度の東京六大学野球の秋季リーグ戦の全日程が終了し、チーム旭の旅も終着駅へと辿り着いたようです。
今日引退セレモニーを見終わった後、たまたま関係者の方とお話しする機会がありました。
その際にお聞きしたのですが、旭君は主将就任に当たって、「利他の心」で取り組もうと決めたとのことでした。
利他の心とはよく京セラの稲森さんがおっしゃる言葉でもあり(たとえばこちらをご覧下さい)、元は仏教用語だそうですけど、つまりは利を己に求める利己心ではなく、利を他に求める。つまり、相手にとって利になるにはどうすればいいのかを第一に考える心のことです。
旭君の主将としてのあり方は部外者で見ている自分からしてもグランド上やSNS等で拝見していると、他のチームのメンバーのことを同級生も下級生も気に掛け、よくコミュニケーションを取っている印象でした。かといって調整型のリーダーの面だけでは無く、何より自分の努力している姿、熱い気持ちを身体全体から発し、みんなを引っ張っていっている面も強く感じました。
慶早戦第1戦の9回裏無死12塁で旭君に廻ってきたとき、スタンドで応援していた野球部員おぼしき人たちは「ここで旭さんに廻ってきたよ!」と嬉しそうに話すし、グランドからもベンチの部員たちが「この場面で旭さんだよ!」って興奮しているし、旭君は威厳を保ちつつも誰からも愛され親しまれ、本当に素晴らしい主将だったんだなと思いました。
よく抱え込んでいる旭君を称して「辛そう」といった声も聞かれましたが、自分が勝手に思うには、彼には眼の前の状況を困難と思ったかも知れませんが、辛いとは思わなかったように思います。自然にその立場を受け入れ、今の立場での自分のベストを尽くそうとしていただけで、ごく普通に主将を務めていたように感じました。本当に素晴らしいリーダーシップです。
それと共に旭君がここまでやってこれたのも、杉山君という素晴らしい同期のスタッフに恵まれたこと、そして周りの支えてくれる仲間たちがみんな相手のことを自然と尊敬して、素直に接してくれる人たちばかりだったともおっしゃっていました。
本当にそうなんだと思います。この旭君の代は塾高の時もそうでしたし、大学で他校の選手も一緒に仲間になって、とても仲の良さそうな代に感じていました。本当に素晴らしい代だったと思います。
セレモニーで旭君が「秋はこのような結果になり、申し訳ありませんでした」と挨拶していました。
とんでもない。
春は優勝、秋も慶早戦に2連勝すれば優勝というところまできていたのです。湯本君の代は慶早戦で3連勝しないと優勝出来ませんでした。伊藤君の代は秋は慶早戦に優勝がかかりませんでした。他の代で優勝となると中村君の時代まで遡るはずです。近年に稀に見る好成績を出してくれたのが今年のチーム旭でした。
旭君の「利他の心」が周り巡って、チームにとって、そして何よりも旭君にとって大きな大きな財産となったことと思います。
本当に素晴らしいひとときを過ごさせて貰ってありがとうございました。これからの皆さんの人生に大いなる幸あらんことを心よりお祈り申し上げます。
_dsc4682
(ポポさんの写真ほどではないのですが、旭君(と茂木君)の気合いの表情が素晴らしい、昨日の試合でのタイムリー3塁打の時の写真)
_dsc4744
(タイムリー後のイニングチェンジの時、控えめながら笑顔を見せてくれた旭君)
_dsc8510
(今日の試合終了後、抱き合って健闘を称える旭君と藤本君)

「利他の心」に5件のコメントがあります

  1. 利他の心、恥ずかしながら初めて聞きました。
    さすがは旭くんですね。
    約200人もの部員を率いる大役、お疲れさまでした。

  2. 『セレモニーで旭君が「秋はこのような結果になり、申し訳ありませんでした」と挨拶していました。
     とんでもない。』
    そうなんですよ。 誰一人として旭君に感謝こそすれ謝ってもらおうなんて思っていないですよね。
    「泣くな 旭。 十分頑張ったじゃないか!」 そんな気持ちです。
    秋にあと一歩届かなかったのは、応援の力がもう少しあれば届いたかもしれない、と思えばむしろ申し訳ないのはこちらの方。
    彼を他の競技場で見かけることが何度かありました。準硬式の試合、大田球場で観客も少ない中、応援に来ていました。たまたま話す機会がありましたが、「高校で一緒だったメンバーが頑張っているから。」と言っていました。
    歴代、名キャプテンの多い中、間違いなく三本の指に入るキャプテンです。
    彼の今後の活躍を願ってやみません。

  3. OBたちとの会話のなかで横尾が主将というイメージはないと
    一致していたが慶応の主将とは伊藤君や佐藤君のように
    求道者で真面目と勝手にOBが思い込んでいたせいだと思う、
    管理人さんが指摘されていたようにサードから投手への声掛けなど
    既にリーダーの風格が漂っていたのに・・・
    大久保君も主将のときも慶応らしからぬ豪快さがあったから
    横尾君といい組み合わせと感じる。
    ふたりはプレッシャーを楽しむ性格のように思える。
    期待したい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください