令和2年の大晦日にて考えていたこと


令和2年も間もなく終わろうとしています。

今年を振り返ると、間違い無く新型ウィルスCOVID-19の話となるんでしょうね。

まあ、新型ウィルスに限った話では無いのですが、未知・想定外の問題が発生することで、今我々の過ごしている社会の弱点があぶり出されるなと改めて感じました。これは今の政府がどうとかではありません。我々一人一人が形作ってきたこの国、この社会について試されるのです。どの時代でも。

この現象を自分の仕事に置き換えると、雨漏れに似ていると思うのです。

残念ながら、うちの仕事でも雨漏れが全く無いわけではありません。雨漏れというのは、建物に於いての防水対策が為されていない箇所に雨水が回り込み、建物内に侵入することです。
雨水は本当に憎たらしいくらいに建物の弱点を見つけ出します。99%完璧であったとしても、残りの1%に穴があればそこから雨水は浸入し、そして建物を傷めます。

そして、この雨漏りというのは、原因を究明しないまま、次の作業に早く移りたいが故に取り敢えず応急措置を講じても、全く解決には至らないことが殆どです。

どうしてこの現象が起きているのかを、周辺部材の水跡確認、放水試験などの再現実験などを通じて検証し、その上で必要と思われる措置を講じる。これが肝要です。

翻って今回の新型ウィルス対応、大きく分けて2つの分野それぞれで問題が見えているように思います。

1)止まらない感染拡大
感染者の拡大をくい止めるには
・水際対策と呼ばれる感染地域から非感染地域への人の移動制限
→罰則無しの要請レベルでの呼び掛け
・感染者を早期に発見し、隔離し、感染拡大の元とならないようにすること
→PCR検査の低い信頼性(70−80%)と数不足、また無症状で感染しかつ他人に感染させるというこのウィルス特有の性質がより難しくさせる
・ワクチンや特効薬などの開発
→他国でのデータを我が国内での認証に使えないため、国内で臨床を進めるしか無い不効率さ。
・集団免疫の獲得
→現状は不明。そう言えば、輸血・献血から抗体の有無を検査するという話は5月に聞いたっきり、耳にしませんね。
・住民の行動様式を変え、感染拡大に巻き込まれないような生活パターンを構築する
→罰則無しの要請レベルでの呼び掛け

2)行政機関の対策が実効性にかける
・国がこういった感染拡大期においても、私権を制限する法的根拠が無い。
・行政のデータの電子化と共通化が進んでおらず、国が個人単位にアクセスあるいはコントロールすることが出来ない。なので規制も補償もやたら時間がかかるか、そもそも実効性に欠ける。
・根本的に国家に対する信頼感が低いことを是とする社会的なコンセンサス(マスコミ界隈?)が強く、権力の監視という観点での報道は多いが、行政の効率化のため個人情報を国が扱うことに対する抵抗が強すぎる
・医療機関に対するコントロールも効いていない(ルールは定められるが体制作り、動員は出来ない)ことから、医療体制を主体的に整備することが出来ず、これまたお願いベース。その結果、感染拡大が始まって10ヶ月以上経ちながら約1400万人都市の東京都で確保されている重症患者確保病床が220床。人口比で0.0016%。

感染拡大の抑え込みに成功している台湾、韓国?、中国?を見ると、肝は個人の位置情報を行政が把握し、感染者或いは感染の疑いがある人を絞って行動抑制を行う。個人特定をしない形で行動抑制を行おうとすると大きな単位で経済が止まざるを得ず、補償費用が莫大にかかり、行政に対して大きなコスト負荷をかける。これは最終的には住民に跳ね返ってくる。
また、医療崩壊は単に新型ウィルス対応のみならず、通常の生活を維持することが困難になる怖れも出てくるのでなんとしても防がなくてはいけないが、これは当然対応出来るキャパシティも増やしていかないとダメなのは自明の理だが、重症患者確保病床数が殆ど増えていない。砲弾を用意せず与えられた数でなんとかしろとやっている明治以来の日本軍の悪弊と同じ。他国は中国では2週間で病院を建てたりもしていたが、欧米諸国も含め有機的に医療体制を構築しているように見える。

ここから考えると、為すべき事は

1)国家に私権の制限や個人情報の利用を認め、より実効性の高い対策を取る権限を与える。その代わり、透明性の高い記録を残す仕組みも作る。また、措置は明確な数値基準に基づく時限措置とする。
・そのためにも行政機関間におけるデータの共通化を進める。
・行動抑制のための罰則を定めた上で、地域毎では無く個人単位での行動抑制をきめ細かく設定する。
・感染状況については共通の基準を策定の上、即日開示とする。(東京都の独自基準とかを放置しているが、これでは地域間の比較が出来ない。データを取るには条件を統一するのは基本中の基本では?)

