多事争論 -塾野球部の今後について考えてみる~コメント欄のご紹介を受けて

前回の記事で自分で最初にコメントを入れようとしながら、ちょっと忙しいのにかまけて、気付いてみたらこんなにたくさんのコメントを頂くことに。本当にありがたいことです。で、余り後ろにいってしまうのもなんだったので、新しく記事にしてしまいました。
さて、前回の記事に対してのコメントというか感じていたことです。
チームを強くすると以下の過程があると思います。
1)ストラテジー(部をどのようにして強化し、優勝できるようになるかの戦略)
2)スカウティング(勧誘・募集)
3)トレーニング(体力鍛錬、技術鍛錬、正確性鍛錬、精神力鍛錬)
4)セレクション(ベンチ入りメンバー選出)
5)タクティス(試合中における戦術の選択)
この中でお二方が提言されているのが2)スカウティングと4)のセレクションに関することだと思います。
私も物事は多様性の中からより多くのことが生まれてくると思っているので、限られた集団になってしまうことは良いとは思えません。なので塾高出身選手だけではなく、他校の出身者の活性化というのは大変大事だと思います。
但しそれを「有望選手のかき集め」によって行うのは、余り好きではありません(ここは好き嫌いの話しだと思います)。
実際に今季の塾野球部の戦いを見ていても、「こりゃあどうにもならんなあ・・・」と思う試合は無かったです。寧ろ「勝ってもおかしくはない試合だった」と思う方が多かったほどです。課題の打撃陣にしても、持っている身体能力が他校と比べて劣っているとも思えません。
問題点は3)のトレーニング、つまり大学に入ってから伸びていないんじゃないか?とか5)のタクティス、すなわちこういった作戦で行けばいいんじゃないか?といったところに思えるのです。
黄色と黒は勇気のしるし♪さんにご紹介いただいた最新号のナンバー「早稲田力」の中で自分が印象深く感じたのは、早稲田の前監督の野村さんについての記事です。

(前略)
 野球部の鮮やかな復活劇を忘れてはならない。こちらの仕掛け人もはっきりしている。
 野村徹。72歳。99年度からの6年間、野球部監督を務め、東京六大学リーグ4連覇を含む5度優勝の実績をもたらした。
 ’60年の有名な早慶6連戦の捕手。
(中略)
 野村は伝統を重んじる改革者でもあった。
 一例が「科学研究班」の創設である。
 人間科学部スポーツ科学科、のちにスポーツ科学部に属する部員が増えたのに「学問を実践にいかさぬのはおかしい」と考えた。ソフトバンクの和田毅が在学中に学生トレーナーと共同で投球フォームの研究に励み「あれだけのボールを得た」ことにも触発された。
 「情報が氾濫して朝からメジャーの試合を見られる。そんな環境にあって大学野球の使命はどこにあるのか。それは科学研究だろうと」
 経験則では追いつかぬ時代の到来。
 「科学研究班をOBも出入りできる部の外郭組織へ発展させる。そうすればトップ級こそプロ入りの前に早稲田で学ぼうという流れができるかもしれない。全国からいい選手を集めて強いというのは魅力ではない。精神野球の早稲田が科学的研究を先導する。それなら魅力になりうる」
 大学スポーツの理想を求め、しかし、あくまでも「一球の大切さ」という峻厳な勝負からは離れようとしない。104年前、日露戦争のさなかに米国遠征を敢行、本場の野球を先駆として学びながら、ただの追随に終わらせず、独自の精神野球へと凝縮させた。そのスピリットが再建を成功させた。

この流れこそ、塾野球部が目指してもいい方向ではないでしょうか?集めるのではなく、入りたいと思わせる部。そのためにも常に進取の精神で(しまった!学の独立とつなげてしまいそうです・・・[E:coldsweats02])、結果も出す魅力的な組織作りを為すべきではないでしょうか?
「何をそんな難しいことを」となるかもしれません。
でも塾高は少なくともあれだけの大人数でありながら、激戦区の神奈川を勝ち抜く力を持ったではありませんか。素質だけなら他の高校の選手の方が上に見える場合が多いですが、そこに1年生の頃から繰り返し求められる理論-実践、自ら考える力、研究心、状況を言葉で表現する、メジャーとマイナーの関係といった試みが、この潮流を作ったと思います。ある意味、いいお手本になっているのではないでしょうか?
学生野球である以上スカウティングには限界があります。
そして、現在の塾野球部においても、素質溢れる選手はたくさんいると感じています。
なれば、1)3)4)5)を徹底的に頭を捻りこんで考えて実践していくことこそが一番大事だと思うのです。
「王道」と「覇道」。この2つの言葉の違いは敢えて述べません。で我らが応援歌の若き血は「陸の王者慶應」と歌い上げ、早稲田の応援歌は「覇者早稲田」と歌います。そこに大いなる妙を感じます。
学生スポーツの王道を歩み、そして栄冠を勝ち取る!そんな塾野球部になってくれたら、これほど嬉しいことはありません。

