沖縄高校野球の競技会 -ホームランより

慶應義塾高校野球部の上田監督が、最近監督の独白を毎日更新!というすごいことをされています。そちらは興味深いお話しが、それこそ本音の言葉(多分です)で書かれているので、是非お読み頂ければと思います。
さて、そんな連続投稿の中で最近続いていたのが「沖縄の風」として、沖縄高校野球の強さの源泉についてのお話し。やはり浦添商業戦でのインパクトが強かったのでしょうね。その中で「陸上競技大会」としてご紹介されていたところがありましたが、ホームランにその記事が以前掲載されていたので、ご紹介します。

沖縄高校野球の強さの原点はここにあった! (取材・文 小関順二)
 沖縄の高校野球には本土には大会がある。3月中旬には一般に「海邦リーグ」と呼ばれる大規模な強化練習試合が本土のチームも交えて行われ、それより2ヶ月前の1月初旬には県内野球部部員による「野球部対抗競技大会」が行われる。
(中略)
 これらの中でも異色中の異色と言えるのが、新年早々の1月初旬に行われる「競技会」である。今年は1月9日に行われ、糸満が初めて1位の座に就いた。

競技会1位校の甲子園出場確率は40%

 8つの競技の総合点で順位が争われるのだが、その競技内容がちょっと凄い。
1.1500メートル走
1チーム9人が1人1回試技を行い、その平均で競う
2.100メートル走
1チーム9人が1人1回試技を行い、その平均で競う。
3.立三段跳び
1チーム9人による、1人3回の試技。3回の試技で最長距離を採り、9人の平均で競う。
4.遠投
1チーム9人による1人3回の試技。3回の試技のうち最長距離を採り、9人の平均で競う。
5.打撃
9人によって行われ、1人5打でその最長距離を採る(スタンディング・ティーバッティング)
6.塁間走
1チーム9人による1回の試技(本塁→一塁→二塁→三塁→本塁の一周)
7.塁間継投
4人(捕手、一塁手、二塁手、三塁手)によって3回の試技が行われ、最短時間を競う
8.1800メートルリレー
1人200メートルの9人による継走
 陸上競技場のトラックを野球のユニフォームを着用した選手たちが「走り、跳ぶ」さまは、ユニークを通り過ぎてシュール(超幻想的)ですらある。
 塁間走、塁間継投、打撃を競技種目にするという発想にまず驚かされる。さらに、「この競技会で10位以内に入った学校が夏の甲子園大会に出場する」という言い伝えが都市伝説のように流布し、事実、過去10年の競技会1位のうち4校が夏の甲子園大会に出場している。これはなかなかの確率である。
「沖縄は年間平均温度が22度ほどで暖かいのですが、3月まではまだ寒くて練習試合ができない。何かできることはないかと考えたのがこの競技会です。優劣より、自分のレベルを知り、その後の練習に生かすことが大事」(安里氏)
この安里氏が沖縄の本土復帰翌年の73年、県高野連理事長時代にスタートさせたのが始まりで・・・(中略)
たとえば、控え選手が立三段跳びで好記録を出せば、体にバネがあるんだなと監督に情報がインプットされ、投手の可能性も今度試してみようかな、と思うかもしれない。安里氏は競技会が「自分の体力や能力を見つめ直す良い機会」「見えなかったものが見えてくる」と言うが、それは指導者に対しても言えることで、選手の可能性を見直す場所としても競技会は貴重であると思う。
(後略)

ちなみに昨年ですが、琉球新報の記事です。

8種目に力競う 県高校野球部対抗競技大会 (From 琉球新報
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(野球部対抗競技大会の1500メートル走で競う高校球児たち=県総合運動公園陸上競技場)
第36回県高校野球部対抗競技大会が12日、県総合運動公園陸上競技場で行われ、54校約1000人が参加した。宮古島、石垣島でも同時に開催された。
 シーズンオフの基礎体力の増強を目的に毎年行われている。100メートル、1500メートル、1800メートルリレーのほか、塁間継投、打撃、遠投など8種目を学校対抗で競い合った。大会結果は後日発表される。
 大会には久米島が久しぶりに参加。嘉手苅基主将は「自分たちの力を試したくて参加したが、塁間継投など良くなかった。悪いところが分かったので、基礎を丁寧に練習していきたい」と課題が明確になった様子。
 塁間走を終えた浦添商の前一平(2年)は「うまく走れなかったけど、タイムは思ったよりよかった。走力をもっと鍛えていきたい」と春の大会を見据えた。

近年の沖縄野球を上田監督はこう評されていましたね。

沖縄の高校野球チームの特徴は(1)投手がいい。球が速い。フィールディングが抜群(2)足が皆異常に速い(3)捕球からスローイング流れが抜群にかっこいい。まるでキューバかプエルトリコ。(4)形にとらわれない発想がすごい。

これの一助に上記の競技会もなっているような気がしますね。神奈川の学校数を考えると難しいのかも知れませんが、せいぜい横浜市内だけでも集めてやってみたら、これはとてもいいことになるのでは?と思います。1月だったら練習試合もできないので、逆にちょうどいいのでは?
やはり物事って最終的には基本に戻ってきますね。野球だったら捕って投げて打って走っての部分です。そこの強化を行っていく事が、特に身体が成長過程にある高校野球では大事なんでしょうね。

