日本の国防について

いきなりこう言うのもなんですが、安倍政権時代に参議院選挙で民主党が勝利を収めた後から、感心するくらいに日本の防衛力が弱まっているように感じます。
日本の防衛力、それは日米安保条約に基づく米国の強大な軍事力・展開力と、日本の持っているテクノロジー、そして日本の持つ経済力とそれゆえなしうるODA等の国際援助、そして国家を守るという断固たる意思がその源だと思います。これについて、すごい勢いで劣化が進んでいるように思えてなりません。
1)ペルシャ湾の給油問題
これはまだ自民党政権下からですが、民主党は一貫して反対を唱え、1ヶ月ばかりのために日本に戻してみたり、実際に政権を取ったら、やめてしまいました。
これは軍事的なアメリカを中心とする国際協調と一線を画すと宣言したようなものでした。
2)普天間移設問題
いきなりの「トラストミー」騒動から始まり、勉強して抑止力を知っただとかなんだとかで日米合意をうっちゃり、後任の方も現実的な対応とかなんとか言いながら、一切動いていません。
3)尖閣問題
これは船長を釈放した云々よりは、深く考えずに船長を逮捕してはいいが、その後の反響の大きさにおののいて、せっかくアメリカが従来より踏み込んだ解釈、すなわち「尖閣も日米安保の対象に入る」と明言したにも関わらず、お茶を濁す形で解決してしまった。これにより、中国に日本は国境問題についてまとまった対応を取ることが出来ないと印象づけてしまったと思います。
4)北方領土問題
こちらもまた深く考えずに「北方領土は不法占拠されている」と言ってしまったがばっかりに、却ってロシアの姿勢を強くアピールさせ、露・中・韓が対日領土問題でまとまるきっかけを作ってしまったと思います。この上記2点があるので、私はこの問題の当事者の有力政治家を評価することは出来ないと感じています。(信念を持つのはいいが、実現してこその政治家。その辺りの思慮が浅いと思うのです)
5)TPP問題
米国が牙をむくのはいつの時代も経済問題から。これについても調子のいいことを言っておきながら、普天間と同様に放置しています。日本をとは言いませんが、少なくとも現政権をこれで米国はどうやって信じろと言うのでしょうか?
6)震災によるODA縮減
確かに懐が寒くなってはいますが、対中は残しながら他の国へのODAの予算を減らすとは・・・。
7)原子力発電騒動
今ではもう完全に悪者となった原子力発電。でもこの問題をテクノロジーの問題と、オペレーションの問題、そして政治的思惑の問題の区別が全くつかない中、殆ど「陰謀論」みたいな話しばかりになっています。
以前も紹介しましたが、特定近隣諸国が一番恐れていること、それは核兵器の自主開発です。その技術を今日本はどんどん捨て去ろうとしています。
ニュースで原水禁の大会が初めて福島で行われたと出ていました。彼らの意図が「全世界からの核兵器の廃絶」ではなく「日本からの核技術の廃絶」であることが見て取れます。
原子力発電の技術を残すことの大切さをどうしてもっとアピールしないのでしょうか。
はっきり言っていいのかどうかわかりませんが、もし原子力発電を全廃するのであれば、通常兵器等の国防力強化をセットで言わないといけないと思うのです。
8)自衛隊の政治利用
余り公に報道されていませんが、民主党政権になってから自衛隊の政治利用が目立ってきています。自衛隊情報保全隊による佐藤正久参議院議員らの監視、北沢防衛大臣による通達、そして自民党と近いと見られた有望と見られた自衛隊幹部を退官させ、トップに色の付いていない人を付けたりと、なかなかすごい状況になっています。
9)安保50年の日米「新共同宣言」の断念
日米「新共同宣言」断念、政局混迷で白紙に(読売新聞)
くわしくはこちら
例えば逆に日中での軍事交流が進んだとかなんだとか言えば、それはそれで戦略の一つかとも思いますが、これもまたさっぱり。
日米の信頼関係にどんどんヒビを入れ、対外諸国との交わりもせず、テクノロジー部分の劣化、自衛隊内部の動揺も招き、対外的に対して断固たる姿勢も全く見せず。
自分が今どうしても危惧してしまう、日本の状況です。

「日本の国防について」に9件のコメントがあります

  1. この時期電力会社からの内部告発。
    誰も原子力に触れなくなる・・・
    誰も原子力に・・・・
    ということは、廃炉もむつかしくなる。
    叩かれる側が叩く側になる・・・
    暗澹たる気分です。