「多事争論 -塾野球部の今後について考えてみる~コメント欄のご紹介を受けて」に15件のコメントがあります

  1. 論理的にわかりやすく、かつ愛情のこもった
    コメント、ありがとうございました。
    多面的にものを観ることの
    大切さを常に教えられます。

  2. 接戦に強い、逆転の今季優勝の法政を
    独立さんの層別に従い、ふりかえってみると、
    1) オープン戦に強いのにリーグ戦で勝負弱い
    ここ数シーズンの体質の改善
    2)多木、三嶋の加入
    3)外野守備を鍛え、長打を許さず
    4)1年、4年の新戦力のスタメン起用
    5)シーズン直前、
      期待した武内、加賀美が本調子でなく、
      二神ひとりが頼りという不安な投手陣。
    前半カードは加賀美、後半カードは三上
    と使い分け、
    後半カードに新人三嶋を肝心なところで使う
    という投手起用。
    慶應は第2戦、見事に裏をかかれ、
    梶本、伊藤を外した。

  3. 文春の人気雑誌に「早稲田力」を企画させたことこそ、
    早稲田のブランド戦略の成果です。
    早稲田は慶應の藤沢戦略に、野球もラグビーも偏差値も
    すべて負けたとき、野球、ラグビーがブランドにもつ
    意味を学長自身が気付かされたのです。
    早稲田のスポーツがブランド戦略であるという
    独立さんの指摘は当たっています。
    私が親しくしている早稲田の教授は、
    学長と若い頃から近い関係にありますが、
    スポーツ選手を優遇する制度には反対しています。
    好き嫌いは別にして、
    スポーツをブランド回復に使う大学経営は、
    復活しつつあります。
    戦前、私学は帝大よりかなり低く見られていましたが、
    早稲田と慶應が戦後、東大などに次ぐ高い評価を
    得るようになったのは、野球のブランド力に負う
    ところが大きい、
    私が入学した年に野球部のスポーツ推薦を止めたとき、
    廃止に反対した少数の教授が、
    私に語ったものです。

  4. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    法政の分析、興味深く読ませていただきました。私も多木君と三嶋君の存在、そして昨年は打者兼任だった三上君の台頭が印象深かったです。叩かれ続けても常に和泉君を使い続けた我慢も活きたように思えます。今季の法政は立派でした。
    早稲田はスポーツでブランド力を強化というのは、ポポさんのブログの受け売りですが[E:coldsweats01]、ある人気女優を入学させた後敢えなく中退になり、スポーツに傾斜するようになったとある本で読んだ覚えがあります。その前にもリーガロイヤルを高田馬場に作ったり、早実をより取り込むようになったり、いろいろと慶應に対抗してブランド力を強化した結果の今であるようです。SFC開校以降一時期随分と差を付けられたと言われた時期もありましたから。その何しろブランド力を上げるんだ!というやり方はやはり「覇道」に見えるのです。
    だからこそ慶應には「王道」で勝利を収めて貰いたいと強く思うのです。

  5. 2階席には、ユニフォーム姿の高校生が多く
    見られます。
    宮田のことを、
    「憧れるよなあ、
    甲子園で準優勝で慶應だもの」
    山本を松井が母校で
    「凄いよなあ、星稜から慶應なんて・・・」
    巨人に入った高橋に、江川が、
    「僕が落ちた慶應から巨人に・・・
    すでにスタートで差がついている」
    言ってはいけないことですが、
    Kに憧れながらWに行った高校生、
    燃えるはずです。

  6. 今なぜか東伏見。六回終わり、六対一でリード。このまま行けば胴上げっす[E:note]

  7. 無事に優勝を決めました。やはり、胴上げのシーンは感動しますね[E:note]たくさんのOBの方が会社を抜け出しきてました[E:coldsweats01]

  8. 大阪では桜ノ宮高校が注目されているようですが、
    桜ノ宮といえば、東北福祉大の伊藤監督。
    慶應と日本一を争い、一躍有名になったチームは、
    主将が桜ノ宮だったと記憶しています。
    監督を慕って、というより選手が集まらず、
    出身高校からひっぱった、ということでした。
    もちろん、後にプロのスターを輩出する大学に
    なるとは、伊藤さん自身も思っていなかったでしょう。
    松尾君が九州ナンバーワン捕手として
    進路が注目されたとき、野球小僧が、
    プロに行くなら、慶應ではなく東北福祉に
    行くべきだ、という記事を掲載していたこと、
    鮮明に記憶している。
    「素材は明治が一番、東北福祉は六大学、東都の
    セレクションに落ちた選手が来る」
    とは、超有名になる前の伊藤さんの言葉でした。
    監督の指導力が「ものを言う」時代になった
    のでしょうか?
    群馬では小野寺君の恩師である松本監督の
    行くところ、必ず強豪になると言われています。
    神奈川では川崎北の監督ですね。

  9. 朝日の本日の夕刊に井口のインタビュー記事。
    1.ポイントは4番を意識しない。4番目に打つ打者
    2.チャンスでリラックスできる。嬉しくて・・・
    3.右打ちは流すのではなく右にひっぱる気持ち
    ASHI COMにも出ていると新聞に出ています。
    詳しくはそちらで・・・

