KBSのオープンキャンパスに参加してみました

先週の土曜日のことですが、KBS(慶應義塾大学大学院経営管理研究科)のオープンキャンパスに参加してみました。場所は日吉キャンパスの協生館にて。随分と立派な建物が建ちましたね。最初間違えて並木道をずんずんと図書館付近まで歩いていってしまいました[E:sweat01]
それにしても日吉キャンパスに勉強に行くとはもう20年振りくらい。月日の経つのは、早いものです。
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今回のオープンキャンパスはケースメソッドと言ってある事例を題材に、経営者として自分はどうするかを考え、まわりの人たちと討議し、一つの結論を導こうとするものです。なので、今回の授業を進めてくださった竹内准教授も、講義をするというよりは、司会者として議論を導いてくださるといった趣の物でした。
今回のお題は、「あるコンビニエンスストアの現金違算」。

さらっと説明してみます。人口が漸減気味の住宅街にオープンして3年目のコンビニ。業績は比較的好調のコンビニオーナー。今年中には初期投資の借金も全額返済が可能な感じだったが、コンビニチェーンの本部の人から気になることを聞く。4月以降今月(6月)まで現金不足(現金違算)が多くなっていますが把握していますかと。この店長は大体9時から20時くらいまで出金していて、深夜はバイトに任せている。毎日の決算と釣り銭補充はオープン以来の主力メンバーに任せていて信じられる人材であり信じたいとのこと。やがて現金違算発生の曜日とシフト表を見ると1人の女子高生の主力アルバイトの子の可能性が色濃くなってくる。彼女は人気者で、常連さんの中には彼女目当てと思われる人も。明るく真面目な子で地味な作業もそつなくこなす。店長が試しに遅くまでいるとその日は現金不足は発生しない。本部に相談したところ、証拠が無いので本人に絶対気づかれない様に、他のアルバイトにも言わないようにとアドバイスを受ける。それからは頻繁に防犯カメラのビデオを確認するようになり、アルバイトからもちょっと不審がられる。そして1週間後、ついに決定的な瞬間を確認した。防犯ビデオに疑いの子がレジと金庫との両替のタイミングで1万円札を胸ポケットに入れる映像を見つけてしまった。証拠は掴めた!と思ったが、悩みは深まる。自宅はお店の真向かいで母親は常連。彼女の幼なじみも数人このお店で働いているが、最近不正に気づき始めた様。そして今でも現金違算は発生している。
でどうすればいいでしょうか?
問題1
あなたが店長(社長)ならば、この店に生じている現金違算問題にどのように対応するか。
問題2
対応方法を決めるに際して、あなたが考慮に入れた事柄にはどのようなものがあり、それぞれの事柄にどのような重み付けをするか。
(このほかにもクラス討議で議論したいことがある方は、討議の流れをうまく読んで、うまく提案してみてください。参加者の同意が得られれば、その論点も扱います)

という問題です。
そしてまずは両隣の人と話すことに。1人は25歳、もう1人は30歳。さすがにもうこういう場に入ると長老の立場か・・・と思いながら、お話しを。こういった中からも、自分に無かった視点、でも必要だなと思う視点があって興味深いことこの上なし。そしてその後は大体30人くらいで准教授を交えての討議。ざっくりした意見を言う人、単純に解釈する人、法律論で話す人、自説に拘る人、不規則発言をする人などいろいろいてこれまた興味深い。
あと感心したのは、この授業における竹内准教授の進め方。よく会議でもありがちな拡散する論点を的確にまとめながら、いろいろな人の発言をうまく引きだしていました。この人、会議の議長をやったらうまくとりまとめられるんだろうなあと思いながら見ていました。
いいなあ、こういうのって思って聞いていました。そしてその後懇親会(といっても席に座って質問するだけですが)があって、ようやく気づきました。
オープンキャンパスって、そこへの入学を考えている人に自分のところの授業を見せて、良かったらどうぞお入りくださいっていうものだったんですね。
そこでのオリエンを聞くと、ここKBSは2年間全日制でみっちりと朝から晩まで学ぶことになるとのことで、在校生のある1週間の予定表を見たら月〜金までは毎日5時起床、午前2時就寝とのこと。
まあ、勉強をそこまでやってみるのはこれはこれで面白そうとは思いました。しかし、2年間会社を空けるというのは・・・。ロシアのピョートル大帝みたいなことが出来ればいいのですが・・・。
とは言え、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。と共に、討議の中で、今まで仕事でやってきていることは、やはり自分の血となり肉となっているんだなあとも思いました。もしお時間があれば、どうぞ上記の設問も考えてみてください。なかなか面白いですよ!

