いわゆる韓国の件

8月10日の李明博韓国大統領の竹島(韓国名:独島)上陸以来、かなり激しい感情的なやり取りの応酬がなされています。
サッカー選手の件は、呆れてしまう部分はあるにせよ、今までの韓国の方の反応を見ていればまあこんなものかなと思う程度のこと。
但し、それ以上に李大統領から発せられる数々の強硬姿勢が日本人を苛立たせ、また怒りすら感じさせます。
特に天皇陛下にあてて言ったというあの発言に至っては、億兆の民も怒髪天を突くと言っても過言では無いほど。
しかし、これが韓国側から言わせるとずっと挑発してきたのは日本の方だとなります。竹島の日を8年前に作り、防衛白書にも毎回書いてきて云々と。
こういったセンシティブな話しが出てくると、自分はまず原文を読みたくなります。英語ならまだしも韓国語はそもそもハングルがさっぱり読めないのでそこが困ったものですが、今はGoogleを通じて翻訳して貰えるんですね。なんと便利な時代だこと。
例えば今回の発言で最初は跪け!と言ったという記事として紹介されたソウル新聞のページ。もしかしたら書き直されているのかもしれませんが、機械的な翻訳は次の通りです。

李明博大統領が日本軍慰安婦、歴史教科書歪曲など過去の問題と関連して、連日外交上の慣例を超える強硬発言をしており、その背景をめぐり関心が集まっている。去る10日韓国大統領として初めて独島を訪問した李大統領は14日には天皇(日王)まで取り上げて、過去の問題の早急な解決を促した。李大統領のこのような対日攻勢は、現政権だけでなく、次期政権にも外交的負担として作用するという指摘が出ている。
李大統領はこの日、忠清北道清原郡、韓国教員大学校を訪問した席で”独島訪問”についての質問が出ると決心したように直接的に日本を追い詰めた。李大統領は、日本の植民地の強みの問題については、許すことはできますが、忘れることはできません。計算することは計算しなければならないと声を高めた。”静かな外交”に代表される対日外交政策が強硬モードに変わったことを示唆するところである。このような基調を見ると、15日に公開される光復節祝辞でも、李大統領は日本軍慰安婦などの歴史問題についても、以前とは違って、具体的かつ断固としたメッセージを渡す可能性が高いと思われる。大統領府の高位関係者は”祝辞のシナリオはまだフレーズを変更している”としながら”最終的な演説直前までは、大統領が直接演説文を修正する作業が続くだろう”と話した。 事実上の任期をわずか4ヶ月余り残っていたが、大統領が過去の歴史など、対日懸案と関連して異例的に強力な発言を連日吐き出すことに対して批判的な声が多い。執権中対日外交の問題で実用的な路線を追求している途中の任期末に突然批判的な態度で急変したのは、レイムダック(任期末権力現象)に悩まされている国内の政治状況のためだという指摘が出ている。実際に李大統領の国政支持率は最近20%ミトウロカジ落ちたが、李大統領の独島訪問については、80%以上の国民が賛成ほど支持を受けている。ため、李大統領が過去の歴史問題を前面に打ち出しながらレイムダックを突破するための手段として使用しているという批判が出ている。
ムンジョンイン延世大政治外交学科教授は”李大統領の独島訪問に続き、連続した対日強硬発言は全く理解できない部分”とし”大統領の独島訪問の国民的支持率が84%まで上がった世論調査に鼓舞され、”日本叩き”をすれば、国民の支持率が上がるだろうと思ったそうだ。 “と話した。文教授は、 “全般的な外交の全体像を見ると、南北関係と韓中関係が悪くて、韓日関係も維持しなければために大統領の最近の言動は、韓日間の摩擦音を深め、政府の今後の外交的布石に悪影響を与えること”と見込んだ。

まあ、この程度くらいには冷静に報じています。
しかし、今日になると今度は韓国高官がこんな発言を。

【ソウル=中川孝之】17日付のソウル新聞(早版)は、韓国大統領府の高官が16日、竹島の領有権や歴史問題での日本の対応を批判した上で、韓国政府が「野田首相にはこれ以上、期待することはできないとの結論に至った」と述べたと報じた。
この高官は同紙に対し、野田政権の発足当初、李明博イミョンバク政権は「発言を自制して未来志向で行くことを望んだが、むしろ状況が悪化した」と語ったという。歴史問題とは、いわゆる従軍慰安婦問題を指すとみられる。
さらに、日本が韓国への対抗措置として、日韓の通貨交換(スワップ)協定の見直しも検討しているとされる点に関し、同高官は「日本との通貨スワップがなくても、韓国ウォンの価値が不安定になる状況ではない」と強調。「(同協定は)両国の相互利益のためのもので、(昨年10月に)スワップ枠を拡充した際も日本側が先に提案した」などと説明した。
▽読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120816-OYT1T01152.htm?from=main2