  10. 初戦、希望先発
    山口(左)
    渕上(遊)
    青山(中)
    伊藤(右)
    漆畑(二)
    小野寺(一)
    梶本(三)
    伊場(捕)
    小室(投)
    山口、伊場のフルスイングを期待
    伊藤の4番、首位打者を期待
    小室の思い切りの良さを期待
    絶好調・漆畑をポイントゲッターに

  11. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    大学野球の場合、監督もそうですが、部の持つ姿勢というものも大きく作用するように思えます。例えば亜細亜大学の野球は、部の空気そのものだと思います。
    あと大学野球の監督で言えば、國學院大學の竹田監督もすごいですよね。
    我らが義塾はある種、学校そのものを評価していただけるところがあります。もちろんそれはそれで大いなるアドバンテージにすればいいのですが、野球部そのものも実際にそう掲げているように「日本一」の素晴らしい部にして、入りたくなるような部を目指してほしいですね。早稲田の野村前監督がおっしゃっていた「トップ級こそプロ入りの前に慶應で」とか「エンジョイベースボールの慶應が科学的研究を先導する。これは魅力たり得るはずだ」といった、大きな志を持ってほしいのです。
    それが出来る人材は今の塾野球部にもたくさんいると思いますし、全塾的に考えればそれはそれはすごい数だと思います。
    「単に一所の野球部として自らを甘んじることなく」とあってほしいですね。

  12. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。というか速報ありがとうございました!
    準硬式野球部すごいですね~[E:happy01]
    壮絶な打撃戦の後は、しっかりと守って勝ったようで、バランスの取れたチームなんでしょうね。
    なかなか返信できず申し訳ありませんでしたが、速報を見て、とても誇らしい気持ちになれました。本当にどうもありがとうございました。

  13. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    昨日の楽天-横浜の試合で楽天の青山投手と横浜の工藤投手を比較した記事がサンケイスポーツに掲載されていました。記事自体もとても面白くご覧いただきたいのですが、その中に興味深い一文が。
    「青山が、ストライクが入らなくなった原因を理解しなければ、何度も同じ過ちをくり返す」と野村監督は突き放した。それは「抑える」という結果を求めることではなく、まず自らが「こうしてストライクを投げる」プロセスを解明して実践しろということだ。
    ちなみに本文はこちらです
    http://www.sanspo.com/baseball/news/090527/bsh0905271158003-n1.htm
    これはエース論にも当てはまりますし、4番打者論にも当てはまると思います。いかに自分のするべきことに集中できるか。それも慶早戦という究極の場で。
    ラインアップも興味深く読ませていただきました。こういった打順にどれだけの意味を込めさせることが出来るか、それが深ければ深いほど、出場している選手が理解すれば理解するほど意義を増すのだと思います。自分のやれること、役割をよく考えて臨んでほしいですね!
    ちなみに自分はやはり中林君の先発を推します。というのは中林君はプロ入りを目指すことを言っているからです。優勝無き今、早稲田に勝たねばいけませんが、その後につながる戦い方というのも考えてほしい。この慶早戦、それも第一戦で斎藤君と投げ合って勝ってほしい。そうすれば何かがつかめるはずですから・・・。

  14. 竹田監督は高校野球の監督の手腕が
    大学で活かされている、
    とアマチュア野球の専門家が
    私に語ってくれました。
    野村監督は高校時代の松尾君を
    「俺に任せてくれたら古田くらいにしてみせる」
    と言ったそうです。
    中林君については、
    「初戦で負ける中林」を相場監督が悩んでいる、
    そして中林君自身も
    「調子が悪くないのに負ける」
    ことを気にしているので・・・
    気分転換にどうか、と思った次第。
    かつての加藤君、今の中林君、
    「自分しかいない」と思い込み、負担になって
    空回り・・・という気がします。
    あの加賀美君でさせ前半の獅子奮迅が負担になって、
    後半、休んでしまいました。

  15. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    松尾君のお話、それに中学時代の伊場君のお話。いずれも、彼らの可能性を感じさせてくれるエピソードですよね。
    竹田監督は、東北で名を為していた時に、「だったら母校の國學院を救え!」と言われ戻ってみたら、上級生は全く球場にも行かず競馬や麻雀をやっていてショックを受けたというお話がありましたね。なんだか、上田監督が塾高に来た時のお話みたいです。とにかく指導者には、熱い気持ちと冷静な頭の両方が必要とされるのでしょうね。
    中林君、青山君。二人とも「ここで俺がやらねば」と思い込み、負担になって空回りというシーズンになってしまっています。優勝がかかっているのなら、調子優先で臨むことが大事だと思います。ただ、これは春の最終カードであると共に、秋の第0試合(と大先輩がうまいことを塾野球部のブログでおっしゃっていました)でもあります。彼ら二人の力は絶対に必要と考える自分としては、やはり第1戦と4番を任せてみたくなるのです。信じているから、そこを乗り越えてこい!と言ってあげたいのです。
    まあ、思いっきり主観的な意見ですが[E:coldsweats01]

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