遂に私も齢五十を数えるに至りました。
五十と言えば、やっぱり幸若舞でしょう。
織田信長が愛誦したとも言われるこの舞。歌詞は以下の通りです。
人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり
一度生を享け、滅せぬもののあるべきか
現代語訳だとこうなります。
人間界の五十年など 下天(化天)での時の流れと比べれば 夢や幻も同然
ひとたび生まれて 滅びぬものなどあるはずがない
つまり、人間の寿命は五十歳までだよではなく、大きな宇宙の時の流れ(仏教上の下天を意訳すると)からすれば、人の一生などあっという間の夢・幻のようなものということです。
そう言えば、「葉隠」での余りにも有名な一節「武士道は死ぬことと見つけたり」は本当に死ぬことを意味するのでは無く、日々「生」に対する執着を捨て去ることにより、為すべき事が為せるという意味合いだそうです。「生を捨て去る」ことで「生を活かす」のですね。
人生の折り返し地点とも言うべき五十歳という歳を迎え、この夢・幻のようなひとときを意義深いものと出来るよう、これからの一日一日を大切にしながら、日々過ごしていきたいと思います。