「沖縄高校野球の競技会 -ホームランより」に10件のコメントがあります

  1. 今年創刊されたこの本にもでていました(3月号)
    http://baseball-okinawa.d2.r-cms.jp/
    沖縄の強さは、土(確か赤土)も影響していると聞いたこともあります。
    この号のホームランは色々面白い記事があってかなり気に入ってます♪
    ノムさんや立浪さん・小宮山さん・門田さんそして横浜の監督の。横浜の監督に眼鏡プラスさせると誰かに似ているんだよなと思っているのですが・・・
    他にも大越さんのことや、東大野球部マネージャーのこと。。。。
    それにしても、センバツVを予感していたんでしょうかね?我喜屋監督の特集は!
    余談・甲子園の売り子さん談によると、売り上げダントツ1位は沖縄だそうです。1人で100を超える子もいるそうです。(汗)

  2. 大越さん、ワシントンから帰って、NHKの夜の顔に・・・
    スポーツコーナーでは、
    野球で専門的なコメントを期待していますが、
    かえって遠慮しているようで、おくゆかしい・・・・
    力強いけれどタイミングを合わせてスイングすることができない・・・
    伊藤君のバッティング、
    本人が一番悩んでいると感じます。
    これまで東大での1本のみ、昨日は2三振と凡フライ2・・・・
    佐々木君がホームラン、2塁打、送りバントですべて
    得点にからんだ4番の差!
    プロと異なり試合数が少ないので早くも正念場!

  3. 沖縄球児はメンタル面でたくましい感じ・・・
    江藤監督は就任時、メンタル面での課題を指摘していましたが、
    どうも考えすぎるというところが感じられます。
    昨秋も立教の初戦に大勝したあと連敗。
    今年もオープン戦ラスト、開幕戦歴史的勝利のあと・・・・
    江藤監督が選手のメンタル面をどう立て直していくか、
    今日、注目してみます。
    法政はオープン戦打てなかった。
    立教と慶應のオープン戦での破壊力を警戒・・・
    それが2カードでの深い守備にあらわれているような気がします。
    伊藤君
    あれだけ深いライトの守備ではホームラン以外長打は望めません・・・
    ゴロヒットが出ればいい、と今日は変えてみれば・・・

  4. 大越さん…文武様ですとやはり健介さんなんですね[E:flair]
    ちなみに健介さんの特集は、ベースボールマガジン4月12日号に[E:book]
    こちらの特集は、仙台育英〜早稲田〜ダイエーの基さん。ちなみに彼の夢は、帝京の前田監督と試合をすることとか。 あの時、白河の関を半分越えていてけど。。

  5. 金光監督が、
    「投打とも慶應に力負けしていた。どうにもならなかった」
    法政の監督が慶應に「力負け」という言葉、
    しかも江川に勝ち、大学で江川を受けた最強軍団の選手だった金光さんが・・・
    投手に威圧感を与える打者、
    遠くに早い強い打球をとばせる・・・
    打者に威圧感を与える投手、
    速球でバットをへし折れる・・・
    慶應野球部は「沖縄の力強さ」を彷彿させる・・・

  6. 慶應戦での打線の不振で
    早稲田戦から河合君を使うようです。
    中京の後輩が爆発して
    早稲田、明治戦で援護射撃!

  7. 「よければ使う」
    江藤さん・・・シンプルな言葉ですが説得力があります。
    慶應スポーツの質問
    「白村は使いますか?」
    「よければ使うよ」
    法政戦の初戦のリリーフ失敗について
    「調子がよいから使ったんだ」
    ベンチ入りメンバーを7回以降投入について
    「先発と差がない、みんな調子がいいから使う。
    使ってみなければわからないでしょう?」

  8. 黄色さんご指摘感謝!
    優勝校を勘違いするなんて・・・
    高校野球の大家に指摘いただき恐縮です。

  9. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。
    ホームランのあの号、本当に興味深いお話がたくさん入っていましたね!
    おっしゃるように我喜屋監督の特集を組んでいたことをこの記事を書いているときに見直していて気付き、選抜優勝をこの時点から読んでいたのでは!と思ってしまいました。ホームランといい、野球小僧といい、本当に野球を愛している人たちが作っている雑誌なんだなあと思います。今後も楽しい記事をたくさん読ませてもらいたいですね。
    自分も大越さんと言うと仙台育英-早稲田-ダイエーの大越さんですね。何しろ早稲田の1年生の時、当時としては珍しく春の大事な試合で登板し、しかも満塁のピンチをあっさりダブルプレーで打ち切るというこっちからすれば、とってもしてやられた!って感じのする登場の仕方でしたから。今の早稲田の雰囲気なら、きっと大越さんもいろいろな伝説を神宮で作ることが出来たんでしょうね。

  10. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    NHKの大越さん、いつも抑制された、でも的確なコメントを野球に対してはなさいますね。それもまた彼の人格なんでしょうね。
    伊藤君は逆に言うと、一定のタイミングでないと打てないと言えるかもしれません。1,2,3と打っているんじゃないかなあと。よく打つ選手って、懐が深い印象がありますよね。あれってきっと後ろ足にタメを作ったうえで、ボールに合わせて振り出しているんだと思います。王さんの一本足打法の写真で、よく子供をぶら下げてもびくともしないといったシーンがありました。あれも左足にためをしっかり作っている証拠だと思うのです。伊藤君は今後の課題として後ろ足のタメをいかに作れるか(実は塾高の谷田君も同じ課題があるように思っています)が、あげられると思います。そうすればボールもよく見えるし、メンタル的に焦ることも少なくなってくるんじゃないでしょうか。
    まさか法政から「力負けしていた」という言葉が聞こえてくるとは・・・。隔世の感がありますね。
    監督の大きな役割の一つに選手の状態を見極めるというのがあると思います。おっしゃるようにシンプルな言葉ですからこそ、今後ともしっかり見極めて、多くの選手が活躍できるようになればいいですね!

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