最近ずっと話されている普天間基地移転問題。
その前にも国際同盟問題で日本で議論になったのが
・イラク派遣問題
・湾岸戦争での貢献の在り方
・日米安保条約から新安保へ
・日独伊三国軍事同盟の可否
・日英同盟の在り方、とくに第一次世界大戦
なんていうのがあったと思いますが、どれも思い出してみると
イラク派遣問題
→割と早く派遣を決断。国内では憲法との問題から「非戦闘地域とはどこだ?」が問題に。
湾岸戦争
→憲法の制約を理由に資金提供のみで、存在感を発揮できず、後日掃海艇を派遣することに。
新安保
→「日本が戦争に巻き込まれる」が争点となり大問題に。成立と引き換えに岸内閣総辞職。もっとも内容は片務的。
日独伊
→欧州情勢が枢軸側に有利と見るや、「バスに乗り遅れるな」ということで独伊と急接近。もっともそれまでの中国政策から大陸で権益を持っている連合国側との対立が深まっており、その状況を打開したいという気持ちも強かった。実際に同盟締結後はUボートやメッサーシュミットなどの先端技術の導入をドイツに依頼するケースが目立った。
日英同盟
→日露戦争時には英国は情報の提供、バルチック艦隊の航海に対して執拗に補給の妨害を図るなど多くの便宜を図る。第一次世界大戦時に日本は地中海への日本艦隊の派遣を英国から要請されるが消極的な対応になり、逆にチンタオのドイツ軍への攻撃やシベリア出兵などで三国協商側の極東部の権益に対する仕掛けが目立った。
といったところだったと思います。
これを見る限り「対等な同盟」、すなわちどちらが上でも下でもなく、お互いに困った時は助け合うという精神に欠けているように見えます。よく日本の良さとして「おもてなしの心」とか「相手を慮る配慮」とかが挙げられますが、こと同盟問題に限ってみれば、たとえばアメリカとイギリスのように、大事な場面で助け合う精神が政府や国民に欠け、自分たちにとって不利はけしからんといった感情が強いように思えます。相手がいつも西欧諸国のせいか、どうしても「攘夷」のエッセンスがチラッと出てしまっているように思うのです。
でもそれじゃあ相手から見れば、「日本恃むに足らず」としか思えなくなりますよね。
良くも悪くもイラク問題の時、早い時期から賛意を表明していた日本に対してアメリカは北朝鮮問題等で大きなバックアップをしてくれていました。この時くらいじゃないですかね、同盟国が政治的軍事的に困っているときに手助けをしたことって。(義和団の乱の時は同盟関係諸国はいなかったので)
今回の普天間問題やら、その前の鳩山首相が掲げた「対等な日米関係」という言葉は、どれもこれも日本の負担軽減ばかりを言っているだけで、それでは同盟国と言うより宗主国に対して不満を持った被支配国といった発想に見えます。大体アメリカからすれば、「こっちが国防を手伝ってあげたおかげで、日本は驚異的な経済発展をしたじゃないか。これだけリーズナブルに国防を済ませておいて何を言っているんだ?」と思っているんじゃないでしょうか。
wikipediaによれば、
「同盟(どうめい)とは、何らかの利害・目的・思想の一致により個人同士・勢力同士が協力を約束、或いは実際に協力している状態及びその組織」
だそうです。
残念ながら今までの日本を考えると、自分たちの立場から見る見方ばかりが目立っているように思えます。そろそろ相手の立場に立ったものの考え方を、日本政府やマスコミ、そして日本国民はすべきではないでしょうか。そして協力し合うべきではないでしょうか。それがめぐりめぐって自国の利益につながる気がするのです。
でも聞こえてくるのは沖縄県に基地が集中して沖縄県民が困っているとか、アメリカが結局はいたいからいるんだとか、思いやり予算も日本が負担しすぎているくらいだとか、アメリカ軍なんだからアメリカ国内に基地を設けるべきだとか。その発想のどのあたりが「利害・目的・思想の一致により個人同士・勢力同士が協力を約束」につながるのでしょうか・・・。
米中の電撃接近の時、周恩来とキッシンジャーはこんな会話を取り交わしています。1971年のことです。
周恩来:「日本をこんなに太らせたのは米国だと言わざるを得ません」
キッシンジャー:「それはそうだが、現実だから仕方ない。どうするかは我々(米中)で決めましょう」
周恩来:「日本は戦後賠償を免れ、他国の戦争で大もうけした。米国が管理しないと何をしでかすかわからない」
キッシンジャー:「中国の視野は世界的だが、日本の視野は狭くて部族的だ」
キッシンジャー:「日本人は他国に感受性がない。自分のことしか考えず、変わり身が早い。封建制から天皇制に2、3年で変わり、天皇崇拝から民主主義へはたった3カ月だ」
周恩来:「島国ですからね。とても変わっている」
(From 周恩来の日本観)
興味がある方は上記のリンクのページに、直接の議事録のリンクが張ってあるので、是非原文をお読みください。外交だなあという感じがします。ちなみに原文を読むのも難儀だなあと思う方はこちらをどうぞ。
こんなことを言われてしまうのも、今まで述べてきたことも関係しているのでしょう。そしてこういった見方をされているのはこの時から40年近くたった今でも変わらないのだと思います。この国際社会でこれからも生き続けていくからには、今一度対外関係の結び方というのを見つめなおす必要があるのだと思います。そのための試金石として今の普天間問題があると思われてなりません。
日本の大臣に「これは秘密だ」と言うと、
必ず洩らす・・・
とはある中東の高官から
私が聞いた話。
情報を自分で集め、分析しないで、
もらってくるものだと思っている。
会社でも同じでした。
だから余り重要な情報は流さない・・・
情報を評価する能力、意欲がない上層部。
「それぞれ違った人がそれぞれ違った部分を判断し、全体を判断する。
ちょうどそれぞれが持ち寄った料理を楽しむように・・
政治学は理想を描くだけではいけない。
民主制に基づく制度は、つくるよりも維持するほうが大変なのだ。
そのためには現実に即した次善の制度を、衆智を集めてつくり
それを維持すること、それが実践の学問、政治学なのだ。」
普天間と多事総論をキーワードに
アリストテレスの言葉が蘇ってきました。
5月は塾野球部優勝に向けて休会とし
私塾では、6月後半にアリストテレスをとりあげることとしました。
もちろん大学日本選手権出場を想定しています。
多事総論は多事争論の変換ミスなんでしょうか?