これまたソウル新聞の記事の機械翻訳だと、

韓日両国が、李明博大統領の独島訪問と天皇(日王)の謝罪要求など葛藤を経験している中で、大統領府は、日本の野田佳彦首相について、過去の問題の解決と関連してこれ以上期待はないという強硬な立場を整理した。大統領府の高官は16日、 “野田政権になって過去の歴史、領土問題が逆行している”としながら”初めに野田政府に期待をかけて発言を控えて、未来志向的にしてくれてほしいと言ったが、むしろ(状況を)悪化させて野田首相にこれ以上期待できないという結論を下した”と話した。この関係者は引き続き”野田大臣は、日本国内でもあまり呼応を受けなくている”としながら”こと野田大臣以外に他の誰が首相になっても今よりはましだ”と述べた。来る10月に切れるの韓日通貨スワップを日本が延長したくない動きについては、 “韓日通貨スワップは、日本が恩恵的にしたのではなく、相互の利益のためにしたものであり、通貨スワップ規模を増やそうしたのも日本が先に提案した”とし”日本の通貨スワップがなくてもウォン価値が揺れるほどの状況ではない”と述べた。 大統領府の他の高位関係者は”歴史問題、過去の歴史問題、解決に期限がかかる軍慰安婦問題などは良いのがいいとずっとしまって行くことはない”とし”韓日両国間の基本的足を引っ張る要因は、その瞬間の顔赤らめて摩擦が起きることを覚悟しても、埋めていくと利息が大きくなる。ぶつかることはブディトヒョヤし、一度は提出しなければならない”と話した。この関係者は、 “野田大臣への期待を折った。”という発言と関連して、 “慰安婦問題の解決にならないと政府との相対アンハゲトということは、誰が言ったのか分からないが私見(私见)がないかと思う”としながら”私たちの政府の立場にそのような決定をしたことはない”と話した。

この発言を聞いたときまず思い出した言葉が
「爾後国民政府ヲ対手トセズ」
の言葉でした。これは近衛文麿が盧溝橋事件の半年後に出した声明でこれにより、日中和平交渉が行き詰まったものでした。
実はこの発言の5日前に御前会議(日露戦争以来久しぶり)でこんな内容が決まりました。

参謀本部は,12月22日に提示した講和条件では和平達成は厳しいと判断し,御前会議(天皇が臨席して重要国策を決める会議)を開催して,ややもすれば侵略的に傾くおそれのある国内の趨勢を予防し,日中国交再建の根本方針を確立するよう求めました。この結果,昭和13年1月11日に御前会議が開かれ(日露戦争以来,久しぶりに開催),「支那事変処理根本方針」が決定されました。
 同方針では,中国の現中央政府(国民政府)が誠意をもって講和を求めれば,提案中の講和条件に準拠して交渉を行い,国民政府が講和条件を実行することが確認されれば,日本は講和条件中の保障条項(華北や華中への非武装地帯設定など)を解消し,同時に治外法権や租界の撤廃を検討して,中国の復興・発展に協力する旨を定めました。ただしその一方で,国民政府が講和に応じない場合は,以後は同政府を相手とする事変解決に期待せず,新中央政権の成立を助長し,新政権との国交調整を進める旨も決定しました。この決定は電報(合第98号)によって関係公館に伝えられました。
 日本の講和条件に対する中国政府の回答は,1月14日,ドイツを通じて日本へ伝えられましたが,それは講和条件の詳細な内容を照会したものでした。広田外相は「この回答は遷延策と見るほかなく,誠意が認められない」との印象をディルクセン大使に語りました。その後開かれた大本営政府連絡会議では,和平交渉を継続すべきかどうかについて議論が重ねられました。交渉継続の意見もありましたが,結局,日本は打ち切りを決定しました。そして1月16日,広田外相よりディルクセン大使に和平交渉の打ち切りを通告するとともに,「爾後国民政府ヲ対手トセズ」との政府声明を発表しました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/nitchu_nihon/03.html

