ミイラ取りがミイラになる?

慶應義塾高校野球部の上田監督の名物コラム?「監督の独白」。
こういった事態を前に一旦中断を決意したものの、被災地の方からの声に応え力強く復活されていました。愛読している自分としても嬉しい限りです。
さて、その中で早速吠えていらっしゃいました。

毎日新聞にスポーツ社会学を専攻とする、筑波大学の清水論教授のコメントが大きく載っていた。要は選抜開催を反対している。反対のポイントは(1)高校野球は全国に強力なメッセージを配信してきた。だが今回ばかりは誰も共有できるメッセージにはならない。外からの押し付けに映れば逆効果だ。場合によっては選手そのものが批判の対象になる。(2)高校野球は教育の一環だと位置付けてきた。ならば今でこそ高校生に何ができるか考えさせろ。(3)春夏合同で開催するなど方法を考えろ。と書かれていた。どこがスポーツ社会学だと愕然としたが、僕が個人的に思う事を述べる。
(中略)
この学者は何をアマチュア野球、しかも高校野球に何を求めているのだ。憂国の若者たちが戦時中に最後の早慶戦を行ったこととどこかオーバーラップする。

早速、大いに吠えていらっしゃいます[E:coldsweats01]
一体全体どんなコラムだったのでしょうか?

 ◇中止もメッセージ--清水諭・筑波大大学院教授(スポーツ社会学)
 戦争で中断した時期はあるが、高校野球が大正期から継続し、築き上げてきた歴史の重みは人々に理解されている。だが、東日本大震災の被災状況、福島原発を巡る深刻な事態を考えれば開催すべきではなかったと思う。
 高校野球はこれまで全国に強力なメッセージを発信してきた。球児の一投一打はまさに青春そのもので、見ている人に力を与える。だが今回ばかりは被災者を含め、誰もが共有できるメッセージにはなるまい。被災地の中にはテレビ中継が見られない地域もある。外からの押し付けに映れば逆効果。場合によっては選手そのものが批判の対象になる。
 阪神大震災のあった95年のセンバツは復興の兆しが見えていたが、今は未曽有の危機。考え方を変える必要がある。日本高野連は高校野球を教育の一環に位置付けてきた。ならば、高校生に何ができるか考えさせるいい機会。選手は本当に野球ができるかどうか理解しているはずだ。
 また、主催者は開催するにしても日程短縮のために各校1試合に限るなど何らかの工夫ができなかったか。開催しないこともメッセージ。春夏合同で開催するなど、甲子園に新たな歴史の一歩を刻んでほしかった。

確かに何を選手たちに求めているのか、よくわかりません。ちょっとこの方の名前で調べてみると・・・、

清水諭『甲子園野球のアルケオロジー』新評論<旧刊再訪>

なるほど、この方は甲子園大会というものが高校生の部活の域を越え、地域的・社会的な祝祭となってしまっている現状を客観的に分析していらっしゃる方なんだなあと感じました。
そういった「祝祭的雰囲気」に批判的であったにも関わらず、「甲子園とは祝祭的イベント」という固定観念に囚われ、今はそういった祝祭的なものにならないから開催するのは良くないといった論旨になっているように感じます。すなわちミイラ取りがミイラになってしまっているような感じに。
選手と共に歩んでいる監督の立場からすれば、それこそ「この学者は何をアマチュア野球、しかも高校野球に何を求めているのだ?」と言いたくなるでしょうね。彼は結果的には分析の対象だった「祝祭的雰囲気」が、そうでなければいけないことになってしまったのでしょう。学者の方で時々見かけるのですが、自分の学説に、現実を適合させようとしすぎているのかもしれませんね。
高校野球は、どう考えてもそこでプレーする選手たちのためのものです。特にアマチュアなのですから、観客を感動させよう、メッセージを伝えようではなく、悔いのないプレーをすることが一番の目的でしょう。そこに大人たちがいろいろな意味合いを乗せていくと、違った方向に行ってしまいます。東北高校、水城高校の選手はもちろん、他の高校の選手も含め、野球の出来る喜びを感じながら、悔いのないプレーをしてきて貰いたいですね。

「ミイラ取りがミイラになる?」に11件のコメントがあります

  1. 上田さんが再開されたのは良かった。
    管理人さんが次々、提案されるのも嬉しい。
    仙石さんの任命に記者が、
    問責決議の人間をまた任命するのかと
    吠えていましたが、
    危急存亡の折、枝野さんを助ける任命に
    過去のいきがかりをここに至って
    問題にするとは!
    小沢さんに東北の公共事業に全権をゆだねてみたら。
    あまりに巧くやると有罪の根拠になりそうだが、
    たとえそうなったとしても
    小沢さんがその気で本気になれば、
    国民は喝采するだろう。
    自民党総裁も任命されて手腕を発揮してこそ
    支持率が上がる。
    「断ったら負ける」というある自民党長老のほうが
    現執行部より胆力がある。
    鳩山さんも批判ばかりしないで、
    東大や留学で学んだ危機管理手法を今こそ
    活かしてほしい。
    菅さんも東工大で学んだ応用物理学を活かす構えだ。
    ヒゲのイラク先遣隊隊長も緊急時に出動してほしい。
    首藤さんは大学での危機管理研究者として
    既にその任についている。
    最近の政治家は各分野の専門家でもある。
    工学、医学、危機管理、環境分野・・・
    政治家になって党利党略の詭弁ばかり上手になって
    本来の自分の得意を活かしてほしい。

