石原さん、これがお望みでしたか?

今回の石原都知事の尖閣購入構想発表ー国有化の流れから巻き起こった反日デモの嵐。
いろいろと場所も分散しながら主張してきましたが、自分は当初から彼のアピールに批判的でしたし(拙ブログとかFBとか)、丹羽元中国大使は国益を損ねたとかで解任されましたが、別に何も違ったことを言っていたのでは無く、その通りになったことを言っただけ。発言当初から日本にこういうことを言う人は必要だと主張していました。
私は日本人ですから尖閣諸島は明らかに日本の領土だと思いますし、竹島は戦後のどさくさに武力で不法占拠されたと思っています。
だからと言って、いいか悪いかは別にして、相手国の民からすれば、尖閣・独島はそれぞれ古来から自分たちの領土で、日帝により侵略されていただけ、今さら言うのは歴史を全く反省していないとなるわけで、そこをぶつけ合って、論点が整理され、握手をしながら一つの結論など出るわけもないのです。
だとすると、後はどうやって外交上、軍事上の要素から、処理をするかということになるわけです。
前々から言っているように、尖閣は実効支配を強化するため何かしらの建造物と、民間人の駐留が必要だと思います。
ここまでをやって、両国民が感情的に対立するのなら、まだ仕方の無いことなのかも知れません。
しかし、結果的に何ら実効支配を強める施策を打てずに、ただ両国民間の感情を抜き差しならぬところまで悪化させたのは、最悪だと思います。
戦前の日本が戦争を続けたのも侵略狂でもなければ、相手のことを全く知らずに自惚れて身の程知らずで戦ったわけではありません。戦前の日本の金字塔、夥しい人名の損失と国帑の消費によって得た日露戦争の勝利の果実。これを毀損する行動を取ることができなかったからです。協調路線を歩もうとすると、「この満州の土地に10万の将兵の血が染みこんでいる。これを裏切るようなことは出来ない」といった観点から、どんどん拡大していってしまった部分が大きいと思います。所謂「死者のコスト」が重くのしかかっていました。そしてそれを遮ろうと米英がしたからこそ、日本なりの正義で太平洋戦争に突入していきました。この流れは日中両国に思い当たります。
中国からすれば抗日戦争で多くの犠牲を払って勝ち得た中華人民共和国の成立。この国の成り立ちからして、理屈が通っていようがいまいが、日本相手に領土関係で譲るなんてことを中国政府関係者ができるわけがないのです。それこそ漢奸と呼ばれてしまいます。今さら後には引けないでしょう。
日本の今回の行動は、日本なりの理屈としては成り立っているのですが、この戦いに勝つ、すなわち尖閣の実効支配を強める施策が余りにも稚拙です。石原さんの言っていた「中国(彼はシナと言いますが)が核心的利益として尖閣を挙げた以上、こちらも本気で対策を採らなければいけない」と言った部分までは共感しますが、そのための施策が買うための募金を集めたり、パンダにセンセン、カクカクなんて言うことか思うとガッカリします。
今の日本は現憲法の縛り、自衛隊法の縛りがある中で、かつ強襲兵器が無い中(専守防衛ですから)で、万が一戦端が開かれたらどうなってしまうのでしょうか?
こちらの記事の写真に写っているプラカードの文字をよく見て下さい。
パナソニック2工場、一部破壊…デモ40都市に(Yomiuri Online)
対日宣戦
我捐一万
保衛魚釣島
我是中国人
私は中国語はさっぱりですが、
「日本に戦いを宣する。私は一万(元)を寄付した。魚釣島を守れ。私は中国人だ。」
といったところでしょうか。そうです、民衆は戦争すら唱えているのです。よく「中国は本気で反日デモを取り締まっていない」と評する人がいますが、自分は全くそう思いません。少なくとも今のような大規模な暴動は望んではいないのでしょうが、愛国的運動を強制的に排除することも出来ず(世論の反発を怖れ)、冷静になれと訴えかけるしか出来ない状況でしょう。
今回の石原さんの行動は正に「パンドラの箱」を開けてしまった感があります。
とは言え、ここまでの状況に至ってしまっては、日本も引くことは出来ないでしょう。負け戦とならないためにも、防衛力の緊急の増強と法体系の整備、そして中国国内における日本国民の安全の確保を今の何倍にもして中国政府に求め、また非難を強めるしかないでしょう。そうでもしないと、今よりも尖閣は不安定化して、中国でのビジネスも立ち後れ、中国の侮日・反日行動がより強化された結果にしかならない。しかしこれは飽くまで対処療法になっており、言って見れば「泥縄的対応」と言わざるを得ません。
石原さんは「自分は都で買うつもりだったが、国が買ってしまったのだから、どうしようもない」と言うかも知れませんが、そう思っているんだったら、買えなかった時点で自分が下手打ったとどうして気づかないのでしょうか?募金が集まっていたとき「日本人もすてたもんじゃない」なんて言っていましたが、じゃあ、その集めたお金は何で基金にしなければいけないのでしょうか?詐欺に近い行動ではないのでしょうか?
日本としての体制も整っていないままなし崩し的に戦いを始めてしまうのは、まさに盧溝橋です。しかも今の中国は体制が整っておらず軍閥が対立していた往年の中国では無く、世界第二位の経済大国となった中国ですよ。石原さん、牟田口廉也になっていませんか?まさかその後、第二のインパール作戦を始めてしまいませんか?今の事態はあなたの想定内ですか?

「石原さん、これがお望みでしたか?」に1件のコメントがあります

  1. 私も「パンドラの箱」は開いてしまったと感じています。それだけに解散総選挙後の首班指名とその後の内閣の重みはかつてないほどのものになりそうです。大変な時代がやって来てしまいましたが、我々国民ひとりひとりの時代認識と身の処し方が政治の方向を左右することになるのでは?李春光事件発覚以来の流れ、中西教授が警鐘を鳴らし続けていた方向に今後も進んで行きそうでとても心配ですね。

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