夏の甲子園と田村君

あまりにも濃密だった、今年の夏の塾高野球部。
最初はそこまで入り込んで応援していなかったかもしれない自分ですら、こうして大会が終わってしまうと虚脱感に見舞われてしまうほどです。
なので、何から書き出せばいいかわからない・・・、と思っていたところひょんとしたことから掲示板にここのブログのアドレスが出ていて(今までもこっそり出てはいたのですが)、このブログとしては何ともすごい数の来訪者がいらっしゃることに[E:coldsweats02]
なんでも田村君の写真が掲載されているとのことでの紹介でしたが、当頁には1枚だけ・・・。これでは詐欺だと思われても仕方がないので、急遽松商学園戦での他の写真もアップすることにしましたので、どうぞ許してください[E:coldsweats01]
Tamura2
Tamura3
Tamura4
これで多少は許してもらえるでしょうか・・・。
さて、それはさておき、今年の夏は本当に楽しませてもらえました。
まず思い出すのは、神宮でいつも通り六大学観戦をしていたら隣の人と話すことになって、その際に「今度入った田村って投手は本当にいいよ。彼なら僕たちを甲子園に連れて行ってくれそうな気がする。」って言っていたこと。その人に是非もう一度会って「仰るとおりに連れて行ってもらえましたね!!」と話したいです。何という素晴らしい眼力でしょう!!
また去年の夏の神奈川大会の対桐蔭戦の時に隣に座っていた人が中学時代に山﨑くんと一緒に野球をやっていたとのことで、山梨から来た高校生。しきりと「彼はやまざきではなくやまさきです。」と言っていました。2年生ながらに3番を打っていましたが、その彼がどんなに頼りになる存在だったかを彼は教えてくれていたので、新チームの主将が山﨑くんになったと聞いて、やっぱり彼はとても人望があるんだなあと思いました。
そんなエピソードをもらいながら今年のチームへの応援が始まりました。今年のチームの特徴は、課題を的確に把握する能力と、それにきっちり対応してくる姿勢だと思います。少なくとも甲子園のチームは春先のチームとは別人のようでした。ケースバッティング、バント、守備のフォーメーション、つなぐ意識など、こちらが「今年のチームの弱点はこれかな?」と思う点をどんどん修正してくるのには心底たまげました。
誰かの取材の文章で塾高に対する印象として「ここのチームは本当に大人だ。一人一人話すことがとてもしっかりしている。」と書いてありました。自分というものを言葉でちゃんと表現できるという素晴らしい能力を彼らは持っていたし、それを上田監督はじめ首脳陣はうまく引き出していたんでしょうね。
最後の試合が浦添商業戦でしたが負けて悔いなしのゲームでした。特に、この記事には鳥肌が立ちました。

 試合後の取材で訪れたのは慶応の最後の打者となった二番福富選手。彼は北神奈川大会決勝の東海大相模戦で決勝タイムリー放った勝負強い打者なんですが、昨日の試合では9回2死二塁で、キャッチャーフライを打ち上げてしまいました。その打ち取った球を、浦添商の伊波投手が捕手のサインに首を振ってから投げています。あの動作に福富選手はなにかを感じて、それが勝負のアヤになったのではないかと思ったのです。
「それまでの試合では伊波君は首を振ってから投げるとカットボールを投げるケースが多かったんです。それでカットボールを待っていたら来たのはストレートでした」
 ではあの「首振り」はなんだったのか。伊波投手の説明です。
「首振りは、ただ『首を振れ』という山城捕手のサイン。最初からストレートを投げると決まっていました」
 相手が自分たちの配球を分析していることを見越して、ダミーで首を振って見せたのです。しかもそこで投じたのがあの試合最速の146キロのストレート。伊波選手のカットボールは130キロ台後半ですから、その差およそ10キロ。差し込まれてキャッチャーフライが上がってしまうのも無理ありません。
 なんという頭脳的なプレーでしょうか。
 さらに「ヒーローズ」取材班の同僚記者が、試合後の慶応・只野投手のとても素晴らしいコメントを取ってきてくれました。
 只野投手がこれからのことを聞かれたときのことです。負けた選手はたいてい「帰ってゆっくり休んでから考えます」と答えることが多いのですが、只野投手の答えは
「まず浦添商を応援したい」
 その理由について。
「僕が(守備で)一塁カバーに入ったとき、ランナーと接触すると(浦添商の)一塁コーチが『大丈夫ですか』って言ってくれたんです。優しい人間性ですね。(単に自分たちに勝ったからではなく)浦添商だから、応援したい」
from asahi.com 「甲子園便り」

なんというお互いの人間性の発露でしょう!
土壇場でしっかりデータを頭に入れ行動した福富くん、冷静に判断し投手にただ首を振らせた浦添商の捕手の山城くん、真剣勝負の中で相手の心配する心を持った浦添商の1塁コーチ、その気持ちに応える只野くん。なんともあっぱれなことです。
今年の夏と言えば対東海大相模戦と対浦添商業戦。どちらも大変な好勝負でした。
ただ、先ほどと少々矛盾しますが、チームとしての気持ちに多少の違いを感じたのも事実です。
東海大相模戦の時は46年ぶりの扉を開けるんだ!という気持ちでチーム一丸となっていたと思います。何しろ負けられない!という気持ちがとても強かった。
それに対してすでに甲子園で3勝していたチームは、3勝目あたりから違うコメントも出てきていました。「明日の10時には我々は新幹線で帰っていますから」とか「勝利至上主義でやってはいませんから」とか。
もちろん一生懸命自分たちの力を出し切ろうとして、実際出し切り、浦添商と死闘を繰り広げました。
ただ、「何が何でも勝ってやるんだ!」みたいな強いものが多少薄れていたようにも思えます。自分たちのポジション、すなわち全国ベスト4-2-優勝!みたいなものにちょっと馴染めず、心の持ち方に戸惑っていた、そんな風に思えたのです。
もしかしたら逆転した直後の8回、田村君が治療したとき、本当は只野くんを投げさせ、田村君を1塁にすべきだったのかもしれません。しかし今年のチームの形・集大成はこれだ!というものを前面に出し、散っていったようにも見えたのです。自分たちの良き死に場所を探していたかのように。
これはちょっと批判を呼ぶ意見かもしれませんね。でもそんな風に感じてしまう部分もあったのです。
今年の夏の経験は、塾高野球部にとってかけがえのないものになるでしょう。そのためにも今年のチームが強くなっていった過程そのものである「課題を的確に把握し、対処する」という姿勢を、この対浦添商戦にも当てはめてほしいなと思います。
さて、嬉しいことに甲子園が終わって、間を置くことなく秋の六大学が始まります。きっと伊場君とか刺激を受けた人たちも多いことでしょう。いきなり山場がやってくる日程ですが、塾高に負けずに塾野球部も是非頑張ってください。それにしてもこんなに思い入れを込めて応援できるチーム、母校を持って、心の底から自分は幸せだなあと思います。本当にありがたいことです。
では、また。

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