  2. 毎日新聞。一体、彼らは何を考えているのでしょうか?少し前は、静岡県から出場する某学校のホームページになんやら。。。主催者として、責任ある事をしていただきたい(`´)

  3. 昨日のサンスポコラム。曲は勇気を与えるという記事。被災地では、アンパンマンの曲が流れ、子供たちが…みたいな事が。16年前の行進曲はSMAPの頑張りましょうでした。今回はいきものがかりのありがとう。勇気とは違うかも知れないが、その心を持ってプレーして欲しいですね。

  4. 選抜の開催に賛否両論あってもよろしいのではないかと考えます。
    今回の災難は国難といわれるほどの被害をもたらし、今なお、行方不明者、原発の状況を考えると阪神の時とは全く状況がちがいますし、全国民が被災者に協力する時であるということは事実だと思います。
    ただ、当事者はコメントすべきではないと思います。
    星野監督が我慢しているように。
    仮に選抜を中止し選抜参加選手全員が被災地にボランティアに行く。」これも教育の一環です。
    開催ありきではなく、「教育」の面から考えるといろいろな方策が出てきますが、「継続は力なり」が優先されるのでしょう。

  5. 関西での開催ですから異論なし。
    ただし、NHKの全試合放送は、
    関東、東北の電力需要に与える影響は
    憂慮しています。
    この点は東京ドームの開催を憂慮するのと
    同じです。
    高校野球が国民的イベントであるゆえ、
    テレビをつけっぱなしにしてしまう。
    これは我が家でも同じでした。
    受信できるのは関係県のみとする。
    節電の意味での受信「自粛」は必要と思います。

  6. 時代背景は異なりますが、国を挙げての非常時に学生野球をどうするか?という点で「最後の早慶戦」を私も想起しました。当時の小泉塾長や田中総長の想いに通じる何かを感じる決定だったと思います。決行するにしても中止するにしても要は責任者がどういう覚悟を持って決断するかだと思います。改めて稲門会の奥島会長に拍手!です。

  7. 最後の早慶戦は電力需要には
    全く影響しませんでした。
    東京ドームのナイターは
    あくまで電力需要に関しての配慮が必要、
    という1点のみ。
    夏の甲子園についても試合そのものは
    デーゲームなので開催してほしいですが、
    放映のほうは関係地方のみの
    計画放映が望ましいと感じます。
    夏は猛暑であれば冷房が止まれば
    お年寄りが熱中症で死亡するので
    冬以上に配慮が求められます。

  8. 夕刊に野菜の入荷量が半減したのに値段が高騰しないのは、飲食店が計画節電と夜の会食自粛で需要がない
    と言う。
    妻のハープの演奏会が中止になった。
    この非常時に優雅にハープでは・・・
    と自主規制だそうだ。
    この非常時に自粛の嵐では、元気が出ない、という意見は、節電という目的以外では尊重したい。
    甲子園や神宮での応援は、なんら電力に影響しない。
    であれば、元気に応援してほしい。
    東北高校の相手は応援を自粛する動きはそれなりに
    理解できるが・・・
    非常時ということでむやみに自粛することは、
    あの戦時中と同じ暗い時代になる。

  9. 毎日や朝日の上層部に知人をもつ立場から、
    この彼らがアマチュア野球にもっとも良き理解者であることを知っています。
    その毎日が選抜を控え異論を許したことは
    ある意味、評価します。
    読売では異論は許されない、と読売の論説委員が
    かつて言っていました。
    それだけに春はよし、として夏の大会をどうするか
    朝日は悩むと思います。
    これはNHKについても言えます。
    思えば、西鉄VS巨人の日本シリーズ、
    早慶6連戦はデーゲームの醍醐味でした。
    日暮れまでに決着しなければならない!
    ナイターにしたので昔は2時間ゲームだったのに
    3時間4時間ゲームになってしまった。
    東電は東ガスと争ってオール電化の台所を
    つくりあげてしまった。
    オール電化にしてしまったとたんに地震、
    という知人もいる。
    供給が膨大になって、ナイターも無制限、
    オール電化。
    内心申し訳ないがパソコン、いわゆる
    パーソナル・コンピューターも
    便利ではあるが・・・
    会社でも家庭でもひとり1台が必要か?
    ある会社の社長いわく、
    仕事ではなくゲームに使っている人間も多い。
    パソコンに向かって仕事しているふりをする人間も。
    人事部が全員にパソコンを!
    と社長に進言した時のお話。

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