平成24年春季東京六大学慶早戦3回戦で感じたこと〜投手編

今春の慶早戦は1回戦も2回戦もそれぞれ見どころがありましたが、3回戦はいろいろと印象的なところがあったので、思うがままに書いてみます。
まずは投手陣について。
1)竹内大助君
竹内大助君はやはり、2年生の春から今までずっと初戦を任されてきたエースだなと思いました。常にランナーを背負う場面が続きましたが、大事なところで決定打を打たせない、ある意味大助君らしい投球でした。もしかすると、彼はどう投げるとかが問題ではなく、相手との間合いをどのように制するかが大事な投手なのかなと今さらながら思いました。強く感じたのは3回裏、同点に追いつかれ尚も2死満塁。打者は今春当たっていた1年生の茂木君。茂木君は初球からバットを大助君に向けて「おりゃ〜!」みたいな奇声を上げて構えていました。1年生が4年生に取る態度かどうかは別にして、なかなか元気の良いことです。しかし、自分が思うにもこれはこの慶早戦独特の雰囲気に押し潰されないため、敢えて声を出しているように見えました。それを竹内大助君もきっと察知したのでは無いかと思うのです。うまく相手の打ち気を削ぎ、結果はタイミングのずれた空振りの三振を取っていました。フォームも大事ですが、原点に戻って相手の表情をよく見ることこそが、竹内大助君の好投の秘訣かもしれませんね。
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2)福谷君
福谷君は第1戦はともかく、第3戦は正直言って見ていていたたまれませんでした。
特に8回の投球です。地引君、茂木君が淡泊なバッティングで凡退したものの、投げたボールは全て緩いボール。そして小野田君に打たれた2塁打も、代打高橋君に打たれたタイムリー3塁打も、全て緩いボールで、この回は更に次打者の中村君の初球まで、全て緩いボールでした。自分が思うに、これは右足の踏ん張りが効かなくなってきて、所謂蹴りがしっかりと出来ないため、自分の剛球イメージを逆手に取って、顔で抑えていたといった印象です。
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中村君の2球目、意を決してストレートを投げ込みますが外れます。そして3球目も渾身のストレート。
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4球目もストレートで追い込み。そして最後はもう一回緩い球で見事三振を取ります。
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こういった時、普段の福谷君ならニコニコして帰ってくるのですが、この表情を見ると、彼の激闘(敢えて投げるの投ではない字をあてました)が伝わってくるようです。
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9回もやはり同じような投球で、見ている方としてはもう本当に祈りの世界。早く無事に戻っておいで、早く無事に戻っておいでと心の中で唱え続けていました。自分は試合終了の瞬間、谷田君の表情を追ってずっと撮影していましたが、ポポさんのブログの写真を拝見すると、終了時の福谷君の表情がばっちり写っていて、その表情に深いものを感じてしまうのです。
ちなみにこの投球を見ていて思い出したのは、2009年の日本シリーズの第2戦でダルビッシュが見せた投球。暇な人は調べてみて下さい。
これを見ると、優勝出来なかったのももしかすると福谷君を休ませるために天がくれた機会なのではとすら思えます。最終学年だったり、副将だったり、プロ入り前の大事なアピール時期だったりしますが、まずは体調が万全にならないといけません。焦らずに、まずはしっかりと足を完治させることに専念して、しっかりと回復した後に、また凄い球を見せて貰えればと思います。
3)竹内大助君と福谷君の絆
去年は至る所で「絆」という文字を見ましたが、ひねくれ者の自分としては「絆」なんてわざわざ言葉にして言うものでもないのにと思っていました。
しかし、この2人を見ているとやはり「絆」という言葉が思い浮かんでくるのです。
お互い神宮未勝利のまま、2年生の春から主戦投手として神宮のマウンドに登り、そして2年春・3年春と優勝の原動力となり、他のシーズンでも常にマウンドを守り続けてきてくれた2人。下級生の頃の苦労、地元での邂逅もあり、特別な関係が2人にはあるように見えます。そんな2人の姿を神宮で見ることが出来るのも、あとは秋のシーズンだけだと思うと、今から涙が出てきそうになるほどです。何度も同じ写真で恐縮ですが、慶早戦第1戦のこの写真を見る度に、彼らの深い友情関係・絆が伝わってくるように感じるのです。秋は完全燃焼(勿論、出すべき力を発揮しきるという意味で)を期待しています。
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4)次世代育成の必要性
逆に言うと、この2人に頼りきりの3年間とも言えましょう。慶早戦第2戦、自分としてはもう少し山形君をガマンして投げさせて欲しかったですね。来年のことを考えると、慶早戦で責任回数まで投げきるという経験を積ませることも大事なことと思うのです。
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(力投する山形君)
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(ピンチを抑えてベンチに戻る時の山形君)
竹林君は頑張ったと思うのですが、気持ちが優しすぎかな。少なくとも気持ちはわかりますが、マウンドであんなに謝ってはいけない。うるせー、このヤロウくらいの気持ちが投手には必要な気がします。そういった口の悪さはありませんが、あの2人は共にマウンド上ではかなりなマイペースですからね。ああいった雰囲気なので仕方ないですが、いつものスマイルが無かったですね。ただ、これも経験。この経験はきっと次の登板に生きるはず。この夏しっかりと鍛えて、秋には一回りも二回りも大きくなった姿を見せて下さい!
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(力投する竹林君)
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(降板の時、帽子を脱いで頭を下げ、脱いだままベンチに戻るところ)
秋は期待していますよ〜!
春は持っている力からすれば、なかなか調子が上がりませんでしたが、これも秋に向けた良い経験の場だったと思い、今後に是非活かして、秋には優勝出来るよう頑張って下さい!!
(次回は野手編です)