2)医療政策の抜本的な変革
・徴兵制度では無いが、緊急時においては医療体制を即応かつ柔軟に構築できる指示権限の付与を国または地方公共団体に行う。
・感染対策関連の法案によくある「できる」条項では、いざ緊急時に判断基準の曖昧さから、誰もが決断出来ない状況となってしまっているので、行動指示型に変える。この行動指示は柔軟に変化できる仕組みも併せて作っておく。
・医薬品の承認制度の効率化を行い、スピード感を上げるべき時に上げる。

あたりでは無いかと思うのです。

我々の国の緊急事態時に見えた弱点は、意志決定の遅さと行政の非効率、指示の不徹底。そしてその原因として見えてくるのは、行政体制構築の上での自国国家に対する不思議なくらいに強い不信感。ここにメスを入れずして、効果的な対策というのはなされず、多分に運任せになると思います。

もっともこれもまた有りなのかもしれません。そうやって嵐が過ぎ去ってくれれば、重たい政府が国民の上に乗っかってくる怖れも一緒に過ぎ去ってくれます。国民のある程度のモラルの高さと同調圧力に期待し、対処療法で凌いでいるうちに、ウィルスの対処法が確立するか集団免疫の獲得となるかもしれません。

この2つのどっちを選ぶのか?という問い掛けを本当はすべき年だったと思うのですが、そういった問い掛けを誰もせず、令和2年が過ぎ去っていきそうですね。来る令和3年、どんな年となるのでしょうか?


「令和2年の大晦日にて考えていたこと」に4件のコメントがあります

  1. 雨漏りって厄介なんですね!この国の民主主義は雨漏りにあっているようです。(苦笑)
    管理人さんのご指摘通りに、政府を時の政権を国民が信用できればいいのでしょうけど。。。。
    安倍政権、その安倍政権を踏襲した菅政権ではとてもとても。令和のインパール作戦真っ最中です!
    台湾、NZは日本と同じ島国。封じ込めに成功しています。学ぶべきお手本があるのに、学べない、学ぼうとしないこの国の政権は、民主主義の名をかたるある意味独裁政権。黒を白にし、法律を捻じ曲げ、責任は一切取らない。自民党に自浄作用は無くなったようです。
    「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と揶揄された、「こんな人たち」がいつ気が付くかです。
    激動の昭和、災害の平成を経て狂気の令和となりませんように願うばかりです!

  2. コメントありがとうございます!いつも三角ベースさんにはご覧いただき、コメントもいただき、心より感謝申し上げます。
    さて、政権と政府というのは同じようで同じで無いところがあると考えております。
    政権は確かに行政府のトップにもなりますが、基本的には立法府の人。そして政府というのは大臣と政務次官は政権からの人ですが、いわゆる官僚の集団が行政府であり、政府だと思います。
    安倍政権、菅政権をどう見るかはその人々の考え方次第だと思い、そこに正誤は無いと思うのですが、それと行政府をごちゃまぜにしてしまっている認識が一番問題のようにも思っていました。例えば安倍政権をすごく否定的に見ていた立憲民主党支持の人が、枝野政権になったら政府による個人情報(マイナンバー)の活用を積極的に認めるようになるのでしょうか?民主党政権時、当初は多少は論調が優しかったようにも思いましたが、やっぱり批判となっていたマスコミの動きを見ると、結局誰がやっても行政府に対する信用というのはなかなか高まらないように思うのです。つまりどんな時でも政府というものを信用しない。その結果か、最近の優秀な若い人が国家公務員になっても30歳になる前にどんどん離職している現状は、国家の危機だと思います。
    でも行政府が効率化されないと一番損をするのは国民なんですよね。権力の監視もいいのですが、それと共に良い仕事に対してはしっかり評価していく姿勢を報道も持たないと、自分で自分の首を絞めているような状況にどんどん陥っていくように思っています。
    長文、失礼しました。

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