それともアリストテレスの言う、全体を考えるという意味での
総論なのでしょうか?
ということで多事争論ではなく多事総論に
私もしてみました。
もし変換ミスでも、
この言葉も意味深いので、どうぞ削除なさらないで・・・・
文武両道さん
コメントありがとうございます。
いやあ、慣れないPCでの誤変換をここまで高尚に解釈して頂き、恐懼に堪えません。
今回の問題で余りにも腹案らしき内容が、正式ルートではない、でも一般的なマスコミのソースにどんどん乗っかってきていることも、今の政権の不慣れさを感じさせます。海兵隊からヘリ部隊は何フィート以内でなければいけないというのも軍機らしく、普通に報道されていて米軍が唖然としていたとか。
麻生さんはいろいろと叩かれていましたが、それこそ吉田茂さんを間近で見たせいか、インテリジェンスの扱い方はこなれていたと思います。鳩山一郎さんはどうしても党人派ですからね。でも日ソ国交回復の時の河野一郎の使い方は見事なものだったようですが、今の総理にとって河野一郎、三木武吉のような人がいないことが、彼をより窮地に追い込んでいるようにも思えますね。
しかし、まさか日本国総理大臣が
「私は、海兵隊が必ずしも抑止力として沖縄に存在しなければならない理由にはならないと思っていた。ただ、学ぶにつけ、沖縄に存在する米軍全体の中で海兵隊は、抑止力が維持できるという思いに至った。(認識が)浅かったと言われればその通りかもしれない。」
という言葉を吐くとは思いもしませんでした・・・。ここまで来ると言わせる方も言わせる方だとすら思ってしまいますから、不思議なものです。
おっしゃるように「総論」が必要な時期ですね。
http://mainichi.jp/select/today/news/20100510k0000m010113000c.html
普天間をめぐる小沢の動き
鳩山首相は「空想」「願望」に基づき「軽い言葉」をもてあそんでいるように思えてならないのである。求められているのは水準が担保された政策であるべきなのだが、「二酸化炭素25%削減」にせよ「社会全体で子どもを育てる」にせよ「核のない世界」といった甘い言葉と大風呂敷ばかりが目立つ。肝心なことは実現のために何が必要か、実現したら何が起こるかといった観点であるはずなのに、そうした観点や作業が決定的に欠けている。用意した政策が現実になったら想定される事態を徹底的に列挙し、齟齬がないか、矛盾はないか、新たな不公正を招くのではないか、といった練り上げる作業がなく、「マニフェストだから」でごり押しする。政治主導を掲げるということは、今まで官僚が陰で支えてきたそうした部分を政党や政治家が自ら補わなければならないはずだが、ところが、それがない。党内議論もなく、根回しも不十分なままだから、思いばかりの空回りに終わるのである。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100509/plc1005091801003-n5.htm
文武両道さん
コメントありがとうございます。
韓国の哨戒艦沈没事件、韓国の発表があった後鳩山総理は即座に反応されました。曰く、「韓国を強く支持する。北朝鮮の行動は許し難いものだ。今後の対応は、韓国、米国など関係各国と緊密に連携・協力する」とのことでしたが、そのコメントを出した日にこんなやりとりがあったようです。
「自衛隊の警戒レベルを引き上げなくていいのか」。20日の衆院本会議場で、中井洽国家公安委員長は首相にささやいた。首相は「平野博文官房長官が『いい』と言ってるから大丈夫だ」と答えるだけだった。
むむむ・・・。
そして、予想した通りまさに「結局のところ、辺野古?」になり、更に埋め立て方式となることで日米合意をしたというニュースまで出てきました。
むむむ・・・。
同盟にせよ友人にせよ取引にせよ、一番大事なのは信用、つまり言った言葉が信頼出来るかどうかということでしょう。こういった風雲急を告げる事態だからこそ、今こそ日米同盟を大事にして欲しいものですね。