  2. 文武両道さん
    コメントありがとうございます。
    この両極端に振れる今のマスコミのあり方は、本当に考えないといけないと思いますね。
    原発事故もなでしこジャパンも彼らにとって意義は変わらないのでしょう。
    これだけ両極端に振れる社会情勢、以前戦前の雰囲気に似てしまいましたねとお話ししていましたが、更に震災は起こるわ米国の経済状況が怪しいわで、ますます似てきたような気がします。
    こういった時に怖いのが、この何とも言えない閉塞感を打破することを期待して、判断を停止し、誰かに引っ張っていってもらいたいと感じること。別に軍国主義になると思っているわけではありません。国民ひとりひとりが自ら考えることをやめてしまい、誰かに判断を丸投げするようになってしまうこと、これを恐れているのです。
    何はともあれ言い続けるしかないのかもしれませんね。

  3. 地震と津波は天災、原発事故は人災ですが、先日の埼玉県知事選挙の投票率の低さに象徴される多くの国民の諦観は菅災と呼ぶのだそうですね。どう見ても明らかに過渡期を迎えているマスコミ業界関係者の自覚を待つしかないようですが、私は昨年と一昨年のブログ王子の今後の活躍に密かに期待しています。

  4. 民主党の首相、大臣が将来展望なく
    生贄として組織つぶし・・・人材が散逸し、技術が集まらず・・・
    最悪の道に・・・
    民間から人材を集めている今、民からの協力も得られない・・・
    日本では責任をとることが、組織の破壊を意味します。
    海外事業の赤字の責任をとらせて優秀な人材が外資に流れ、
    無知な国内組が国際競争力を奪っていく・・・
    一刻も早く民主党政権に退場願わないと大変なことになります。

  5.  日本は何度となく外国の侵略を排除してきました。今回の極東戦争においては原爆を落とされ、建国以来はじめてやぶれました。戦った先人の意志を忘れることなく、国防に取り組みましょう。国防力なくして国家は存在することは出来ないことは古代から変わりません。21世紀になっても弱い国は攻め込まれ領土を奪われてしまいます。現代の日本国民は目をさまして国防に勤めましょう。

  6. 北条時宗さん
    お初のコメントありがとうございます。
    国防力なくして国家は存在することが出来ない。まさにこのことを忘れかかっている現状から、今のような事態が起こっているのだと思います。
    そしてその国防力とは、いわゆる単純兵力のみならず、情報収集能力、外交力、同盟国、経済力などが複雑に絡み合って紡ぎ出されるものだと思います。
    第二次世界大戦時、おっしゃるように原爆が落とされたから負けたと言う人もいれば、仲介を期待していたソ連が参戦した時点で負けが決まったという人もいれば、ドイツが降伏した時点で負けだったという人もいれば、サイパン島が陥落し日本本土の制空権が失われた時点で負けだったという人もいれば、ミッドウェー海戦で空母4隻を失った時点でという人もいれば、そもそも対米英戦争を始めた時点でと言う人もいます。かように見方によって、ターニングポイントが変わってきます。
    強い兵力も勿論必要、でもそれだけで無く、上記のような能力も必要です。
    第二次世界大戦時、あれだけの海軍力と機動部隊の展開力を持った国は、日本以外に一国しかありませんでした。それでもあの結果です。
    単純に強気になるだけでなく、かと言って卑屈になるわけでもなく、国防力を強めるにはどういったことが必要かを冷静に考え、その対策を着実に行っていく。これしかないと思っています。
    元寇の際に従来の戦い方を変え、防塁を築き、夜襲を行い、諸国の武士を集めといった具合に、状況に応じた柔軟な姿勢を我々も持ちたいものですね。そしてそれと共に日蓮の始めとする人心の動揺を抑え、恩賞がないことから発生する武士の不満、膨大な国力を使った事による鎌倉幕府滅亡の道といったことにならないような多面的な対策も必要です。やはり国を護るというのは、むずかしいものです。
    では、今後ともよろしくお願いします。

  7. 「単純に強気になるだけでなく、かと言って卑屈になるわけでもなく」
    どうも政治家は強気と卑屈のどちらかのようです。
    情報力が何より大事です。
    イスラエルがアメリカを手玉のとっているのは情報力!
    かつて日本には明石 元二郎がいましたが・・・
    塾野球部でいえば長崎君のような捕手ですが
    塾野球部に西口、三好君待望してますが・・・

  8.  国家に取って最も危険なことは無防備にして弱い国です。歴史を見ればわかるように強い国に良り
    弱い国は支配され、亡ぼされた民族も多く有ります。
      140年前はロシア。アメリカがそして現在は中国が日本の島を奪おうと毎日船舶を出してきております。戦後、67年の本国民は目を覚まさないと日本がなくなってしまいます。先ず国防力を2倍程度高めてから外交を論じましょう。国防力なき外交は空論です。国民の国家認識を高めることです。
     国家は「国籍のある国民」・「国民が住むことの出来る領土」・「国民に主権があること」です。大学で国家論は講座に入れるべきです。

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