「KBSのオープンキャンパスに参加してみました」に6件のコメントがあります

  1. ハーバード大学にかつてローレンス・コールバーグという心理学者がいました。彼は子どもたちの知識の発達を6段階に分けて評価するために実験をしています。
     まず、物語を聞かせます。こんな内容です。
    「ハインツという男がいます。ハインツの奥さんはガンで死にかかっています。お医者さんは最近売り出された特効薬を使うしかないと言っています。その薬の開発者は、開発費の10倍の値段を付けているため、薬はとても高価です。ハインツは募金を集めましたが、値段の半分しか集められませんでした。ハインツは開発者に交渉しましたが、色よい返事をもらえませんでした。ある日ハインツは、愛する妻のため、薬のある倉庫に忍び込み、盗み出しました」
    この行為をどう考えるか。子どもたちに答えさせます。
    コールバーグは、男の子はより高い段階で判断を下していてスコアが高く、女の子は判断が下せずに、スコアが低いという結論を導き出しました。中には「開発者の所有権とハインツの奥さんの生存権のどちらが高いかという問題だから、そこを決定すれば正しい答えが出る」などと大人顔負けの論理を導きだす11歳の男の子まで現れます。
    ところが、この結果に反発したのが、キャロル・ギリガンです。この物語で設定した問題は、現実に起きたとしたら算数のように一つの答えで解けはしないのだから、「答えは出せなくて当然」というわけです。
    ちなみにコールバーグの実験ではスコアが低いとみなされてしまう、11歳の女の子の答えはこういうものです。
    「製薬会社をちゃんと説得する方法はないものだろうか、もっとお金を集めることはできないのか。奥さんのためにと盗みを働いた夫が捕まったら、自責の念にさいなまれた奥さんは病気が重くなってしまうのではないか……」
    11歳の女の子はこういったプロセスを考えていて、結論が出せませんでした。コールバーグのやりかたではこの11歳の女の子の発達段階は低いと評価されてしまいます。
    でも、ここで11歳の女の子が思いを巡らせているのは、ガンで死にかかっている奥さんを救おうとしているハインツのとった方法が正しかったか間違っていたか、についてではありません。ハインツの奥さんが助かるにはどうしたらいいだろうか、という具体的な状況に対するコミットメントのあり方であり、結果としてなるべく誰もが傷つかないで、最良の結果=奥さんが助かる道筋を円滑に見つけてこうとすること、つまりケアの仕方なのです。
    そこまで思いを巡らせたがゆえに安易に答えを出せなかった11歳の女の子を「発達段階が低い」と断ずるのは間違っているのではないか?それがギリガンの指摘でした。
    「正しい答え」にこだわるか、「現実的な解」を探すのか
    男の子が物語の枠組みの中での「正しい答え」を見つけるのがうまかった。けれども、女の子は「正しいか間違っているか」よりも、現実にこうした問題が起きたときにどうすれば誰も傷つかずにうまくいくかまでをも考え抜こうとしていた。実社会で、どちらが有効なのか?