「平成24年春季東京六大学慶早戦3回戦で感じたこと〜投手編」に10件のコメントがあります

  1. 打撃陣と比べ、満足な結果を残せていないのが弟分から入部した投手陣。
    怪我等が原因かと思われますが、あの当時『ON』と言われた両人や、ドラフト候補まで言われたあの彼のの完全復活を祈っています。
    そういった事を考えれば、、先日の新人戦のT君の完投は嬉しいニュースでしたね。さて、今日の新人戦は誰が投げるのでしょうか。

  2. 横山君どうしたのか、と思っていましたが好投。
    早稲田の投手陣は層が厚い。
    わが方も3年生の底上げで対抗せねば・・・
    先発2枚は互角なので・・・

  3. 吉永、横山、有原の完封リレー恐るべし。
    内田君などもいて
    盤石の早稲田再び黄金時代へという感じの大学選手権でした。
    この早稲田に勝ったのですから、力はあります!
    ほかの学校にも同じ気持ちで!

  4. 深夜の投稿失礼します。投手繋がりで…。
    加嶋くんの後輩、昨日行われた今年の埼玉大会組み合わせ抽選会で94番クジだったようです。つまり、開会式で選手宣誓の大役を!これは、生で…といきたいところですが(;_;) でも、録画と翌日の新聞は必ず!

  5. ちなみに、慶応志木と立教新座が初戦を突破しますと、埼玉版慶立戦です。

  6. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。
    中林君が活躍した時は、余り不思議にも思わず応援していましたが、高校と大学はやはり違い、そのまま活躍するのは大変なんですね。彼らも怪我とかで恵まれていない部分もあり、なんとかそういった部分を治し、神宮で活躍する姿を見せて欲しいですね。
    瀧本君、神宮はもしかしてマウンドに合っているのかも?
    選手宣誓、まさに引き当てましたね。どんな言葉を言ってくれるのか楽しみです。慶立戦も楽しみですね!

  7. 瀧本君は新人戦で志村君、中林君、福谷君の18番をつけて登板、期待されていますが、
    同じシニアの先輩中林君を尊敬していたようです。
    高校の予選もいよいよ始まりますが、オープン戦で青山学院野球部の関係者が、言っていました。
    塾高のメンバーは中学時代は全日本クラス、松本君はよく慶應に入ったが、
    このメンバーでレギュラーをとるのは大変だ。
    今年の予選先発メンバーも優勝を狙える素質、と彼は言っていました。

  8. 野球小僧の今月号。流しのブルペンキャッチャーに福谷くん。 発売は10日です。

  9. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    なかなかご返信していなくて申し訳ないです。塾高の夏も始まりました。自分はちょっとエンジンがかかるのが遅そうですが、精一杯応援してこようと思っています。是非頑張って貰いたいですね。

  10. 黄色と黒は勇気のしるし♪さん
    コメントありがとうございます。
    その節は教えて頂き、ありがとうございます。遅くなりましたが、もうすぐ記事にする予定です(^^ゞ

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