つまり陸軍の参謀本部が和平を求めていたのに対して、廣田外相そして近衛首相がそれを潰したという状況だったのです。3日後にもう相手に誠意が無いと判断しているのは、すでに予断があったからと言わざるを得ません。
ちょっとトンデモ本のきらいがないわけでもありませんが、近衛文麿の戦争責任には、なるほどと思う記載があります。事件が起こったとき、それによって一番利益を得た者が首謀者であることが多いです。日中戦争の泥沼化によって結局誰が一番得をしたか?日本でも蒋介石でもありません。
また、李大統領が加害者と被害者をわからせるといった内容も近衛首相の「暴支庸懲」に似た雰囲気。
今回の件も、日韓の軍事情報協定が調印当日にキャンセルされるという外交的非礼から始まり、極端にエスカレートした経緯を見ると、そして韓国の新聞を見る限り共感を示しつつもこんなことしてていいのだろうかという疑問の提起、他の政府高官が今回の方針(野田政権に期待しない)が正式決定はされていないというコメントの併載を見ると、単純に日韓の衝突が発生したのでは無く、日韓同盟深化に危機感を持ったある意図を持った共通の動きが双方で行われているような気がしてしまうのです。その流れに李明博韓国大統領も乗ったように思えてならないのです。
当然外交的非礼に対して、高位レベルでの抗議は必要でしょう。でもやみくもに対立をエスカレートさせて、一体誰が得をすると思いますか?通貨スワップをやめるのもいいですが、それよりもこういったことの方が大事なのではと思っています。
1)外交的な侮りを避けるためにも、日本としての明確な防衛方針の確立。いつまでも自衛隊というまやかしの論理に囚われずに国防軍への転換を図り、アメリカとの集団的自衛権を認めることが必要かと思います。
2)実効支配している地域での既成事実の強化
3)韓国・中国で盛んに言われる「日本は歴史を歪曲している」といったことに対する明確な反論とその広報。日本の小中高で使用されている歴史教科書の展示も一つの方法だが、二階堂進氏が日米開戦前夜にアメリカ本土で日米理解を目指し遊説活動をしたように、身の危険を省みず相互理解を目指した主張を保守の論客と呼ばれている人たちは目指すべきだと思います。
4)周辺諸国に日本の真の友邦を作る。中国・韓国とは彼らの譲らない歴史問題がある以上、こういったことは今後も起こり得る。第二次世界大戦での日本の敗因の大きなものに同盟国に恵まれず、特に周辺地域は同盟国が無きがごときでした。オーストラリア、フィリピン、台湾、ベトナム、インドネシア、インド、マレーシアといった国々との関係の強化は絶対に必要な事だと思います。
どの国にも扇動家となる人は出てきます。日本国内でも今回の事態を受けて韓国の製品をボイコットしようなんて主張している人もいますが、それを聞くとナチスの「ドイツよ ユダヤ人から物を買うな!」といったキャンペーンを想起してしまいます。そんなことにいちいち反応するのでは無く、本質的に大事なことをしっかり行うことこそが今求められていると思います。なぜこのような事態になってしまったかということこそ冷静に考え、そしてその対処をすることが肝要です。なんとかそういった論調になればいいと思っています。
ちなみに事の発端の一つ、サッカーの問題ですが、日本選手団から
「あれは自分たちは政治的メッセージとは感じていなかった。いずれにせよ韓国チームはよく戦い、そして我々は敗れた。韓国チームの実力に敬意を表すると共に、次回の戦いに於いて勝つのは我々だとも主張しておきたい。グランドの中ではサッカーの勝敗、それのみだ。それ以外のことは考えていない。」
とでもメッセージを出せば自分は恰好良いなあと思います。
なんだか長くなってしまいました。まとまりの無い文章ですみません。

「いわゆる韓国の件」に3件のコメントがあります

  1. 黙殺するのもひとつの手か?
    日本のマスコミも政治家も国民の声を無視できないので無理か?

  2. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    黙殺、これもまた一つの手段であると考えます。感情は理屈で収まるものでもありませんから。
    あとの記事で書こうと思ってはいますが、両国の国民の感情のヒダをいじればこのような対立が出てくることは、ちょっと状況を知っている人なら容易に想像が付くはず。となれば、これは誰かが何らかの意図でこの状況を引き起こしていると想像する方が自然と、私は考えています。

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