  2. 政局しか見ていない小沢はようとう「反増税と脱原発」で離党して選挙に勝つと言っています。
    自民の石原は公約破りに民主党を追い詰めんがらその責めを野田に押し付けて解散で勝つ戦略。
    そもそも財源のないバラマキは選挙に勝つための小沢の戦略。
    今度も国民を愚弄してまず勝ってから考えるのか?
    このような先輩をもって情けない。早稲田の首相頑張れ!
    朝日も経済気象台のようなプロ向けのコラムでは首相に敬意を表しているが社会面では政局のみ。

  3. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    いろいろと示唆に富んだお話しをご紹介いただき、ありがとうございます。現実社会において「正解」と名の付く明確な解答は殆ど無いと思います。現実的な解というよりは、より複層的に現実を捉えた解の途中といったものだと感じましたが、こういった複層の層が増えれば増えるほど、より説得力なる解となってくるのだと思います。勿論、決断の重要な要素の一つに期限があり、判断が下せなかったという点はやはり減点対象となるかとは思いますが、その判断を下せる様になるためにより経験を深く積み、この彼女なりの判断を下せる様に次は頑張ろうと励ますことが一番のように感じました。
    日本人はすぐ忘れてしまっているのか、それとも元々興味が無いからかわかりませんが、小沢一派が安倍政権以降あの手この手で政権を追い込み(その結果インド洋から一旦自衛艦が日本に戻ってくる羽目に)、ばらまき政策(こども手当、高校無償化、ガソリン税の廃止)などを掲げその財源は無駄遣いの根絶で12兆円を生み出して、と言って政権を取ったこと。実際に鳩山政権が誕生してから、その無駄遣いの根絶に力を尽くすどころか、事業仕分けに参加しようとした1年生議員を叱責し辻立ちをしろと指示を出していたこと。権力の座にいた時だけいっぱい議員を引き連れて中国の胡錦濤主席とツーショット写真を撮り、それを彼にも言っていたこと。あの手紙の真偽はわからないにせよ、実際に被災地になかなか行かず、また復興のために何かしたり発言しているとは寡聞にして全く聞かないこと。でも政局絡みの件は、本人では無く関係者から彼の言葉としてよく聞くこと。でもって最近の主張は増税の前にやることがある。ではせいぜい事業仕分けくらい党の総力を挙げて取り組み、辻立ちなぞは後回しにした方が良かったじゃないですか・・・。どれをとっても評価できません・・・。

  4. 濱田洪一さん
    コメントありがとうございます。
    当日早稲田の体育会の方と見える女子の姿をたくさん拝見したのですが、この試合があったからなんですね。当日はその後仕事で会社にとんぼ返りだったため見ることは出来ませんでしたが、見てみたかったなあと思える試合内容ですね。濱田さんにもしかするとご挨拶出来たかも知れません。惜しいことをしました。
    では、今後ともよろしくお願いします。

  5. 最後の診察
    「完治したのは薬のおかげでしょうか?」
    「薬は殆ど関係ありません。生活改善に取り組んだ結果です。骨折のときはレントゲンを見るだけで何の薬も投与しませんが、それほどでなくても、殆どの病気は薬ではなく患者の心がけ次第で治ります。だから油断するとまた病気になります。」
    「私の息子が東大に落ちて来年は他の私立大学の医学部を受けると言っています。何がやりたいか聞いたら精神科の医師になりたいという。それなら文学部に行って、心理学を学んでカウンセラーになったら、と勧めた。
    ほぼ同じことをやって医者との違いは、医者は薬の処方箋を書くことができるだけの違い。
    内科でさえ薬でなく問診によって徐々に生活
    を改善させることで治す、まして精神科では・・・と息子に言った。
    問診が医者の良しあしを決めるとすると、大学の医学部の入試に社会と国語がないのは困る。
    むしろ心理学や社会学が医者にとって必要な教養となる。化学、数学、物理は入試科目から外して国語、社会、生物の高得点者を医学部には入ってもらいたい」
    先生の問診2年で完治させていただき感謝!
    「医学部を理系の最難関として物理、数学の高得点者を入れるのはどうか、医学部生は頭の良さだけで入れてはいけない」
    養老先生も同じことを言っておられました

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