これのどこが・・・?

よく私はマスコミの一面的な取り上げを話題にしたりもします。まあ、たいていの場合は左系の取り上げ方に対する疑義を中心にしていますが、今回は多分反対方面です。
田中均元外務審議官が安倍外交を批判したとして、当の安倍首相自らがFBにて田中氏を非難するようなことを書き、官房長官も否定しています。
首相、日朝首脳会談整えた田中均氏をFBで批判
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080115-899562/news/20130612-OYT1T01060.htm
「右傾化は当たらない」田中元外務審議官を批判 菅長官
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130613/plc13061314010009-n1.htm
ところが、どの文脈を批判しているのかと思い、関連の記事やご本人たちの意見を読んでもよくわかりません。なので、原文を調べてみました。

保守主義と歴史認識:/1 右傾化、日本攻撃の口実に 田中均氏に聞く (From毎日新聞)
 −−諸外国で日本の右傾化に懸念が強まっていると聞きます。
 ◆外国での国際会議などで、日本が極端な右傾化をしているという声が聞こえる。一方、安倍政権ができ、アベノミクス効果などで日本も政治の停滞を抜け出すのではないかという期待の声もある。しかし、安倍晋三首相の侵略の定義や河野談話、村山談話をそのまま承継するわけではないという発言や、麻生太郎副総理らの靖国参拝、日本維新の会の橋下徹共同代表の従軍慰安婦についての発言などで、いわゆる右傾化が進んでいると思われ出している。
 −−日本の右傾化を諸外国が利用している面もあるのでは。
 ◆中国との尖閣問題、韓国との竹島問題などで、日中、日韓関係が厳しい状況にある中、中韓に日本を攻撃する口実を与えてしまっているという面はあるのだろう。この機会に日本をたたけと。
 −−米国はどうですか?
 ◆米国は中東からアジアへの関心の「リバランス(再均衡)」政策を図っている。中国を大事にする、しないではなく、東アジアを安定的な地域にしないと、米国の経済的、政治的利益が担保できないから、中国と向き合うことが必要だと。しかし、日本が中韓との関係で孤立しているように映っている。それは米国の国益にもそぐわないという認識が強い。中国と建設的に向き合うためにも日本の協力が必要だが、日中が角を突き合わせている状況は具合が悪いとの認識がある。
 −−安倍首相は批判が出るとブレーキはかけますね。
 ◆侵略の定義とか、村山談話、河野談話、憲法96条の改正などで現実的な道をとろうとしていると思う。しかし、あまりそれを繰り返すと、根っこはそういう思いを持っている人だということが定着してしまう。参院選までは抑えるけど、それ以降はまた出てくるのではないかとの印象を生んでいる。それが日本の国益のためにいいかと。
 −−飯島勲内閣官房参与が訪朝しました。米韓への事前の説明が不十分だったと指摘されています。
 ◆私が北朝鮮と交渉した時もそうだが、日本の課題があるから、すべてを他の国に相談してやっていくということではない。拉致問題は極めて重要で、日本が自ら交渉し解決していかなければならない。だが、核、ミサイルの問題は日本だけでは解決できず、関係国との関係を損なわないようにうまくやっていかなければならない。小泉純一郎元首相が常に言っていたように、拉致と核、ミサイルを包括的に解決するのが日本の政策なのだと思う。飯島さんの訪朝がスタンドプレーだとは言わないが、そう見られてはいけない。
 −−最近の日本外交は二言目には、中国をけん制するというのが出てきます。
 ◆ロシアやインド、東南アジアとのパートナーシップを強化すること自体は正しい。だが、それを価値観外交と言えば、中国を疎外する概念になる。価値観外交と掛け声をかけることが正しいとは思わない。中国が将来覇権をとるようなことがないように共にけん制しようというのは、静かにやること。声を大にして「けん制しますよ」というのは外交じゃない。政治家は勇気を持って日中関係はいかに大事かを語らないといけない。
 −−課題山積です。
 ◆日本が自己中心的な、偏狭なナショナリズムによって動く国だというレッテルを貼られかねない状況が出てきている。日本の再生は可能だと思うし、政治の力でそれを実現してほしい。日本に国際社会からこれだけ注目が集まることは、1年前は良くも悪くもなかった。それを無にしないことが大切でしょう。【聞き手・高塚保】

これを自分が読むと、
・外国の国際会議で日本が極端な右傾化をしているという声が聞こえる一方、アベノミクスなどにより、政治停滞を抜け出すのではという期待感もある。
・右傾化と外国に受け取られると、中韓に日本を攻撃する口実を与えてしまっているところがある
・アメリカは中国と日本が対立する状況は好ましくないとの認識もある
・時には外交は単独でも行うべきだが、飯島さんの訪朝がスタンドプレーと見られないようにしないといけない
・中国を牽制すると大きな声でやるのではなく、粛々とした行った上で、日中関係がいかに大事かを勇気を持って政治家は語るべき。
・日本が自己中心的な・偏狭なナショナリズムによって動く国とレッテルを貼られないようにするべき。
・日本の再生は可能であり、1年前と比べ日本がこれだけ注目が集まることも無かったのだから、この状況を活かしていくべき。
という論点だと思うのですが、いかがでしょうか?どの辺が、飯島さんの訪朝をスタンドプレーと批判したり、日本が右傾化していると田中氏が言っているというのでしょうか?
少なくとも私は安倍外交は概ね支持しています(私が支持したところでどうってことはないのですが)が、今回の田中氏のコメントはすんなりその通りだよねって思える内容でした。
もしかして反発しているみなさんは最初に毎日新聞が付けた「右傾化、日本攻撃の口実に 田中均氏に聞く」という見出しだけで判断?
批判するのであれば、川口元委員長の中国滞在延長事件もそうですが、ちゃんと全文を読むくらいの労力は使った方がいいと思います。もっとも私の読解力がそもそも間違っている話しなのかもしれませんが・・・。

「これのどこが・・・?」に3件のコメントがあります

  1. 石原都知事、民主党、自民党が国内向けに威勢のいいことを言って始まったが勝負の駆け引きを十分に練ったとは言えない。アメリカからさえ小さな島の帰属が国益としてそれほど重要なのか、と言われるし、沖縄の漁師は網が潜水艦で切られて迷惑しているとか。選挙応援で鷹を肩に乗せるパフオーマンスはやりすぎ。

  2. いつもながらの分析さすがです。私は、今回の安倍首相のFBによる発信には疑問を持っています。理由は「一外交官(当時)の行動を今になって宰相が批判していては・・・」というものです。日本の右傾化を一番問題視しているのは日本のマスコミなのでは?

  3. 新聞タイトルの怖さについて・・・
    読売が「憲法改正ナチスに学べ」と刺激的タイトルをつけて報じたために朝日が追随したという。朝日の当初のタイトルはナチスの文字はなく記事も小さなもの。
    渡邉読売会長と自民党の関係を考えれば
    麻生太郎もまさか読売が、こんな報道するとは思っていなかったろう。
    読売も騒動が大きくなってから電子版ではこの記事のタイトルを穏当なものに切り替えている。
    アメリカのユダヤ人団体に目をつけられ米独を味方につけた中国韓国が勢いづかせた。

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