The only thing we have to fear is fear itself.


昨今の乱高下する市場。
多くのマスコミからは「すわっ、大恐慌の入り口か!」という情報が流れています。
ただ今回の状況の不思議なところは、主に金融問題から端を発したものですが、余りにもファンダメンタルを無視した動きが多いということ。
自分が思うには、この問題の本質は金融工学の発達により余りにもリスクが分散してしまったせいで、どこにどれほどのリスクを背負っているか、誰もわからない気持ちになってしまったことから始まっていると思います。
更に現在のコンピューターシステムの発達において、金融機関はある程度の市場における行動の最適化プログラムというものを持っているはずです。そこでは部分的に見たときは合理的な判断であるが、それが全体的な部分で見たときに合理的行動を取っているとは限らない。また、同時期に作られたものであればあるほど、どこのプログラムもある程度似通った動きを取ることになるでしょう。そういえばリーマンブラザーズの元会長さんがアメリカの議会に呼ばれ、「なんでこんな高リスクの商品を取り扱ったんだ?」と聞かれたときに、「今から考えればそうかもしれないが、当時そんなこと(スワップ、レバレッジ等の商品を扱わない)なんて言ったら、非合理だと言われたに違いない。」と答えていましたね。
その結果として
金融商品や株式などいわゆる高リスク商品のリスクがどのくらいのものかわからないから全くもって不安だ→そうであれば資産をなるべく現金化、金の保有を増やすのが最善策だ→では高リスク商品は売るべし→高リスク商品の資産価値が下がった→やっぱりどの程度のリスクかわからない・・・といった悪循環に入り込んでしまったのだと。
こんな時に指導者が「経済は基本的には健全」なんて言っているだけだと、リスク・恐怖におののいている人たちから見れば「あいつは何もわかっちゃいない。これだけ大変なことが起こっているのに!」と感じ、更にパニックに拍車をかけることでしょう。
また指導者が「大変だ。大変だ。なんとかしなくてはいけない。」とバタバタしているだけでも、やはり恐怖に駆られた人たちから見れば「やっぱり大変な事態だ。こりゃあ大変だ。」と言って同じくパニックに拍車をかけることになるでしょう。
つまり今の状態は経済的要因からくる混乱と言うよりは、集団心理から来る心理学的要因が強いと思うのです。
そして、この危機的状況下におけるリーダーの取るべき行動、メンバーの取るべき行動が今問われていると思うのです。
題名に掲げた”The only thing we have to fear is fear itself.”というのは、大恐慌時に米国大統領に就任したF.ルーズベルト大統領の就任演説の際の言葉で「我々が恐れなければいけない唯一のものは、恐れそれ自体である。」といったものです。
今我々は恐怖に支配されていることによりこれだけの困難な状況に陥っているということを明示した上で、取るべき行動を取っていくことこそが一番大事だ。だからみんなで頑張っていこう!としたわけです。そして、TVAなどのいわゆるニューディール政策を始めた訳ですね。さすが歴史に名を残す人は違いますね。その後の日本との関わり方は別にして、指導者としてやはりたいしたものだなあと感嘆してしまいます。
今の我々にとっても”The only thing we have to fear is fear itself.”の精神が一番大事なことではないでしょうか。
集団知は相当進み、今回の事態になると各国の当局は日本の不良債権問題の解決などを参考にしながら、あっという間に銀行に対する政府の資本注入といった施策を打ったり、各国間での資金の融通など、どの新聞も言うように「必要な施策は全て網羅されている」状態になってきているように思えます。
だからこそ「我々が恐怖に支配されていることを、まず自分自身が知るべき」時期だし、リーダーとしてはそれをはっきりと民衆に向かって語りかけるときだと思うのです。そしてなすべき道を指し示す。これこそ「Statesman」(リーダーシップ・見識をもった政治家)だと思うのです。(対語としてPolitician、政治屋があります)
しかし我が日本を振り返るに、しつこいですがこの状況下にありながら日銀副総裁、理事に欠員が出ていることに対しての政治家・マスコミのご意見はないんですかね・・・と思ってしまうわけです。こんな大事な時期に中央銀行が機能不全を起こしているとは!!
また草莽の民たる我々は周りの状況に踊らされることなく、今目の前にある仕事を誠実に、地道に、一生懸命頑張ってこなしていくしかないのだと思います。集団心理としての恐怖が去るのを待ちながら。少なくとも自分自身は恐怖に支配されないよう頑張るしかありません。それこそがパニックに巻き込まれない方策のはずです。
てなことを思いながら、この1ヶ月を眺めています。
ちなみにこの考え方って、スポーツの世界、それこそ野球においても当てはまりますよね。チャンスの時とかピンチの時とか。心の修練は本当に大事ですね。


「The only thing we have to fear is fear itself.」に4件のコメントがあります

  1. こんばんは~
    ぉ~博学だぁ! とまず感嘆いたしました。
    ブログ拝見して、金融業界にいたうちのオヤジが昔言ってた言葉を思い出しました。
    「人間は欲望の動物だ。」
    なので欲望にきりはなく、本能のままに欲を満たすために経済活動をするのだそうです。
    色々投資されているかたからしたら不安な状況とは思いますが、今のこの情勢でも、先行投資していてピークの時にサッと売り抜けて莫大な利益を手にしている人がいるのだろうなぁ・・・と思ってみたり。ほんの一握りかもしれないですが、それは仕掛け人その人かもしれませんね。
    独尊さんが言われる通り、自分は今、会社が傾かないように何より家族が幸せでいられるように頑張るだけですわ。
    野球を見ていられる平和な時が続きますように・・・・

  2. げんきさん
    なんて書いたら早速の暴落・・・。すごい状況ですね。しかし最後には落ち着くところに落ち着くのが市場のすごいところです。そこまで慌てずにいられるかですね。
    「人間は欲望の動物」って確かにそうですよね。市場経済はその欲望の中に「見えざる神の手」を見いだしているわけですから、ある意味大いなるパラドックスですね。
    金融機関はそれこそtoo important,too failなので潰すことは出来ないので、どうしても救済せざるを得ない。でも好況時にあれだけトップが高給を取ってしまうと、反発論が出てくるのも已む無しですね。今後何かしらかの規制が出来るのかもしれません。

  3. 今日の立教戦。
    恐怖でオタオタしてしまいました。
    恐らく、中林君も内心
    恐怖でオタオタしたのでは、と思います。
    経済と野球、
    本当に似ています。
    私の退職金を狙って、ハゲタカのように投信を売ろうと
    してきた銀行、証券に、
    昨年末、公認会計士の息子が、「父に危険な商品を売らないでくれ」と直接言って、ようやく攻勢が終わりました。
    既に昨年12月時点で、
    恐怖の連鎖は予想していたようです。
    早稲田の強さは「恐怖にパニックに陥らないこと」
    今シーズン、特に実力差は殆どないのに、負けない。
    そこに感じる、したたかさ。

  4. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    また応援団の掲示板では過分なるお褒めの言葉をいただき、もうなんていっていいのやらわかりません・・・。
    さて、立教戦2回戦の試合は見ていないので詳しいことはわかりませんが、、やはり最後は相当バタバタしたのですね。
    自分としてはそうなっていたときの、塾野球部のひとりひとりの行動が気になります。マウンドを降りた相澤主将は?マウンドに立つ中林くんは?ベンチで見守る相場監督は?グランドにいる各選手は?
    と、この後を書こうとしたらやはり長くなりそうなので(汗)、
    記事として独立して書いてみます。もし良かったらご覧に
    なってみてください。

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