金メダルしかいらないと言って戦地に赴いた星野ジャパン。結果的にはメダル無しというとても厳しいものとなりました。
間違いなく、監督も選手もあれだけの素晴らしいメンバーが一生懸命、それこそ我が身を捨てて勝利のために頑張っていました。しかし、敗戦。私が思うに2つの問題点があったと思います。
まず、一つは審判を第一戦で敵に回してしまったこと。ロス五輪の全日本監督で、法政大学の黄金時代を気付いた松永さんが以下のように仰っていました。
日本は銅メダルも逸した。悔しいし、残念でもあるが、それ以上に憤りもある。ロサンゼルス大会以降、アマチュアが苦労を重ねて積み上げてきた成果が、最後の最後に崩れてしまったからだ。
敗因はいくつもあるだろうが、私はオールプロの彼らが、最後まで「箱庭」から抜け出せなかったからだと思っている。プロの彼らは整った環境下で、年に140回ほども同じ相手と繰り返し戦う。だが、五輪は違う。異なる野球文化で知らない相手と戦わねばならない。自分の庭でいかに秀逸な技能を誇っても、それを五輪でも発揮できるかとなると、話は別だ。
その点、アマは国際大会に慣れており、審判も含めて、対戦相手の全容をよく把握していた。
具体例を挙げれば、初戦のキューバ戦で星野監督が審判に猛抗議したシーン。国際大会に慣れている者には、考えられない行動だった。審判団は試合後に反省ミーティングを開く。「日本はいったいなんなんだ!!」となったのは必至で、ストライクゾーンなど日本へのジャッジが最後まで辛めだったことは、決して偶然ではないだろう。
捕手のキャッチングひとつ取ってもそう。ゾーンぎりぎりの捕球時、プロの捕手たちは微妙に手首を内側に返してゾーン修正していたが、何気ないこの行為も、国際大会では審判の技能をばかにしたことになり、10人目の敵を作ることになる。
キューバ戦敗戦の翌朝、私は日本から田淵に電話して「星野に恥をかかせるな」と猛ハッパをかけたが、ベンチワークは最後まで改善されなかった。(松永怜一)
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3位決定戦に敗れた後、しきりに「ストライクゾーン」の話が出ています。星野監督も帰国後の記者会見で、「何を言っても言い訳になる」としながらも「初戦で打者がストライクゾーンに不信感を感じていた。」と発言しています。これを見て、田淵さんは星野監督に松永さんの言葉を伝えなかったんだなあと思いました。島岡御大以外の言葉はなかなか心に響かないのでしょうか・・・。
こうなってのも、やはり「金メダル獲得!」が心に大きくのしかかっていたのでしょうね。韓国戦後のメディアとのインタビューでも、
――勝ったからといって、韓国の野球が日本の野球よりも良いということにはなっていないと思う。韓国では、星野監督が予選の韓国戦のことを何度も口にしていることに反発する選手もいました。韓国は日本よりも弱いチームなのだから、もう少しリラックスして試合をしてはどうですか(韓国メディア)
星野監督 言っている意味がよく分からない。ルール通りにやらないことはあってはならないことで、それに反発することはおかしいし、韓国はあなたが思っているほど弱くはない。今日の結果を見ても、予選を見ても、非常にいいチームであるし、強いチームです。
――調子の良くない岩瀬を、どうして大事な場面で起用したのですか?(韓国メディア)
星野監督 岩瀬を使い続けたのはわたしの判断で、わたしのやり方。結果的には韓国にとってよかったのでは。
とまるでけんか腰。ここで韓国メディアが言っているとおり、監督がもっとリラックスできたら。日本国内でのいつもの通り、余裕を持った笑みで審判と接することが出来れば。なんて思ってしまうのです。日本ではあれだけ対人関係に長けている星野監督が、今回我を見失ってしまっていた。こんなところにも五輪の怖さがあるのでしょう。
もう一つはまるでと言っていいほど機動力を使っていなかったこと。これはストライクゾーンとは何ら関係がありません。西岡が出塁して、何も動かないまま荒木が一球目を凡打する度に天を仰ぎました。これではスモールベースボールどころか、野球盤野球です。あれだけ機動力のある選手を揃えたのだから、盗塁、エンドラン、バスター、セーフティーバントなどいろいろ出せたのに・・・。やはり守備走塁コーチは本当は島野さんだったんだろうなあ。高校野球を見た直後だけに、余計に策の無さが気になって仕方ありませんでした。
これが「巧緻を極めた日本野球」と言えるのでしょうか?この野球だったらもっと長打力のある選手を揃えた方が筋が通っていたのでは?
次期WBCの監督がそろそろ取りざたされる時期ですが、今度は短期決戦での戦術・戦略のうまい監督の下での試合を見てみたいなあと思うのです。誰が適任でしょうか?
でも野球は本当に語ることの多いスポーツですね。とにもかくにも星野ジャパンの関係者の皆さんには「お疲れ様でした。」と言いたいです。GG佐藤、岩瀬、川上はめげることなく、これからのシーズンに自分の力をぶつけていってほしいです。
では、また。